集患率を高める歯科医のブランディング方法

公開日:2019年8月19日
更新日:2024年3月18日

ブランディングは集患率アップにつながる?

「ブランディング」・・・先生も一度はどこかで聞いたことがあるのではないでしょうか?

でもこの言葉の意味をきちんと理解している先生は少ないかと思います。

ブランディングとは、簡単に言うと、「先生のクリニックの強みをうまく患者さんにアピールすること」です。

今は、歯科医院がコンビニよりも多い時代です。

昔のように、ただ開業すれば患者さんが来てくれる時代は終わりました。

駅前の通りに2件、3件と歯科医院があることも珍しくありません。

このような状況で、ご自身のクリニックに患者さんを呼び、廃業を免れるには、ご自身のクリニックが他のクリニックとの違うということを患者さんに理解してもらうことが大切です。

でも、
「他のクリニックと違うところなんてない。うちは普通の歯医者だよ」

と思う先生もいるかと思います。

自分のクリニックの特徴や、他のクリニックとの違いを見つけるのは難しそうなイメージですよね。

でも大丈夫です。

今回はそんな先生でも簡単にご自身のクリニックのブランディングが出来て、患者さんの来院率をアップさせる方法についてお話いたします。

そもそも、ブランディングとは?

先生はブランディングと聞いて何を想像しますか?

高級なブランドのイメージや、「そもそもブランディングがよくわからない」という先生もいらっしゃるのではないでしょうか?

まず、「ブランド」とは、様々な商品と自分の商品を区別するときに使う言葉です。

色々なものが合わさって出来ていて、店の外観や、商品、キャッチコピーや店内の雰囲気などから作り出されます。

そのようにして作った「ブランド」を、「あの商品(=ブランド)と言えば、あのお店だよね」と消費者に認知させることを、「ブランディング」と言います。

なぜブランディグが必要なの?

ブランディングを行えば、「○○と言えば、この歯医者!」というように、患者さんにクリニックのことを認識してもらうことができます。

すると、たとえ宣伝活動を行わなくても、患者さんの頭の中には、「○○と言えばあの先生だから、あのクリニックに行ってみよう」となるのです。

そうすれば、宣伝で使おうと思っていた経費が浮き、その分患者さんへのサービスの充実や、医療機材へ回すことができるので、患者さん満足度が高まりますし、近くにあるクリニックとの競争からも離脱することができます。

ブランディングの成功事例

ブランディングをすることによって成功した企業があります。

例えば、今治タオル。

今治タオルは、海外の輸入タオルに押され、経営が苦しい時期がありました。

それを打破すべく、お客さんが何を求めているのか調べなおし、今治タオルの売りである、「安心、安全、高品質」を見つめなおしました。

そして、ブランドイメージを確立させるために、柄物のタオルはやめて、あえて無地のものに絞りました。

すると、「今治タオル」=「無地の高価なタオル」というブランドイメージがつき、東京や海外の展示会に出品することで今の地位を確立させることができたのです。

今では、今治タオルと言えば、品質の良い高価なタオルというイメージがつき、ブランディングが成功しています。

もう一つ、成功した例をご紹介します。

「マツダ」があまり経営が良くないときの話です。

その状況を何とかしようと、それまでは万人受けの車を作っていたのですが、車好きの人々にのみ、求められる車を作ろうと顧客を絞って車を販売しました。

コアな、本当の車好きにのみ求められる車を作って売ったことで、「車にこだわるならマツダ」というブランドイメージがつき、今の地位を築いています。

このように、ブランディングをすることで、ブランドイメージがつき、顧客が商品を覚えたり、イメージしやすくなるので、必要なときに顧客がブランドを思い出し、その商品を買いやすくなるのです。

具体的なブランディング方法

歯科医院におけるブランディングとは、「先生のクリニックの正しい価値をブランドとして明確にし、そのうえでその価値が正しく患者さんに伝わるようにする」ことです。

でも、「自分のクリニックの正しい価値」なんて言われても、よくわかりませんよね?

「自分のクリニックは、普通の歯医者だけどな・・・」と感じてしまう先生もいるかと思います。

でも、簡単に先生のクリニックの正しい価値を見つける方法があります。

それは、患者さんに聞くことです。

「先生はとても感じがいいのよね」
「先生に診てもらうと、本当に痛くなくなるの」
「先生はとても親切よね」

このような言葉が返ってきたら、しめたものです。

患者さんはすでに、「親切なクリニック」=「先生のクリニック」と認識しています。

つまり、ブランドとして確立しているのです。

あとはその良いイメージを崩さないように、先生は行動すれば良いのです。

まだ良いイメージを確立できていない場合は?

すでに患者さんが良いイメージを持ってくださっているクリニックもあるかと思いますが、まだこれからイメージを作っていく段階の先生もいらっしゃるでしょう。

患者さんに良いイメージをもってもらえれば、口コミで「あそこの先生はとても優しい」だとか、「親切だった」と広がり、集患アップにつながります。

具体的に何をしたらいいのかと言うと、先生自身が患者さんだった場合、「先生にしてもらいたいことの理想」を叶えていけばいいのです。

例えば、「先生が優しい」だったら、具体的にどう優しいのか考えます。

言葉遣いや、笑顔で接することを心がけたり、「痛くないですか?」となるべく声かけしたりすることかもしれません。

他にも、「待合室が居心地良い空間だったらいいな」と思うのであれば、クリニックの待合室にウォーターサーバーを置いたり、静かなオルゴールの音楽をかけるのも良いでしょう。

このように、先生が通いたくなるような歯医者を作ることで、患者さんにも、「このクリニックに来たいな」と思ってもらいやすくなり、自然と良いイメージがつくようになってきます。

一番効果のある患者さんへのアピール方法

先生のクリニックでの「ブランド=強み」がわかったところで、今度はその強みをどのように患者さんにアピールすればいいのかが問題となってきます。

アピールするとなると、宣伝するために看板を作ったり、広告を立てないといけないような気がしますが、そんなことはありません。

広告に多くの費用をかけなくても、先生のクリニックの良さをアピールすることは可能なのです。

では何を使うのか・・・

それは、一番経済的で、患者さんが先生に集まるアピール方法、「口コミ」を使うことです。

でも、口コミは、先生が広告を出したりするわけでなく、患者さん自身が広めてくれる方法なので、ハードルが高そう・・・と思いますよね。

少し考えてもらいたいのですが、この口コミ、どんな宣伝よりも強力だと思いませんか?

色んな広告よりも、知人や親しい友達、親戚などが、「あそこの、あの商品すごくよかった!試してみて!」と言われた方が、圧倒的にその商品に対して「買ってみよう」とか、「試してみよう」という気持ちになります。

この口コミで、クリニックの良いイメージさえ広まれば、クリニックのアピールに繋がります。

自覚を持つ

良いイメージの口コミを広めるために必要なことは、「スタッフ全員でクリニックのイメージアップに取り組む」ことが大切です。

そのために、患者さんへの対応方法や、もちろん治療に関することまで、スタッフ全員と共有し、スタッフ全員が、「自分がクリニックの顔」だという自覚を持つことが大切です。

ある東京都のクリニックでは、スタッフ全員に対して研修を行っています。

この研修では、歯科医院の経営方針や、患者さんへの対応方法、もちろん治療に関することも行います。

日々研修を行う中で、患者さんには高齢者が多く、その付き添いの方もたくさんクリニックに来ることがわかりました。

そこで患者さんだけでなく、付き添いの方にもわかりやすい説明や、丁寧な対応を心がけるようにスタッフ全員で共有しました。

すると、質の高い対応をしてもらえると評判を呼び口コミで患者さんの増加につながったそうです。

スタッフの働く環境を整える

スタッフの離職率の低下は、患者さんの安心感にもつながります。

一見、スタッフの職場環境を整えることが、患者さんの安心感につながるとは考えにくいですが、先生のクリニックに通う患者さんの中には、スタッフと仲良くなって、そのスタッフと話すことが楽しみでクリニックに通う患者さんがいることもあります。

また、スタッフの入れ替わりが激しいと、スタッフの知識が浅く、患者さんに何か聞かれたときにすぐに回答できなかったり、対応が遅くなることで、患者さんに不信感を与えてしまいます。

患者さんが安心するクリニックを経営することで、先生の強みであるブランドを患者さんが口コミで広めてくれるようになるのです。

まとめ

今回は、歯科医におけるブランディングの方法についてお伝えしました。

  1. ブランディングとは、「○○と言えば、この歯医者!」というように、患者さんにクリニックのことを認識してもらうこと。
  2. ブランディングをするには、まずは自分のクリニックの強みを知ることが大切。
  3. クリニックのブランドのアピール方法には、口コミやスタッフの職場環境を整えることが大切。

歯科医にとってブランディングをすることは、周りの競合クリニックと差別化するためには非常に有効です。

何か特別なことをしなくてはいけないわけではなく、患者さんの居心地の良い空間を作ることで、また来たくなるクリニックを作ることがとても大切です。

ぜひ、今回お話したことを1つでも取り入れて、クリニックの集患率アップの向上にお役立ていただけたらと思います。

笠浪 真

1978年生まれ。京都府出身。藤沢市在住。大学卒業後、大手会計事務所・法律事務所等にて10年勤務。税務・法務・労務の知識とノウハウを習得して、平成23年に独立開業。
現在、総勢52人(令和3年10月1日現在)のスタッフを抱え、クライアント数は法人・個人を含め約300社。
息子が交通事故に遭遇した際に、医師のおかげで一命をとりとめたことをきっかけに、今度は自分が医療業界へ恩返ししたいという思いに至る。

医院開業・医院経営・スタッフ採用・医療法人化・税務調査・事業承継などこれまでの相談件数は2,000件を超える。その豊富な事例とノウハウを問題解決パターンごとに分類し、クライアントに提供するだけでなく、オウンドメディア『開業医の教科書®︎』にて一般にも公開する。

医院の売上を増やすだけでなく、節税、労務などあらゆる経営課題を解決する。全てをワンストップで一任できる安心感から、医師からの紹介が絶えない。病院で息子の命を助けてもらったからこそ「ひとつでも多くの医院を永続的に繁栄させること」を使命とし、開業医の院長の経営参謀として活動している。

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