患者満足度を高めて経営改善!患者さんを増やす3つの方法
はじめに
「患者さんが集まらない」「思っていたよりも経営が上手くいかない」
というお悩みはありませんか?
患者さんの来院数を増やしたい、患者さんに支持される医院を作りたいとお考えでしたら、まずは患者さんの満足度を高めることが近道でしょう。
患者さんの満足度を高めることで、「またこの先生にお世話になりたい」「またこの医院に来たい」と思ってもらいやすくなるからです。
逆に、患者さんの希望や満足度を放置し、患者さん目線でない医院を経営し続けると、患者さんが先生の医院から遠のいてしまったり、他の医院にかかりつけ医を変更してしまいかねません。
そうなる前に、患者さんの心を掴み、患者満足度を高めることで、先生の医院のファンにしましょう。
ということで今回は、患者さんの満足度を高める3つの方法についてお話します。
患者満足度を高める方法① 患者さん目線の診察、していますか?
先生は、診察時、患者さんに対して無意識にそっけない対応をしてしまってはいませんか?
初診の患者さんが「またこの先生に診てもらいたい」と思う理由の一つに、「医師の対応の良さ」があります。
というのも、患者さんは来院する際、体調不良や健康に不安があって来院します。
気持ちが不安定になっていたり、来院前に病状を調べ、心配が増していたりするかもしれません。
そのような状態の患者さんにそっけない対応をしてしまうと、
「ここの先生は優しくないな」「次は違う病院に行ってみよう」
と思ってしまうものです。
もっと最悪のケースでは、その患者さんにとどまらず、「あそこの病院は先生が不親切だ」などと、まだ先生の医院に来たことのない人にまで噂を広められてしまうこともあります。
こういった最悪の事態を避けるには、普段から先生が患者さんの立場に立って、寄り添って接することを心がけることが大切です。
では、具体的に“寄り添う“とはどのようにすれば良いのかというと、
- 患者さんに対して笑顔で対応する
- 医療用語はなるべく使わず、わかりやすい言葉を使う
- 患者さんの「こんなこと言っていいのかな」という小さな不安を聞き出す
まずはこの3点を心がけてみてください。
最後の、“小さな不安を聞き出す”に関しては、診療最後に
「何かほかに、気になることはありませんか?」
と患者さんに質問するのです。
先生は患者さんに質問をしなくても、ある程度症状を把握することができるときもあるかと思います。
しかし患者さんは、先生にあまり質問されないと、
「なぜこの先生は私に何も聞かないのだろう。ちゃんと診察してくれているのかな」
と不安になってしまうのです。
患者さんの立場に立って診察を行えば、自然と患者満足度が向上し、患者さんに「また診てもらいたい」と思われる先生になれるはずです。
患者満足度を高める方法② 待ち時間の対応はできていますか?
医院・クリニックの患者満足度を高める方法の一つに、「待ち時間の改善」があります。
なぜならば、待ち時間の改善はどの病院でも課題であるほどに、患者さんの関心ごとになっているからです。
あまりに待ち時間が長いと、
「体調が悪いときに長時間の待ち時間になってしまうと辛い」
という方が出てきます。
高齢の方などは、「座りすぎて腰が痛くなる」と、逆に体調が悪化してしまうこともあります。
せっかく医院に来たのに、長時間待たされて体調を悪化させたら、本末転倒ですよね。
どんなに診察をしてくれる先生を患者さんが気に入っていても、あまりに長時間待たされてしまうと、
「他のすいている医院に行こう」「あそこの病院は、いつも1時間は待たされるから、もう市販薬でいいや」
と思われてしまいます。
小さいお子さんがいる場合、お子さんが待つことに飽きてしまい、待合室を走り回ったり、泣き出したりすることで、周りの患者さんのイライラを増幅させてしまうこともあります。
さらに、患者さんが長時間待つことは、先生にとってもいいことはありません。
長時間待たされた患者さんの中には、待たされたことに対してイライラが爆発する人がいます。
先生に対して嫌な発言等をしてきたりするかもしれません。
つまり、長時間の待ち時間は患者さんの体調だけでなく、精神面も不安定にさせる要素となり、先生の診察にも影響がでる恐れがあるので、放置すべきではありません。
とある耳鼻科でも、長い待ち時間により、患者さんのイライラの増幅や、医院離れで悩んでいました。
リラックスしてほしいはずの待合室で、イライラを増幅させては意味がありません。
「このままでは患者さんが離れる・・」と不安に感じた院長は、次の改革を行いました。
- インターネットでできる事前予約制にし、患者さんが待ち時間を有効活用できるようにする
- 待合室に様々な種類の本を設置する
- 小さいお子さん対策として、“着脱可能なぬいぐるみ”、“シールブックや知育ブックを置く”
この対策をしたことで、何も対策をしなかったころよりも、患者さんのクレームはなくなり、小さいお子さんも静かに待合室で待つことが出来ているそうです。
アプリやインターネットの事前予約制はすぐに対応できなかったとしても、電話での予約制に切り替えることで対応できます。
また、お子さんに向けての知育ブック等の設置は、本さえ買えば対応できるかと思います。
長くなってしまう待ち時間を、少しでも紛らわせるためには、待合室を工夫することも大切です。
待ち時間対策は、ほとんどの患者さんの関心事である分、改善できれば、患者満足度が高まるので、ぜひ試してみてください。
患者満足度を高める方法③ 最も成果のある患者満足度アップの方法とは?
最後に、一番効果がある患者満足度を高める方法をご紹介します。
この方法を使えば、最短最速で患者満足度を高めることができます。
先生は、患者さんの本当に望んでいることや、不安・不満を把握していますか?
患者さんが病院に来なくなる理由は、
「先生の対応が悪かった」「長時間待たされた」「受付スタッフの対応が・・・」
など多岐にわたります。
そのため、来院数を増やすには、患者さんの不満・不安を解消することが重要です。
そこで、“患者満足度調査”が役立ちます。
患者満足度調査は、大学病院などでよく行うイメージがあるかと思いますが、個人経営の医院、クリニックでもおすすめです。
なぜならば、この調査をすれば、患者さんの不安・不満を知ることができるので、患者さんの足が医院から遠のいている原因を知ることができ、医院経営の改善に役に立つ情報を得ることができるからです。
患者さんから不安、不満を取り除き、改善すれば、来院数は増えます。
是非、先生には患者満足度調査をすることで最短最速な方法で患者さんの不満を取り除き、繁盛医院となっていただきたいです。
では、患者満足度調査とは、具体的にどのような方法で行うのでしょうか?
待合室での待ち時間を有効活用
まず手軽に行えることは、“ご意見箱”の設置です。
これは、あえて時間をとって書いてもらうものなので、手厳しい意見もあるかと思います。
しかし、患者さんの不安・不満を知り、改善することが繁盛医院の近道です。
患者満足度調査をせずに、先生や医院のスタッフの意見や予測だけで
「ここを改善するべきなのでは」と策を打ち出したとしても、的外れな対策となりがちで、なかなか来院数を伸ばすことができません。
患者さんの気持ちは、患者さんにしかわかりません。
そうなると、対策の意味がなくなってしまいますね。
経営側の思い込みで、患者さんの本当に感じていることや、不安・不満を拾えなくなることは、よくあることなのです。
神奈川県のある医院では、ご意見箱を設置したところ、
「待ち時間が長いので、もう少し早く診察して欲しい」
という声が多くありました。
実は、この医院では「一人ひとり丁寧に時間をかけて診察すること」を心がけており、それが患者さんに喜ばれていると思っていたのです。
しかし、実際は、患者さんは「時間がかかりすぎている」と感じていました。
経営側の思い込みと、患者さんの気持ちにずれが生じていたのです。
この医院はのちに待ち時間、診察時間の改善につなげることができました。
このように、ご意見箱を設置することで、患者さんの本当の希望や不安・不満を知ることができます。
さらに深くまで患者さんの気持ちを知るには・・・?
ご意見箱よりも、さらに深くまで患者さんの気持ちを知ることができる方法があります。
それは、“アンケート調査”です。
“アンケート調査”と聞くと大変そうですが、いくつかの選択肢の中から、チェックをしたり丸をつけるだけの形式に、自由回答欄をつけたものにすることで、患者さんの手間が少なくなり、回答率も高くなります。
また、調査したい項目を絞り込むことで、質問数をなるべく少なくすることも大切です。
そこで得た患者さんの意見は、院内のスタッフ全員で共有し、改善策を打ち出すことで、院の成長につなげることができます。
埼玉県のあるクリニックでアンケート調査を行ったところ、
「スタッフの接客態度に問題がある」
という患者さんの意見がありました。
院長からはそんなように見えなかったのですが、他の場面では問題があったようです。
この結果を受けて、スタッフにヒアリングを行ったところ、仕事が多く手が回らないときに、どうしても接客がおろそかになってしまっていたという事実がわかりました。
その後、人手を増やすことで、この問題を改善することができました。
このように、ご意見箱の設置や、アンケート調査をすることで、経営側が気づかなかった問題点に気づき、改善することができます。
すると、時間がかかったとしても、患者さんの中で、
「ここの病院は居心地がいいな」「またこの病院に来たいな」
と感じるようになり、何度も先生の医院に足を運んでくれるようになるのです。
まとめ
今回は患者満足度を高める方法についてお伝えしました。
- 患者さん目線の診療、診察を心がけ、患者さんに不安を与えないこと
- 待ち時間対策を行い、患者さんのイライラを増幅させないこと
- 患者満足度調査を行い、患者さんの不安・不満を知って改善すること
患者さんの不安・不満は、医院経営に大きく影響を及ぼします。
患者さんの不安・不満を理解し、一つ一つ改善していくことで、繁盛医院に近づくことができます。
ぜひ今回お話したことを参考に、患者満足度を高め、医院経営に役立ててください。
監修者
笠浪 真
税理士法人テラス 代表税理士
税理士・行政書士
MBA | 慶應義塾大学大学院 医療マネジメント専攻 修士号
1978年生まれ。京都府出身。藤沢市在住。大学卒業後、大手会計事務所・法律事務所等にて10年勤務。税務・法務・労務の知識とノウハウを習得して、平成23年に独立開業。
現在、総勢52人(令和3年10月1日現在)のスタッフを抱え、クライアント数は法人・個人を含め約300社。
息子が交通事故に遭遇した際に、医師のおかげで一命をとりとめたことをきっかけに、今度は自分が医療業界へ恩返ししたいという思いに至る。
医院開業・医院経営・スタッフ採用・医療法人化・税務調査・事業承継などこれまでの相談件数は2,000件を超える。その豊富な事例とノウハウを問題解決パターンごとに分類し、クライアントに提供するだけでなく、オウンドメディア『開業医の教科書®︎』にて一般にも公開する。
医院の売上を増やすだけでなく、節税、労務などあらゆる経営課題を解決する。全てをワンストップで一任できる安心感から、医師からの紹介が絶えない。病院で息子の命を助けてもらったからこそ「ひとつでも多くの医院を永続的に繁栄させること」を使命とし、開業医の院長の経営参謀として活動している。