歯科医院でリピート率・自費率UPを促すカウンセリング法を公開

公開日:2024年10月15日
更新日:2024年10月15日

競争が激しいと言われる歯科医院ですが、大切なことは新規集患だけではありません。

「売上=集患×単価×リピート率」と言われるように、リピート率・自費率も重要です。

リピート率・自費率をアップするには、患者さんへのカウンセリングのスキルを身に付けることが欠かせません。

患者さんの悩みや願望を聞いて、治療のニーズを引き出すことで、最適な治療を選択してもらい、何度も来院してもらえるようになります。

信頼関係を構築することで、保険診療だけでなく、自費診療も提案しやすくなります。

また、患者さんに寄り添い、求めた治療を行うことでクレームなどのトラブル防止にも繋がります。

そこで、今回は歯科医院でリピート率・自費率アップを促すためのカウンセリング法についてお伝えします。

カウンセリングで歯科医院のリピート率・自費率アップに繋がる3つの理由

歯科医院でカウンセリングスキルを身に付けることで、リピート率・自費率アップに繋がる理由は次の通りです。

患者さんが必要とする治療を提供できるので患者満足度が上がる

カウンセリングスキルを身に付けることで、患者さんが必要とする治療ができるので、患者満足度が上がります。

ただ単に検査をして、悪いところを治療するだけであれば、どの歯科医院でもできますし、それでは今後の歯科治療のニーズに対応しきれません。

治療も技術ですが、カウンセリングも必須の技術です。

話しやすい雰囲気を作って、患者さんに、歯に関する悩みや願望を詳しく話してもらうことで、ニーズを引き出していくことは欠かせません。

カウンセリングで適切な治療を提供できれば、患者さんは満足しますし、良い口コミに繋がります。

結果として、リピート率はもちろん、広告宣伝費をかけずに集患力を上げることも可能になります。

患者さんとの信頼関係が構築できるので自費診療を提案しやすい

適切なカウンセリングを徹底することで、患者さんとの信頼関係が構築されます。

患者さんは、先生やスタッフのことを信頼するので、自費診療を提案しても受け入れやすくなるのです。

患者さんとの信頼関係を築くことは、自費率を増やすためのファーストステップです。

自費率に悩む歯科医院の大半は、患者さんとの信頼関係でつまずいています。

自費率を上げたいと考えるのであれば、患者さんとの信頼関係を構築できるように努めましょう。

クレームなどのトラブル防止に繋がる

カウンセリングを適切に行うことで、患者さんからのクレームなどのトラブル防止に繋がります。

歯科治療では、「勝手に歯を削られた」「変なものを詰められた」「高額の自費診療を強引に勧められた」などのトラブルが少なくありません。

トラブルが起きれば、患者さんはすぐに離脱しますし、悪い口コミにもつながり集患対策でもダメージが出てきます。

患者さんの多くは、歯科治療に対して不安と緊張を感じています。

患者さんの緊張をほぐしながら、説明義務を十分に果たしたうえで、患者さんが求める治療内容を提案していきましょう。

患者さんのリピート率アップを促す4つのカウンセリング法

それでは、患者満足度を上げて、リピート率アップを促す診察やカウンセリング法についてお伝えします。

1つでも実践できそうなことがあれば、取り入れてみてください。

患者さんが話しやすい雰囲気を作って傾聴する

歯科医院は、歯科診療を提供すると同時に、対患者さんで成り立つサービス業であり、接客業でもあります。

診察やカウンセリング時では、患者さんが話しやすい雰囲気を作って、些細なことでも小さな不安や気になる症状があれば話してもらいましょう。

例えば、次のようなことを心がけるだけでも、患者さんは話しやすくなります。

・患者さんの目を見る
・姿勢をやや前のめりにする
・うなずきと相槌
・オウム返し

「なんだ、そんなことか」と思うかもしれませんが、どれか1つだけでも取り入れると、患者さんは心を開きやすくなります。

詳細は、以下の記事を参考にしてください。

患者さんの心を掴む!医療の接遇力を高める方法3つ

はじめに 先生は、医療の接遇と聞いて、どんなイメージをお持ちですか? 「あいさつや言葉遣い、話し方を丁寧にすること?」 「良いサービスを提供すること?」 と思われ…

患者さん目線で診察する

患者さんに寄り添って傾聴することに加え、先生が患者さんに説明する際は、患者さん目線を忘れないようにしましょう。

具体的に患者さん目線とは、次のようなことです。

・患者さんに対してなるべく笑顔で対応する
・医療の専門用語はなるべく割けて分かりやすく説明する

パンフレットなどを作成したり、ホワイトボードなどで図解で説明したりするのもいいでしょう。

そうすることで、患者さんは自分にとってどんな治療が必要なのか、どれくらい通院すればいいのかを理解できます。

また、難しい専門用語を並べるより、わかりやすく解説する方が親身な印象を持たれるので、患者満足度も高くなります。

詳細は、以下の記事をご覧ください。

患者満足度を高めて経営改善!患者さんを増やす3つの方法

はじめに 「患者さんが集まらない」「思っていたよりも経営が上手くいかない」というお悩みはありませんか? 患者さんの来院数を増やしたい、患者さんに支持される医院を…

患者さん説明用の資料を用意しておく

上記のように、わかりやすく説明する自信がない場合は、あらかじめパンフレットや紙芝居など資料を用意しておくのもいいでしょう。

資料を一から作るのではなく、院内掲示で用いているパンフレットを使って作成しても構いません。

歯科医院の場合、医療広告ガイドラインの規制があるため、ホームページなどで患者さんの体験談などは載せられません。

しかし、院内掲示や患者さん説明用の資料であれば、医療広告ガイドラインの規制対象外になります。

【医療広告ガイドライン徹底解説】知らないと怖い医療広告規制12個のポイント

医院・クリニックなどでホームページ、チラシを作成する際に気を付けなければいけないのが広告規制です。 医療機関の広告は景品表示法だけでなく、医療法により厳しく規制…

そのため、広告規制を気にすることなく、患者さんの体験談などを使ってわかりやすく説明することができます。

実際、患者さんに親身な歯科医院の先生ほど、説明用の資料を持っています。

患者さんへのカウンセリングに自信がない場合は、事前に資料を用意するなど、自分なりの型をいくつか持っておくといいでしょう。

問診票だけでなく患者さんの様子を観察する

カウンセリング前に、患者さんの問診票に目を通しておくことはもちろんですが、実際の患者さんの様子も観察してみましょう。

・不安そうでないか?
・忙しくて早く帰りたいのではないか?
・どれくらい歯が痛そうか?

といったことを観察したうえでカウンセリングすると、問診票に記載されていない症状や悩みを引き出せることがあります。

問診票を書いてもらっても、「この辺の歯が痛い」「歯が欠けた」くらいしか言わない患者さんは少なくありません。 患者さんの様子を見て、「他に気になることはないか」という視点でカウンセリングするようにしましょう。

患者さんの自費率アップを促す3つのカウンセリング方法

次に、患者さんの自費率アップを促すことができるカウンセリング法についてお伝えします。

自費診療の場合、患者さんは「無理やり高額の治療を勧められるのではないか?」と警戒していることがあります。

保険診療以上に、患者さんのニーズを引き出してわかりすく説明して、様々な治療の選択肢を与えることが求められます。

なお、カウンセリングに限らず、自費率をアップする施策については、以下の記事で詳しく解説しています。

歯科医院が自費診療の割合を増やして売上UPするための6STEP

「保険診療をなくすつもりはないが、もう少し自費率を上げられないか」 売上UPを図りながら、患者さんのニーズに合った治療をしたいと考えて、自費診療の割合を増やそうと…

院内で自費診療用のパンフレットを作成して患者さんに周知する

通院している患者さんは、自費診療についてあまり知識がないことがほとんどです。

さらに、特に新患の場合は保険適用内で治療をしてほしいと思っていることが大半です。

そんな患者さんに信頼関係を構築することなく、いきなり自費診療を勧めても、興味をもってもらえるはずがありません。

そこで、患者さんに自費診療を勧める前に、パンフレットなどを院内に置いて、患者さんに周知するのです。

東京都のあるクリニックでは、患者さん一人ひとりに説明している余裕はありませんでした。

そこで、待合室で診察を待つ患者さんへのプロモーションを強化。自費診療のメニューやメリットを記載した掲示物を待合室に貼り、自費診療に関するパンフレットも作成して待合室に設置、待合室のテレビで自費診療に関する動画を流した所、自費診療に興味を持つ患者さんが増えたそうです。

患者さんとの関係構築は、何も診察やカウンセリングだけの話ではありません。

患者さんの待ち時間を有効に活用することも関係構築の1つです。

パンフレットについては、患者さんに口頭で説明する際も役立つので、ぜひ取り組んでみましょう。

患者さんのニーズを引き出して自費診療の必要性に気付いてもらう

カウンセリングで自費診療を勧めたい場合は、いきなりメニューを見せるのではなく、まずは患者さんのニーズを引き出しましょう。

自費診療について詳細な説明をするのは、その後です。それより自費診療の必要性に気付いてもらうことが大切です。

歯科医院に限らず、人は現状の不満・不安を解決したり、願望を叶えたりしてくれる商品を購入します。

例えば、車を買うときで考えてみましょう。

「いま、車はあるけど随分前に買った車だし、買い替えようかなぁ。もっと小回りの利く、小さい車が欲しいなぁ」と「現状の不安・不満」を考えます。

そのあとに、車を見に行って試乗してみると、

「やっぱり小回りの利く車は、いいな。欲しくなってきた。値段が少し高いけど買おう」

と最終的には購入するでしょう。

不満や悩み、願望が商品購入のきっかけになることは、自費診療でも同じことが言えます。

「歯が痛い」という不満を解消する手段は何か?

「もっと歯をきれいに見せたい」という願望を叶える手段は何か?

それが自費診療だとしたら、患者さんにスムーズに提案することができるでしょう。

自費診療のカウンセリングでは、患者さんのニーズを引き出すことを必ず意識しましょう。

患者さんに様々な選択肢を与える

患者さんへのカウンセリングでは、ただ自費診療の良さを伝えるだけでなく、メリット・デメリットを伝えたうえで様々な選択肢を与えましょう。

無理に自費診療だけゴリ押ししても、患者さんは抵抗するだけです。

自費診療の内容と価格を十分伝えたうえで、できれば保険診療の選択肢も与えて、各々のメリット・デメリットを伝えましょう。

そのうえで、患者さんにどちらがいいか、ベストな選択をしてもらうのです。

その結果、高額の自費診療を選んだとしても、患者さんは自分で納得して選んでいるわけなので、クレームは起きません。

例えば、埼玉県のとある歯科クリニックでは、自費率アップのために、次のようなカウンセリングの取り組みをしています。

・保険診療と自費診療ともにどのような治療が施されるのが、患者さんに丁寧に説明する。
・各々のメリット、デメリットをきちんとお伝えして、患者さんの不安を解消する。
・今だけでなく、何年か先、どうなるかという長期的な目線で治療の効果を伝える。できれば、写真などを用意してわかりやすく説明する。
・自費診療、保険診療で総額いくらかかるのか、患者さんにしっかりと伝える。
・患者さんにいくつか選択肢を用意する

このように、自費診療と保険診療の違いを説明しながら、患者さん自身にメニューを選んでもらうといいでしょう。

スタッフにカウンセリング内容を共有しておくこと

自費診療、保険診療に関わらず、カウンセリング内容はできるだけスタッフに共有しておきましょう。

スタッフに情報共有する目的は、概ね次の2点です。

・患者さんからどのスタッフに問い合わせが来ても答えられるようにするため
・チーム全体でカウンセリングスキルを上げるため

患者さんの情報は、スタッフ全員で共有し、誰でも状況を把握しておくことで、再来院した際のカウンセリングで適切な説明・提案ができます。

また、先生とスタッフでミーティングを開き、上記のようなコツを共有することで、チーム全体でカウンセリングスキルを上げることが可能です。 「患者さん一人ひとりに合った、質の高い医療を提供して、症状の改善に役立ちたい」という想いを院内全体で持つようにしましょう。

【まとめ】カウンセリングスキルの上達でリピート率・自費率アップを目指す

歯科医院のリピート率・自費率アップのためのコツをお伝えしました。

治療技術と同様に、カウンセリングスキルの向上は、患者さんへの適切な治療に繋がり、患者満足度が向上します。

強引に高額な自費治療を勧めるのではなく、あくまで患者さんに合った提案をするということを忘れないようにしましょう。

最後までご覧いただきありがとうございました。

笠浪 真

1978年生まれ。京都府出身。藤沢市在住。大学卒業後、大手会計事務所・法律事務所等にて10年勤務。税務・法務・労務の知識とノウハウを習得して、平成23年に独立開業。
現在、総勢52人(令和3年10月1日現在)のスタッフを抱え、クライアント数は法人・個人を含め約300社。
息子が交通事故に遭遇した際に、医師のおかげで一命をとりとめたことをきっかけに、今度は自分が医療業界へ恩返ししたいという思いに至る。

医院開業・医院経営・スタッフ採用・医療法人化・税務調査・事業承継などこれまでの相談件数は2,000件を超える。その豊富な事例とノウハウを問題解決パターンごとに分類し、クライアントに提供するだけでなく、オウンドメディア『開業医の教科書®︎』にて一般にも公開する。

医院の売上を増やすだけでなく、節税、労務などあらゆる経営課題を解決する。全てをワンストップで一任できる安心感から、医師からの紹介が絶えない。病院で息子の命を助けてもらったからこそ「ひとつでも多くの医院を永続的に繁栄させること」を使命とし、開業医の院長の経営参謀として活動している。

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