歯科医院が自費診療の割合を増やして売上UPするための6STEP
「保険診療をなくすつもりはないが、もう少し自費率を上げられないか」
売上UPを図りながら、患者さんのニーズに合った治療をしたいと考えて、自費診療の割合を増やそうと考えている歯科医院の先生は多いのではないでしょうか?
歯科医院の売上UPでは、自費診療の割合を増やすことは欠かせません。
もちろん、保険診療をないがしろにしていいわけではありませんし、闇雲に自費率を増やせばいいわけではありません。
ただ、アクティブな高齢者の歯科需要の増加、予防歯科の普及に加えて、小児歯科の自費診療のニーズも大きくなっています。
時代の変化に合わせて歯科医院が生き残るためには、保険診療だけでなく、自費診療も含めて治療内容を検討することが必要不可欠です。
「自費を勧めて嫌がられないか」と不安がる先生も少なくないですが、患者さんが適切な治療を受けるためにも、自費診療の提案は必要です。
歯科医院の特徴にもよりますが、自費率を増やすことは、歯科医院にとっても患者さんにとってもwin-winの方法です。
そこで、自費診療を増やすための方法を6STEPでお伝えしていきます。
【STEP1】保険診療の集患を増やして関係性を築く
現状、保険診療が中心となっている歯科医院の先生は、まずは集患を増やして既存の患者さんとの関係性を築くことが大切です。
自費率を増やすからといって、保険診療の患者さんをないがしろにするわけではありません。
保険診療の患者さんと関係性を築いたうえで、必要な治療を判断して、そのうえで自費診療を勧めていくことが大切です。
もちろん、ホームページなどで自費診療の患者さんを集めることも必要ですが、最初から必要性を強く感じていて、意識の高い患者さんに限られます。
ニーズが強く顕在化した患者さんを集めると同時に、既存の患者さんと関係性を築きながら、必要な治療を見極めていきましょう。
もちろん、患者さんの経済状況や、治療に対する理解度などで断られることもあります。
しかし、関係性のできた患者さんの方が、自費診療を説明しやすいのは事実です。
既存の患者さんからアプローチすることで、無理なく自費診療の割合を増やすことができます。
また、既存患者さんのニーズをもとにして、患者さんのターゲット属性を見極めた方が、ホームページなどで新患を集めやすくなるでしょう。
【STEP2】患者さんの離脱を防ぎながらニーズを見極めて自費診療を勧めていく
先ほどお伝えしたように、患者さんと関係性を築きながらニーズを見極めていくことが大切です。
ということは、新患獲得も重要ですが、患者さんの離脱を防ぐような工夫も必要になります。
そのため、リピート率が低い、離脱率が高いようであれば、離脱する患者さんを減らすことも必要となってきます。
患者さんの離脱を防ぐようにするには、次のような対策・改善が考えられます。
・患者さんに定期検診を打診してみる
・患者満足度を上げられるように接遇力を上げる
・メールやLINEを活用して再来院を促す
患者さんが継続的に来院するようになったら、患者さんとのコミュニケーションも大切にしながらニーズを見極めていきましょう。
無理に自費診療を勧めると、高額な治療費に引いてしまったり、嫌悪感を覚えたりします。
場合によっては悪い噂が流されたり、口コミサイトで低評価が付けられたりすることになりかねません。
自費診療の必要性を伝えながら、患者さんの要望を最後まで聞きながら見極めていくことが大切です。
また、自費診療を説明する院長先生やスタッフの表情、話し方、声のトーンにも気を配る必要があります。
このような接遇態度は、思いのほか患者さんは見ています。
患者さんの離脱を防ぎ、自費診療を促すことができるようになってきたら、再現性を高めるためにマニュアル化しましょう。
【STEP3】自費治療の院内掲示をしたりパンフレットを作成したりする
自費治療の割合を増やしていくなら、歯科医院の院内掲示で、自費診療のことを伝えたり、パンフレットを作成したりしましょう。
新患目的のホームページやランディングページ、チラシなどは医療広告ガイドラインの規制があり、説明できることに限界があります。
しかし、院内掲示や院内で配布するパンフレットは、医療広告ガイドラインでは広告と定義されないため、比較的説明しやすいです。
自費診療の治療内容ごとに、院内掲示でポスターを貼ったり、モニターで映像を流したりするといいでしょう。
院内掲示で自費診療を勧めたくらいでは、嫌な思いをする患者さんはほとんどいません。
さらに、院内用のパンフレットやリーフレットを作成することで、気になる患者さんに読んでもらえます。
「自費診療がうまく説明できない」という方は、パンフレットを手に取って患者さんに説明することもできます。
患者さんに説明しやすくするという点では、さらに治療計画を示したうえで、自費診療の価格表や見積書も作成しておくといいでしょう。
歯科医院や、自費診療の内容にもよりますが、保険診療と自費診療では、用意しておいた方がいいツールが違うこともあります。
【STEP4】既存患者さんのニーズをもとに自費診療のターゲットを整理する
自費診療の新患を集めるため、チラシやホームページを用意した方がいいのは間違いありません。
ただ、チラシやホームページを作成する際は、既存の患者さんが困っていることやニーズをもとに、ターゲットを整理しておくことが大切です。
具体的には、わかる範囲で次のことを整理しましょう。
・患者さんの主な性別
・患者さんの年齢層
・患者さんの職業や年収の傾向
・患者さんの趣味や習い事
・患者さんがどんなことに悩んでいるか
・患者さんがどんなことを求めているか
・患者さんがどんな治療を求めているか
・治療によってどんな状態になることを期待しているか
・なぜ患者さんが先生の歯科医院を選んだのか
まったく実施したことのない治療をいきなり導入するわけではなく、既存の患者さんから自費診療をスタートすれば、上記のことは明確にしやすいです。
できれば、患者さんにアンケートの依頼をすることがおすすめです。
【STEP5】医療広告ガイドラインに注意しながらチラシやホームページを作成する
ターゲットの属性が明確になったら、チラシやホームページ、もしくはランディングページを作成しましょう。
すでにホームページを作成する際は、自費診療について詳細なことを記載している下層ページを追加してもいいでしょう。
ただ、その際は、トップページに自費診療用のバナーを設置するなど、流入しやすくしておく必要があります。
スタッフに、導入した自費診療についてSNSやブログを発信してもらうのもいいでしょう。
詳しいことは、歯科業界に精通したホームページ制作会社に相談するようにしてください。
また、チラシなどのオフライン集客も同時に進めていきましょう。
なお、先ほどもお伝えしたように、チラシやホームページ、ランディングページは医療広告ガイドラインの規制があります。
・患者さんの体験談がNG
・「地域No.1」「口コミランキング1位」など比較優良表現がNG
・著名人の来院実績
・特典やキャンペーンがNG
など、様々な制約があるので、外注する際は、医療広告ガイドラインに精通した制作会社を選びましょう。
医科歯科クリニックのホームページの作成については、以下の記事をご覧ください。
【STEP6】自費診療の口コミが広がるように患者満足度を高める
チラシやホームページでは、どうしても医療広告規制があるので説明に制約が出てきて、PRするには限界があります。
そのため、患者さんから口コミが得られるように、普段から患者満足度を高めるようにすることも大切です。
先ほどお伝えしたように、接遇力を上げたり、離脱を防ぐためにメールやLINEを活用して再来院を促したりしましょう。
そのうえで、歯科医院の内装も、普段から清潔にしておくなど気を配るようにしてください。
歯科医院の全体的な雰囲気も、意外と患者さんの評判に影響を与えます。
これらが功を奏して、患者さんの良い口コミが起こり、自費診療の効果が伝わるようになれば非常に信憑性の高いデータになります。
しかし、報酬や特典を与えて体験談等の記載を依頼することは、医療広告ガイドラインではNGとされているので注意してください。
また、このように宣伝であることを隠して口コミを発信させることをステルスマーケティング(ステマ)と言います。
ステルスマーケティングは、2023年から景品表示法で違法とされているので注意してください。
【まとめ】既存患者さんのニーズから自費診療を広げていく
以上、歯科医院の自費診療の割合を増やすための6STEPについてお伝えしました。
自費診療を導入するからといって、既存の保険診療の患者さんをないがしろにするわけではありません。
むしろ、既存の患者さんとの関係性を構築して、ニーズを引き出していくことが大切です。
今後の時代の流れを考えても、高齢者や子どもを中心に自費診療のニーズは高まると考えられます。
特に開業したばかりの歯科医院は、保険診療がメインの傾向がありますが、徐々に自費診療の導入も検討していきましょう。
最後までご覧いただきありがとうございました。
監修者
笠浪 真
税理士法人テラス 代表税理士
税理士・行政書士
MBA | 慶應義塾大学大学院 医療マネジメント専攻 修士号
1978年生まれ。京都府出身。藤沢市在住。大学卒業後、大手会計事務所・法律事務所等にて10年勤務。税務・法務・労務の知識とノウハウを習得して、平成23年に独立開業。
現在、総勢52人(令和3年10月1日現在)のスタッフを抱え、クライアント数は法人・個人を含め約300社。
息子が交通事故に遭遇した際に、医師のおかげで一命をとりとめたことをきっかけに、今度は自分が医療業界へ恩返ししたいという思いに至る。
医院開業・医院経営・スタッフ採用・医療法人化・税務調査・事業承継などこれまでの相談件数は2,000件を超える。その豊富な事例とノウハウを問題解決パターンごとに分類し、クライアントに提供するだけでなく、オウンドメディア『開業医の教科書®︎』にて一般にも公開する。
医院の売上を増やすだけでなく、節税、労務などあらゆる経営課題を解決する。全てをワンストップで一任できる安心感から、医師からの紹介が絶えない。病院で息子の命を助けてもらったからこそ「ひとつでも多くの医院を永続的に繁栄させること」を使命とし、開業医の院長の経営参謀として活動している。