群馬大学医学部の特徴・倍率とカリキュラム・研修制度、著名な卒業生
はじめに
群馬大学医学部医学科は生命や人体の構造と機能を追求しています。そこから疾病の本態を解明してそこを克服していくための方策を探求していきます。優れた人間性を持つ医師や最先端の医学研究者を養成していくことを主な目的としています。
北関東という地域における医学や保健学教育と研究の中心として医学科では多くの医師や医学研究者や医療行政者を輩出してきています。創立70年を迎えて今後も医学界のために役立つ人材を育成していくという方針に変わりありません。
住所
群馬大学医学部の所在地は前橋市昭和町3丁目39-22にあります。前橋駅北口から4キロほどです。バスで15分ほどで群大病院前下車すぐです。明和学園短期大学などがあります。
入学金・学費
群馬大学医学部の学費を紹介します。他の国立大医学部と学費は変わりません。なお公立大学は市や県が運営するので若干学費の負担が上がります。
入学金
282,000円
1年次学費総額
817,800円
入学金は282,000円、授業料は535,800円で合計が817,800円
2年次以降の学費総額(年間)
535,800円
6年間学費総額
3,496,800円
国立大学は学部関係なく学費は基本同額になります。6年間で350万円程度なので私立医学部の10分の1程度です。
出典:医学部受験マニュアル
偏差値
65.0
国立大学医学部の中でほぼ標準的かなといえます。信州大学医学部・新潟大学あたりが同レベル、千葉大学医学部・筑波大学医学部あたりが少し上になるかもしれません。また私大だと自治医科大学あたりも狙い目かもしれないと考えています。僻地医療サービスに興味のある方には学費・国家試験合格率なども含めて大きなメリットのある大学といえます。
出典:河合塾医進塾HP
倍率
前期2.2倍、前期地域限定5.5倍、センター試験免除コース3.9倍、センター試験免除地域限定2.9倍。
地元を優先する地域限定は入学が若干容易にはなっています。ただ倍率はかなり高く激戦といえます。医学部はどの大学も難関です。さらに学費的に大きなメリットのある国立大学はどの大学も難関かつ激戦になります。容易に入学できる大学などあるはずがありません。
出典:旺文社HP
医師国家試験合格率
2020年:全体94.6%(全国33位タイ)新卒95.8%(全国39位タイ)既卒81.8%(全国24位タイ)
2019年:全体91.0%(全国40位タイ)新卒95.3%(全国26位タイ)既卒60.0%(全国39位タイ)
2018年:全体87.6%(全国67位)新卒91.1%(全国64位タイ)既卒53.8%(全国64位タイ)
2017年:全体90.1%(全国38位タイ)新卒94.2%(全国34位タイ)既卒45.5%(全国61位タイ)
2016年:全体91.2%(全国44位タイ)新卒94.2%(全国49位タイ)既卒60.0%(全国42位タイ)
平均すると合格率90%台・医学部全体で40位台という感じです。良くもなく悪くもなくほぼ標準的なところです。
出典:医学部受験ラボHP
歴史
群馬大学医学部医学科の歴史を紹介します。
昭和18年4月:前橋医学専門学校設置
昭和23年2月:前橋医科大学設置
昭和24年5月:国立大学設置法によって群馬大学医学部医学部に名称が変更
昭和30年4月:大学院医学系研究科博士課程を設置
昭和38年4月:医学部附属内分泌研究施設から群馬大学附属内分泌研究所に名称が変更
平成6年6月:内分泌研究所を生体調節研究所に名称を変更
平成13年4月:大学院医学系研究科に保健学専攻を設置
平成15年4月:大学院医学系研究科博士課程の講座化
平成19年4月:大学院医学系研究科に生命医科学専攻を設置
出典:群馬大学医学部HP
特徴
群馬大学医学部では学部・大学院教育や研究者や専門医療人養成のために以下のプログラムを進行させています。
1:大学教育や学生支援推進事業大学の教育プログラムである人体解剖とCTの統合による先駆的な医学教育。
2:特色のある大学支援プログラムである多専攻学生による模擬体験型チーム医療の臨床実習。
3:グローバルCOEプログラムの生体調整シグナルの統合的な研究。
4:がんプロフェッショナル養成プランの北関東域連携がん先進医療人材育成。
5:関東信州広域循環型専門医養成プログラムの専門医育成と医師不足の解消を目指す。
6:若手研究者の自立的研究環境整備促進プログラムの若手先端科学研究者の研究環境改革。
また入学試験と学生教育の改革に力を入れています。多様な学生を迎える体制を整えています。入学後は早期から医療の実習に触れて医療従事者となる上で必要な知識・技術・心構えを体験できるようにしています。そこで医療はチームワークで行うものだよと言うものを教育していきます。
時間外の運動部や文化部の活動は医学科の学生と保健学科の学生が共同で取り組んでいきます。医学部の学生はスポーツ・文化活動・ボランティア活動などを通して広い視野のもとで医学や医療を学んでいきます。人間性豊かな医療や医療人さらに教育者や研究者に成長することが期待されています。
医師という動機を持った生徒にはこの上ない環境・先生の授業がとても分かりやすい・サークルとの両立ができて楽しい学校生活・街中にはないのでアクセス的にはやや不便・県内のどこかの病院には就職はできるなどが学生の声として上がっています。地域の国立大学医学部らしく大きな特徴はないもそれなりに安定した大学と言えます。
出典:群馬大学医学部HP
カリキュラム
群馬大学医学部のカリキュラムを紹介します。医の科学・倫理・技能の探求とそれらの統合による医学の研究と教育の推進並びに医学と医療をリードしていく人材の育成を目指していきます。
1年次
1年次では医師としての基本的な素質と人間性を磨いていきます。他学部の学生とも交流していきます。医学を学んでいく上で必要な科学的な素養を身に着けていきます。医師として必要な人と社会を理解していく文化的な素養を身に着けていきます。
人文科学・社会科学・自然科学・健康科学・外国語科目・総合科目・英語・数学・情報学・物理学・化学・生物学・有機化学・細胞学・医の倫理学・医学異論概論実習などを学んでいきます。
2・3・4年次前期
2・3・4年次前期は医学の基礎や疾患を学んでいきます。医療人としての基礎を磨いていきます。専門科目は医学や医療の基礎知識そして技能や態度などについて講義・チーム内基盤型学習・実習を通して学びます。人体の構造と機能などを学びながらあわせて病気を起こす原因や環境などを学んでいきます。
2年次は医学統計学・医学情報処理・動物実験学・基礎遺伝学・生命医学Ⅰ・生物進化と生態系・膜生理学と細胞内情報伝達の基本・生化学・分子病態学・生命医学Ⅱ・組織学・肉眼解剖学・神経生理学・応用生理学・チーム医療の実習などを学んでいきます。
3年次は生命医学Ⅲ・免疫学・細菌学・寄生虫学・ウイルス学・衛生学・生命医学Ⅳ・薬理学・行動科学・臨床行動科学・病理診断学・病態病理学・法医学・検査学・公衆衛生学実習などを学びます。
4年次は消化器・内分泌代謝・眼科・口腔外科・免疫・血液・感染・腫瘍・皮膚科・小児科・産婦人科・精神科・神経科・脳神経外科・整形外科・リハビリ科・耳鼻咽喉科・放射線内科・核医学・病態検査・臨床試験・臨床研究・臨床放射線・腫瘍学・医療の質と安全・チームワーク実習・基本手技実習・臨床推論TBLなどを学びます。
また3年次から4年次で発達と老化・遺伝医学・外科と救急医学・呼吸器・循環器・腎泌尿器・麻酔蘇生・臨床薬理学・臨床病理学などを学びます。
4年次後期・5・6年次
4年次後期・5年次・6年次は医師として必要な総合的な診断能力を身に着けていきます。これまでに学んだ知識や技能さらに医療態度についての全国共用試験(CBT・OSCE)を行います。合格者は臨床実習に参加することになります。実際にチーム医療を肌で体験・診療参加型実習を通して実際の臨床に携わります。臨床実習の課程をすべて終了すると卒業試験と医師国家試験を経て卒業。研修医の道を歩むことになります。
4年次後期に共用試験、5年次に臨床実習Ⅰ・6年次に臨床実習Ⅱ・卒業試験などを行います。ここは講義というよりは実際に医師としての前研修を行うという流れになります。
出典:群馬大学医学部HP
研修制度
群馬大学医学部附属病院の臨床研修プログラムの特徴は確かさを大事にした研修を行っています。すべての到達目標が確実に達成可能であることそして自由度が高く選択肢が豊富ということになります。
前期の研修プログラムは初期臨床研修プログラムとなっています。これは1年次に内科12週、救急科12週、外科4週、小児科4週、産婦人科4週、精神科4週、選択8週の合計48週。2年次に選択32週、地域医療4週、内科12週の合計48週を行います。地域医療は2年次に行うことそして協力病院とのたすきがけの研修も可能になります。また周産期研修の方は選択科の期間を産婦人科もしくは小児科に使うことになります。
また後期臨床研修は群馬大学医学部付属病院を基幹病院として県内外40の施設で専門的な研修施設を構成しています。医学部附属病院外科診療センターは消化管外科・肝胆膵外科・乳腺内分泌外科・呼吸器外科・心臓血管外科・小児外科・形成外科を統合した日本でも有数の総合外科センターとなっています。もしくはそこに応じた外科専門領域の専門研修に連動した研修を行うことができます。
出典:民間医局レジナビWEBHP、群馬大学医学部HP
部活動
群馬大学医学部は昭和キャンパスにありますので同キャンパスの部活動を紹介します。運動部と文化部があります。群馬大学は運動部は特別に強い部活動というものというものはありません。ただ文化部を中心に幅広い活動を行っています。勉強と部活動の両立は大変です。ただ医学部の多くの生徒はそれらを両立しています。とても素晴らしいことです。
運動部は合気道部・弓道部・剣道部・ゴルフ部・サッカー部・柔道部・水泳部・スキー部・体操部・卓球部・ダブルタッチサークル・軟式テニス部・硬式テニス部・バスケットボール部・馬術部・バドミントン部・バレーボール部・ビリヤード部・フットサルサークル・フリースタイルフットボールサークル・準硬式野球部・ラグビー部・陸上競技部・ワンダーフォーゲル部などがあります。
文化部は囲碁将棋部・映画研究会・遺伝子研究会・医療系自主ゼミ・エレクトーン部・合唱サークル・気象天文研究部・ギター部・軽音楽部・国際医療ボランティア・写真部・東洋医学研究会・アレルギー喘息児童サポート団体・美術愛好会・ピアノ部・ジャズ部・アカペラ・マンドリンソサエティ・モダンジャズ研究会・野草を食べる会・夢のわたらせボランティア団体・小児糖尿病サマーボランティア・哲学研究会・前橋文化会・群馬大学外科主義サークルなどがあります。
出典:群馬大学HP
連携病院
群馬大学医学部の連携病院を紹介します。
前橋赤十字病院(群馬県前橋市朝倉町)
独立行政法人国立病院機構高崎総合医療センター(群馬県高崎市高松町)
中尾病院(群馬県高崎市中尾町)
SUBARU健康保険組合太田記念病院(群馬県太田市大島町)
桐生厚生総合病院(群馬県桐生市織姫町)
伊勢崎市民病院(群馬県伊勢崎市連取本町)
独立行政法人国立病院機構渋川医療センター(群馬県渋川市白井)
沼田脳神経外科循環器科病院(群馬県沼田市栄町)
利根中央病院(群馬県沼田市沼須町)
出典:日本救急医学会・救急医を目指す方へ
著名な卒業生
群馬大学医学部出身の主な方を紹介します。開業医が中心になります。
臼井徹氏(内科医・臼井内科院長)
永関慶重氏(脳神経外科・循環器科専門医・ながせき頭痛クリニック院長を開院して現在は理事長へ)
相模泰宏氏(心療内科医・泉中央クリニック院長兼東北大学医学部准教授)
小野健太郎氏(形成外科医・スキンクリニック藤枝院院長)
東郷智一郎氏(形成外科医・東郷美容形成外科を開院)
出典:病院検索ホスピタ
監修者
笠浪 真
税理士法人テラス 代表税理士
税理士・行政書士
MBA | 慶應義塾大学大学院 医療マネジメント専攻 修士号
1978年生まれ。京都府出身。藤沢市在住。大学卒業後、大手会計事務所・法律事務所等にて10年勤務。税務・法務・労務の知識とノウハウを習得して、平成23年に独立開業。
現在、総勢52人(令和3年10月1日現在)のスタッフを抱え、クライアント数は法人・個人を含め約300社。
息子が交通事故に遭遇した際に、医師のおかげで一命をとりとめたことをきっかけに、今度は自分が医療業界へ恩返ししたいという思いに至る。
医院開業・医院経営・スタッフ採用・医療法人化・税務調査・事業承継などこれまでの相談件数は2,000件を超える。その豊富な事例とノウハウを問題解決パターンごとに分類し、クライアントに提供するだけでなく、オウンドメディア『開業医の教科書®︎』にて一般にも公開する。
医院の売上を増やすだけでなく、節税、労務などあらゆる経営課題を解決する。全てをワンストップで一任できる安心感から、医師からの紹介が絶えない。病院で息子の命を助けてもらったからこそ「ひとつでも多くの医院を永続的に繁栄させること」を使命とし、開業医の院長の経営参謀として活動している。