小児科の開業で成功するための12個の重要ポイント|開業支援実績が多い税理士が詳細解説

公開日:2024年12月9日
更新日:2024年12月13日

小児科クリニックの患者さんは子どもになるので、来院の決定権は親御さんになります。

いかに親御さんの信用を得て口コミで評判を広げるかが重要なカギとなります。

治療の腕は当然求められますが、子どもや親御さんが安心できるようなクリニックを開業することは欠かせません。

また、子どもの数は年々減少しているものの、乳幼児に対する訪問診療や、病児保育サービスの需要はむしろ高まってきています。

この点を踏まえて、小児科の開業で成功するためのポイントを詳細解説します。

【ポイント①】ファミリー層が多い住宅街で開業する

他の診療科目に比べて、小児科は患者さんの属性が、小児とはっきりしています。

都心部に小児科がまったくないわけではないですが、やはりファミリー層が多い住宅街で開業する先生が多いです。

都心部や駅前もNGではないですが、「急病の子どもを早く診てほしい」等のニーズに応えられるかどうかは要検討です。

開業場所によっては、広めのスペースがある駐車場や駐輪場も必要になることがあります。

診療圏調査などで、十分分析したうえで最適な立地・物件を探すようにしてください。

調査する際は、薬局との距離も確認しておくといいでしょう。

子ども連れでクリニックから薬局まで行く負担を考えると、なるべく距離が近いか、院内処方の方が喜ばれます。

【ポイント②】ベビーカーを押して来院しやすいようにする

もし、乳幼児を対象とする小児科の場合は、親御さんがベビーカーを押して来院しやすいようにすることが必要です。

この場合、戸建て物件とするか、テナントビルでも1F、もしくは広いエレベーターがある方がおすすめです。

クリニックの入口や駐車場、駐輪場についても、ベビーカーのスペースを考慮して広めにした方がいいでしょう。

さらに入口にスロープを作ったり、院内の段差を極力少なくしたりすることも必要です。

小児科の開業経験に詳しい専門家や施工会社に相談して決めるようにしてください。

【ポイント③】親御さんのイメージが悪いテナントと同居しない

小児科のイメージは、親子の来院に大きく影響します。

テナント開業する場合は、風俗店やパチンコ店、飲食店などと同居することは避けた方がいいでしょう。

医院開業に詳しい物件選びの専門家とよく相談することをおすすめします。

テナント開業については、以下の記事も参考にしてください。

医院・クリニックをテナント開業するときの10個の注意点

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【ポイント④】長い待ち時間は親御さんの不安に繋がる

待ち時間の対策は、どの診療科目でも重要ですが、小児科の場合、待ち時間による不安やストレスを感じるのは親御さんです。

「大事な子どもの具合が悪いのに早く診てくれない」という親御さんのストレスはかなり大きく、悪い口コミのもととなります。

完全予約制などの予約システムを導入して、待ち時間のストレスを軽減するように努めましょう。

また、待合室の内装も、親御さんの不安を緩和できて、子どもが喜ぶようなデザインにすることがおすすめです。

院内掲示物などで、院長先生やスタッフの紹介や、小児疾患の対処方法を載せるなどの工夫をするのもいいでしょう。

【ポイント⑤】キッズルームの設置が必ずしも効果的とは限らない

小児科というと、キッズルームの設置を検討する先生も多いでしょう。

たしかに、小児歯科、小児皮膚科のように元気なお子さんが来院する場合はキッズルームの設置は検討の余地があります。

しかし、小児科に来院するお子さんの大半は体調が悪いので、キッズルームで元気に遊ぶとはあまり考えられません。

また、院内感染に敏感な親御さんが多いことを考えると、キッズルームで騒ぐお子さんがいるとクレームに繋がる可能性もあります。

コロナ禍以降は特に、キッズルームの設置より待ち時間の短縮に力を入れる小児科クリニックの方が多い傾向にあります。

開業コンセプトや治療方針にもよりますが、キッズルームの設置は慎重になった方がいいでしょう。

キッズルームを設けなくても、絵本やおもちゃ、テレビモニターを用意するなど、子どもが喜ぶ工夫をする余地はあります。

【ポイント⑥】子どもの転倒によるケガが起きない内装にする

子どもは、特に騒いで遊んでいるわけでなくても、普通に歩いて転倒することが多いです。

受付やカウンターの角にぶつかってケガをしないように丸くしたり、段差をなくしたりする内装の設計が求められます。

その他、ゆっくり閉まる自動ドアを設置するなどの工夫もいいでしょう。

【ポイント⑦】隔離室などで感染対策をする

新型コロナウィルスの脅威は過ぎ去ったものの、小児科の場合は、感染対策に敏感な親御さんは少なくありません。

もともと小児科は、おたふくかぜや風疹、インフルエンザなどの感染症患者が多く来院します。

隔離室を設けたり、患者さんの誘導動線を分けたりする対策は必要となるでしょう。

また、衛生面を校了して、土足ではなく裸足で来院できる床にすることも検討の余地があります。

小児科の開業に詳しい施工会社に相談して、よく検討しましょう。

その他、おもちゃを置く場合は消毒対策をすることがおすすめです。

【ポイント⑧】親御さんの気持ちがわかるスタッフを採用して接遇教育する

小児科は、親御さんの口コミの影響を強く受けるので、患者満足度の向上がとても大切になります。

院長先生やスタッフの接遇態度がとても大切になってくるのは言うまでもありません。

求人応募に関しては、子ども好きで、親御さんの気持ちを理解できるスタッフを優先的に採用するといいでしょう。

ただ、小児科の面接で「子どもが好き」と言わない求職者はほとんどいないと思われます。

書類選考、面接を通じて、患者さんと関わることにやりがいを感じるか、求めているスキルに合っているかは慎重に検討する必要があるでしょう。

書類選考や面接については、以下の記事をご覧ください。

医院・クリニック開業時の採用面接、書類選考、採用後のスタッフ教育で失敗しないコツとは?

「一生懸命スタッフを教育をしても全然育ってくれない!」「承継開業してスタッフも引き継いだけど、全然言うことを聞いてくれない」「勤務していた前の病院から付いてき…

理想的なスタッフを採用したうえで、末永く働きたいと思ってもらえる風土を作り、接遇やインフォームドコンセントの教育もしていく必要があります。

職場の雰囲気が悪いと、どうしても患者さんや親御さんへの接遇態度に影響が出てきます。

スタッフのモチベーションを下げるようなことをしてしまうと、最悪患者さんが離れてしまうことになるので注意しましょう。

小児科の失敗事例は、以下の記事をご覧ください。

【開業失敗事例】あの小児科医は誰を敵に回してしまったか?

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【ポイント⑨】Googleなどの口コミ評価を促す

小児科の集患で影響力が大きいのは親御さんの口コミです。

治療技術や接遇態度を前提として、良い口コミを書き込んでもらう仕組みを作るといいでしょう。

ただ、なかには理不尽な理由で悪評を書き込んでくる親御さんもいます。

悪評の対処法や、良い評価を集めるポイントは以下の記事を参考にしてください。

【クリニックの口コミ対策】悪評の対処法や良い評価を集めるポイント・注意点を詳細解説

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【ポイント⑩】予防接種や乳幼児健康診断を行いたいなら医師会の加入を検討する

小児科の先生では、予防接種や乳幼児健康診断を行いたいと考える先生は多いでしょう。

小児かかりつけ診療料や診療情報提供料、機能強化加算といった診療報酬が加算され、医業収入の増加に繋がります。

また、予防接種や乳幼児健康診断をきっかけにして患者さんに来院し続けてもらえる可能性があります。

ただ、多くの自治体では、予防接種や乳幼児健康診断を受託するには医師会への加入が必要であることが多いです。

近年は医師会に入らない先生も少なくないですが、予防接種や乳幼児健康診断を行う条件や医師会のルールは確認しておきましょう。

医師会は高額な年会費と、診療以外の業務の増加などデメリットもあるので、慎重な検討が必要です。

【ポイント⑪】訪問診療や往診に力を入れる

少子化で子どもの数は年々減っているものの、医療ケアを必要とする子どもの数はむしろ増えています。

以下の図からわかるように、小児在宅医療患者(医療的ケア児)や人工呼吸器を必要とする子どもの数は年々増加しています。

【厚生労働省資料】小児在宅医療の全体像(行政とのかかわり~制度まで)令和5年度 「在宅医療関連調査・講師人材養成事業」埼玉医科大学総合医療センター小児科奈倉 道明

子どもに対する訪問診療や往診のニーズは今後も高いと考えられるので、総合病院と連携しながら、訪問診療に力を入れることも検討の余地があります。

訪問診療の開業については、以下の記事も参考にしてください。

【ポイント⑫】病児保育サービスを提供する

共働き世帯や、シングルマザー、シングルファザーなど、子どもが病気になってもどこにも預けられない親御さんが全国的に増えています。

そのため、医療機関併設の保育施設のニーズが高くなっています。

内閣府「病児保育事業 」より抜粋

小児科に病児保育施設を置くことができれば、病気の子どもを預けられない親御さんにも対応できるようになります。

しかし、資金調達やスタッフ採用、経営面のハードルが高い点は注意しなければいけません。

医療法人を設立する段階など、医院経営が軌道に乗ってきたら具体的なプランを検討しておくといいでしょう。

【まとめ】親御さんの信頼が小児科の成功を左右する

小児科の医院・クリニック開業のポイントについて解説しました。

小児科は、小さい子どもを持つ親御さんの口コミが広がることが多く、親御さんの信頼や安心感が集患に直結します。

治療技術はもちろんのこと、子どもに寄り添った内装として、スタッフの接遇、インフォームドコンセントなど付加的価値を高めることが重要です。

また、訪問診療や往診、病児保育サービスなど今後の需要にも着目して、親子に求められるクリニックを作りましょう。

なお、小児科の開業医・勤務医の年収や働き方については、以下の記事で詳しく解説しています。

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笠浪 真

1978年生まれ。京都府出身。藤沢市在住。大学卒業後、大手会計事務所・法律事務所等にて10年勤務。税務・法務・労務の知識とノウハウを習得して、平成23年に独立開業。
現在、総勢52人(令和3年10月1日現在)のスタッフを抱え、クライアント数は法人・個人を含め約300社。
息子が交通事故に遭遇した際に、医師のおかげで一命をとりとめたことをきっかけに、今度は自分が医療業界へ恩返ししたいという思いに至る。

医院開業・医院経営・スタッフ採用・医療法人化・税務調査・事業承継などこれまでの相談件数は2,000件を超える。その豊富な事例とノウハウを問題解決パターンごとに分類し、クライアントに提供するだけでなく、オウンドメディア『開業医の教科書®︎』にて一般にも公開する。

医院の売上を増やすだけでなく、節税、労務などあらゆる経営課題を解決する。全てをワンストップで一任できる安心感から、医師からの紹介が絶えない。病院で息子の命を助けてもらったからこそ「ひとつでも多くの医院を永続的に繁栄させること」を使命とし、開業医の院長の経営参謀として活動している。

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