インプラントで集患・増収増益するためのマーケティング戦略4つの基礎
自費診療の1つであるインプラントは利益率が高いうえに、患者さんのニーズが高いので、多くの歯科医院で取り入れられています。
下記の図からわかるように、高齢者ほどインプラントの割合が多くなるので、高齢化社会では今後もインプラントの需要は伸び続けると考えられます。
※厚生労働省「令和4年歯科疾患実態調査結果の概要 」より抜粋
ただ、比較的導入しやすい治療の1つなので、多くの歯科医院が取り入れており、差別化が難しいところがあります。
そのため、多くの先生はインプラントの成約が伸びず、売上が伸び悩む傾向にあります。
単に儲かるからといってインプラントを導入することは望ましくないですが、今後の歯科治療の需要を考えると、決して無視できない課題です。
そこで、インプラントの集患・増収増益するためのマーケティング戦略の基礎をお伝えします。
【大前提】マーケティング以前に高度な技術を身に付けることが重要
まず、大前提として、インプラントで増収増益を図るのではあれば、マーケティング以前に高度な治療技術を身に付けることが必須です。
しかも、治療技術は日進月歩で進化するので、常にアップデートを行う必要もあります。
具体的に、インプラントは、通常の歯科治療の他、次の技術や知識が求められます。
・口腔外科的な知識と治療技術
・補綴分野の知識と治療技術
・歯周病予防・治療の専門知識
・インプラントのメンテナンスに関する技術
・インプラント治療技術の最新情報
単に儲かる、利益率が高いという理由で、安易なマーケティング思考に偏るようになってしまうと、患者満足度の大幅な低下に繋がります。
マーケティングの観点で見ても、他の歯科医院と差別化するには、患者さんのニーズに合わせた治療技術の研鑽が欠かせません。
あらゆる商品・サービスを見ても、マーケティングは高い商品力があって初めて成り立つものです。
ただ、インプラントの治療技術とマーケティングは、別の話になることも事実です。
・患者さんはなぜインプラントを必要としているのか?
・他の歯科医院のインプラント治療とは何が違うのか?
・患者さんにどのようにインプラントの必要性を伝えていくか?
・インプラントで患者満足度を上げていくにはどうしたらいいか?
といったことも当然重要になってきます。
腕が良ければ、自然と患者さんはついてくるわけではありません。
インプラントの高度の治療技術を持ちながら、適切な方法で患者さんを集患することが大切です。
インプラントで増収増益するためのマーケティング戦略4つの基礎
それでは、インプラントで集患・増収増益するためのマーケティングの基礎をお伝えします。
より、具体的に集患対策について知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
インプラントを勧めても大丈夫な患者さんを見極める
まずは、インプラント勧めても大丈夫な患者さんを見極めることが重要です。
よく、患者さんにインプラントを勧めるが成約しないという話を聞きますが、無理に勧めようとしたところで逆効果です。
患者さんに「あそこは無理矢理自費診療を勧めるところだから、もう行かない」となって離脱される可能性があります。
場合によっては、「金儲け主義」などと口コミが広まって悪評が広まりかねません。
具体的に、インプラントを勧めても大丈夫な患者さんは、次のいずれかです。
・ホームページなどを見て最初からインプラント目的で来院した新規の患者さん
・保険診療で関係性を築いてインプラントの必要性が出てきた既存の患者さん
マーケティング上の話をすると、前者が「今すぐ客」というニーズが顕在化した患者さんです。顕在顧客とも言います。
後者は、新規来院時にはニーズが顕在化していないが、インプラントも何となく考えている程度の「そのうち客」です。
ニーズがまだ顕在化していないので「潜在顧客」とも呼ばれる層で、関係性を築きながらインプラントの必要性を判断する必要があります。
「今すぐ客」の方が、すぐに成約を獲得できるものの、一般的に多いのは「そのうち客」なので、両方にアプローチすることが重要です。
上記の2パターン以外の患者さんは、そもそもインプラントの必要性を感じていないので、無理に勧めることはNGになるので注意しましょう。
なぜ患者さんにインプラントが必要なのかを考える
患者さんのニーズを見極めて、なぜインプラントが必要なのかを考えましょう。
患者さんは、インプラントを入れることが目的なのではなく、あくまでインプラントによって理想の生活を手にしたいと考えています。
例えば・・・・・・
・自分の歯と同じような感覚で食生活を楽しみたい
・見た目の美しさを保ちたい
・自信を持って笑いたい
・虫歯になりたくない
・あごの骨の歪みを防ぎたい etc・・・・・・
このようなインプラントにぴったりの要望がないかを見極めて、必要な場合にだけインプラントの治療説明をしていきましょう。
適切な訴求を見極めて医療広告規制に注意しながらチラシやホームページを作成する
インプラントの集患には、患者さんの適切な訴求を見極めたうえでチラシやホームページを作成する必要があります。
適切な訴求を見極めないと、チラシやホームページを作っても集患に失敗する可能性が高いです。
例えば、インプラントを入れた患者さんには、なるべく問診票と同時にアンケートを取ることがおすすめです。
アンケート内容で、先生の歯科医院のインプラント治療にぴったりの訴求が出てくるので、チラシやホームページ作成に役立ちます。
インプラント治療は歯科医院業界でも競争が激しい分野ですが、日頃の患者さんの声が「先生の歯科医院に通う理由」となり、集患に繋がります。
ただし、チラシやホームページ、ランディングページには医療広告規制がある点は注意してください。
医療広告ガイドラインには、患者さんの体験談が掲載できないなど、厳しい制約がありPRできることに限界があります。
ホームページなどを制作する場合は、医療広告ガイドラインに詳しい制作会社に依頼するようにしましょう。
ただし、後述するように、院内掲示物や院内で患者さんに配布するパンフレットについては医療広告規制の対象外となります。
また、直接患者さんにインプラントの説明をする際も医療広告規制の対象外です。
つまり、直接来院した患者さんに対しては、医療広告規制は気にしなくていいことになります。 そのあたりも考慮して、インプラントに特化した広告戦略を考えるようにしましょう。
インプラントに特化した広告戦略を考える
インプラントは、他の歯科治療と違う患者さんのニーズがあるので、インプラント集患用の広告戦略を考える必要があります。
通常の歯科治療と広告戦略に大きく違いはないですが、インプラントの集患を意識することになります。
広告戦略 | 概要 | 医療広告規制の有無 |
ホームページの子ページ作成 | インプラント集患に特化したページ作成。ランディングページ(LP)の作成でも可 | あり |
チラシ、リーフレット、看板 | インプラント集患用の紙媒体の広告 | あり |
SEO対策 | 「○○ インプラント」などのキーワードでGoogleの自然検索上位を狙って顕在顧客を集患する | あり |
MEO対策 | 「○○ インプラント」などのキーワードでGoogleマップ上位を狙って顕在顧客を集患する | あり |
リスティング広告 | 「○○ インプラント」などのGoogle検索キーワードで広告表示する | あり |
ポータルサイト | 歯科専用ポータルサイトに登録して集患する | あり |
SNS | SNSでインプラント治療について発信する | あり |
院内掲示 | 院内のディスプレイや患者説明用パンフレットを作成して、来院した患者さんにインプラント治療について周知する | なし |
上記すべての対策を行う必要はないですが、治療内容や患者さんの属性、歯科医院のエリアに合わせた戦略を考えましょう。
【まとめ】患者さんの属性や治療方針を踏まえてインプラントの集患をする
インプラントは、歯科医院が高度な治療技術を有することを前提として、患者さんの属性や治療方針を踏まえて集患することが必要です。
インプラントは競争が激しく、歯科業界のなかでもマーケティングが比較的発達している分野です。
そのため、ただ単に「ホームページを作ろう」「SEO・MEO対策をしよう」だけでは集患が難しいところもあります。
それだけに、現状の患者さんのニーズや、先生の治療方針をもとに考えて、差別化を図っていきましょう。
新規集患する際は、医療広告ガイドラインに注意する必要があります。
最後までご覧いただきありがとうございました。
監修者
笠浪 真
税理士法人テラス 代表税理士
税理士・行政書士
MBA | 慶應義塾大学大学院 医療マネジメント専攻 修士号
1978年生まれ。京都府出身。藤沢市在住。大学卒業後、大手会計事務所・法律事務所等にて10年勤務。税務・法務・労務の知識とノウハウを習得して、平成23年に独立開業。
現在、総勢52人(令和3年10月1日現在)のスタッフを抱え、クライアント数は法人・個人を含め約300社。
息子が交通事故に遭遇した際に、医師のおかげで一命をとりとめたことをきっかけに、今度は自分が医療業界へ恩返ししたいという思いに至る。
医院開業・医院経営・スタッフ採用・医療法人化・税務調査・事業承継などこれまでの相談件数は2,000件を超える。その豊富な事例とノウハウを問題解決パターンごとに分類し、クライアントに提供するだけでなく、オウンドメディア『開業医の教科書®︎』にて一般にも公開する。
医院の売上を増やすだけでなく、節税、労務などあらゆる経営課題を解決する。全てをワンストップで一任できる安心感から、医師からの紹介が絶えない。病院で息子の命を助けてもらったからこそ「ひとつでも多くの医院を永続的に繁栄させること」を使命とし、開業医の院長の経営参謀として活動している。