はじめに

信州大学は長野という自然に恵まれた地域で多様な医療環境で学ぶことができます。豊かな人間性と高い倫理観さらに優れた課題探求能力を兼ね備えた広く社会に貢献できる医師を養成していきます。また人類の健康と福祉に貢献していくために医学の心理の奥深さを求めていきます。先進的な医療に対する科学的な基盤の構築を進展させます。また高い倫理観を持って病人の方に寄り添える治療をしていきます。

さらに優れた研究成果を広く世界に発信をしていくことでそこから外国の研究者の方との研究協力を推進していきます。そこから国際競争力を上回る医学・医療・保健とそれらを基にした福祉を実践して地域に貢献していきます。

出典:信州大学医学部HP

住所

信州大学医学部の所在地は長野県松本市1にあります。松本駅から1キロくらい東に行きます。駅前ではありませんが松本市1番ということは市の最一等地なのかもしれません。

出典:信州大学医学部HP

入学金・学費

信州大学医科大学医学部の学費を紹介します。

1年次は入学金は282000円、授業料は535800円で合計が81万7800円

2年次から6年次は授業料が535800円×5年間=267万9000円

合計が81万7800円+267万9000円=349万6800円

6年間で350万円程度で私立医学部の1割ほどです。4年間が6年間にはなるも学費は他の学部と同じです。授業料の2年分の107万円程度が追加されるだけです。こうして考えると親は国立医学部を狙って欲しいでしょうね。

出典:医学部受験マニュアル

偏差値

65.0

国立医学部の中では標準レベルの難易度と言えます。山梨大学医学部がやや上、群馬大学医学部、金沢大学医学部などと同等の難易度と言えます。それでも容易ではないことは言うまでもありません。

出典:河合塾医進塾HP

倍率

2019年度は全体で3.1倍(18年度は5.2倍)、一般入試が2.9倍(18年度は5.4倍)で推薦入試が4.2倍。飛びぬけて高いわけではないも医学部の一般入試が3倍程度というのは低いとは感じないはずです。

出典:信州大学医学部HP

医師国家試験合格率

2020年:全体89.2%(全国71位タイ)新卒91.0%(全国74位)既卒62.5%(全国55位タイ)
2019年:全体93.4%(全国19位)新卒95.7%(全国23位タイ)既卒57.1%(全国45位タイ)
2018年:全体94.2%(全国21位タイ)新卒97.2%(全国15位タイ)既卒63.6%(全国42位タイ)
2017年:全体90.8%(全国33位タイ)新卒96.9%(全国10位)既卒46.2%(全国59位タイ)
2016年:全体87.9%(全国71位タイ)新卒92.2%(全国62位)既卒33.3%(全国70位タイ)

年々合格率と総合順位が上がっています。大学側の本気度と学生の気持ちがマッチしてきているのかなという気がします。自然が抜群で空気のおいしい松本という場所で勉強に集中できる環境がプラスになっています。ただ20年は少し下がっていますので21年以降に逆襲できるか?

出典:医学部受験ラボHP

歴史

信州大学医学部の歴史を紹介します。

1944年:松本医学専門学校を設置

1945年:市立松本病院を松本医学専門学校附属医院として移管

1948年:松本医科大学を設置

1949年:国立学校設置法の施行で信州大学が誕生

1951年:医学部医学科を設置

1955年:医学進学課程を設置

1958年:大学院医学研究科博士課程を設置

1964年:医学部附属順応医学研究施設設置

1984年:医学部附属順応医学研究施設を附属心脈管病研究施設に転換

1994年:医学部附属加齢適応研究センターを設置

2000年:大学院医学研究科臓器移植細胞工学医科学系専攻

2002年:大学院医学研究科医科学専攻(修士課程)設置

2004年:国立大学法人の信州大学を発足。附属病院卒後臨床研修センターと医学部知的財産活用センターを設置

2005年:附属病院の先端医療推進センターを設置

2007年:大学院医学研究科を大学院医学系研究科と改称

2012年:大学院医学系研究科を医科学専攻修士課程・医学系専攻博士課程・疾病予防医科学系専攻博士課程に改称

2013年:医学部アミロイドーシス研究・診断・治療センターを設置

2018年:大学院博士課程の「医学系研究科」と「総合理工学系研究科」を統合再編して「総合医理工学研究科」を設置

出典:信州大学医学部HP

概要・特徴

信州大学医学部の特徴は基礎医学教育と臨床医学教育を効率的に学んでいきます。効率的な医学知識や技術の伝達さらに医療者にふさわしい行動規範の修得を目指していきます。また高い志の涵養を目標にしていきます。

基礎医学教育

基礎医学には臨床医学の基礎をなします。生理学・解剖学・生化学・最近ウイルス学・医動物学・免疫学・病理学・薬理学などが含まれます。また遺伝医学・予防医学・衛生学・公衆衛生学なども基礎医学に含まれます。人間の体の正常な構造や機能を支えていく仕組みを学びます。それが崩れて病気になるというメカニズムになります。そのメカニズムを正常にしていくもしくは近付けていくのが医師の役目で学生中にその方法を学んでいきます。本格的には治療は臨床医学の分野なのですが、その基礎を学ぶものとして基礎医学もとても重要になります。基礎医学は1年次から3年次までに大半を学べるような内容になっています。

臨床医学教育

臨床医学教育というものは実際に患者さんを治療するために必要な知識を学びます。ただ知識は前提で技能・それをカバーするためのコミュニケーションやチームワークなども学んでいきます。また治療の難しい病気を治すという研究意識や向上心も重要になります。臨床医学は身体の構造と機能さらにそこを維持していくためのメカニズムや異常が起こった時にどうするかなどの対策を学びます。基礎医学と臨床医学は多くの面でリンクしています。

また臨床医学ではユニット講義という方面で学習を進めていきます。患者さんの症状からどのような病気が隠れているかを想像してどのような治療をしていくかのイメージトレーニングをしていきます。簡単にいうと病気別に症状を整理していくということです。臓器にどのような不調があるのか。その病気がどのような症状を引き起こしていくのかなどを学んでいきます。その際の病気に薬・手術・放射線・リハビリなどの治療法を考えていきます。

信州大学医学部では臨床実習を4年次後半から行っていきます。5人程度のチームで外来・病棟患者を担当していきます。その際の診察・診断・治療などを勉強していきます。多くの大学では診療参加型実習という形を採っています。学生も医療チームに入って実際の診療に携わるという方式です。患者さんや看護師の方とのコミュニケーション能力や診療技能などを身に着けていきます。基礎医学や臨床医学はこの臨床実習を学ぶための礎のようなものです。

卒業生の就職率の高さ・遊ぶところがない分勉強に集中できる・松本という自然豊かな街・人格のある先生が多い・医学部の他学科のつながりが強い・のんびりとした校風などの学生の声があります。地方医学部らしい意見が多いなという気がします。

出典:信州大学医学部HP

カリキュラム

信州大学医学部のカリキュラムは立派な医師になるための医学知識・態度・技能・倫理観などを学んでいきます。知識面では個々の知識を統合的に学んでいくことで治療に役立てていきます。さらに未知の領域に挑戦していく知的好奇心を持つことが求められます。病人を医療人としての情熱と思いやりさらには優しさや奉仕の精神も重要になります。信州大学医学部では1年次から6年次までの一貫教育を行っていきます。

1年次は共通科目・基礎医学講義・早期体験実習などを行っていきます。2年次も1年次の内容を深めて継続していきます。3年次は前期で基礎医学講義及び実習・自主研究及び講義・臨床医学入門などを学びます。また後期は臨床医学講義や演習を行っていきます。

4年次は前期で共用試験を実施します。あとは臨床医学講義と演習を行います。後期は臨床実習を行います。5年次は主に臨床実習を行います。6年次は学外の臨床実習・ユニット講義さらには卒業試験や医師国家試験などを行って卒業となります。その後は研修医としての本格的な研修が始まります。

出典:信州大学医学部HP

研修制度

信州大学医学部の研修制度は研修内容を自由に選ぶことのできるプログラムとなっています。研修医の希望を第一に考えていきます。そこから2年間で最大の効果を得ることのできるような内容になっています。機械的に研修を割り振るようなことはあってはならないと考えています。研修に際しての面談を事細かくしていきます。専門科・勤務地・結婚などの将来のことまでを考えた面談をしていきます。明確にこれをしたいということが見つからない方には最適な研修プログラムを用意しています。

研修プログラムは一般プログラム・産婦人科小児科プログラム・外科プログラムなどがあります。

一般プログラム

一般プログラムは1年目に信州大学医学部で行うプログラム、2年目に信州大学医学部で行うプログラム、2年間信州大学医学部で行うプログラムの3つに大別されます。

1年目信州大学医学部:1年目に必須科もしくは選択科を12週、内科を24週、総合診療を2週、救急医療を6週、麻酔科を4週、選択科を4週の合計52週。2年目は地域医療と救急医療で6週以上、その他は研修病院の内容によって異なります。

2年目信州大学医学部:1年目は内科・救急医療を6週以上、その他は研修病院の内容によって異なります。2年目は必須科または選択科20週、救急科6週、必須科または選択科18週、地域医療4週、麻酔科4週で合計52週になります。

2年間信州大学医学部:1年目は必須科もしくは選択科12週、内科24週、総合診療2週、救急医療6週、麻酔科4週、選択科4週の合計52週。2年目は必須科または選択科20週、救急科6週、必須科または選択科22週、地域医療4週の合計52週。

産婦人科小児科プログラム

産婦人科小児科プログラムは産婦人科プログラム・小児科プログラム・きめかねているケースが2パターンの合計4つのプログラムがあります。

産婦人科プログラム:1年次に産婦人科16週、A病院の総合診療科12週、B病院の小児科12週、総合診療2週、救急科6週、麻酔科4週の合計52週。2年目は地域医療4週、C病院救急科6週、精神科4週、外科6週、D病院消化器内科12週、D病院産婦人科12週、産婦人科8週の合計52週で行います。

小児科プログラムは1年次に小児科16週、A病院総合診療科12週、B病院小児科12週、総合診療科2週、救急科6週、麻酔科4週の合計52週。2年目は地域医療4週、C病院救急6週、精神科4週、外科6週、D病院消化器内科12週、D病院産婦人科12週、産婦人科8週の合計52週で行います。

きめかねている大学病院1年と他病院1年コース:1年次に小児科12週、救急科6週、総合診療科2週、産婦人科8週、消化器内科12週、G病院産婦人科12週の合計52週。2年目はG病院救急科6週、G病院内科12週、地域医療4週、精神科4週、麻酔科4週、外科4週、小児科もしくは産婦人科18週の合計52週で行います。

きめかねている大学病院2年コース:1年目は小児科12週、救急科6週、総合診療科2週、麻酔科4週、外科4週、産婦人科12週、内科12週の合計52週。2年目は救急科6週、小児科10週、総合診療科12週、地域医療4週、精神科4週、小児科もしくは産婦人科16週の合計52週で行います。

外科研修プログラム

外科プログラムは大学病院の外科を中心に研修を行います。1年目は信州大学外科で24週、内科12週、小児科4週、総合診療科2週、麻酔科4週、A病院救急科6週の合計52週。2年目は地域医療4週、救急科6週、B病院内科12週、産婦人科4週、精神科4週、信州大学外科22週の合計52週で行います。また3年目以降は連携病院で研修を引き続いて行っていきます。

出典:信州大学卒後臨床研修センター

部活動

信州大学医学部の部活動を紹介します。運動系と文化系には分かれていません。松本キャンパスで活動を行っていますが、活動は別になっています。やはり医学部は勉学に忙しいのでサークルにあまり時間が使えないだろうという配慮がありそうです。

硬式テニス部・ソフトテニス部・男子バスケットボール部・女子バスケットボール部・男子バレーボール部・女子バレーボール部・ラグビー部・硬式野球部・男子卓球部・女子卓球部・陸上競技部・馬術部・弓道部・空手部・ハンドボール部・サッカー部・ゴルフ部・バドミントン部・水泳部・スキー部・山岳部・剣道部・フットサル部・室内楽団・写真部・映画研究会・救急医療・長野県医学ゼミ・スポーツレクリエーション・軽音楽部・天文部・英会話・茶道部などがあります。

出典:信州大学医学部HP

連携病院

信州大学医学部の連携病院を紹介します。

相澤病院(長野県松本市本庄)
松本市立病院(長野県松本市波田)
まつもと医療センター(長野県松本市村井町南)
丸の内病院(長野県松本市渚)
長野市民病院(長野県長野市富竹)
長野赤十字病院(長野県長野市若里)
長野松代総合病院(長野県長野市松代町松代)
篠ノ井総合病院(長野県長野市篠ノ井会)
長野県立信州医療センター(長野県須坂市須坂)
信州上田医療センター(長野県上田市緑が丘)
安曇野赤十字病院(長野県安曇野市豊科)
北アルプス医療センターあづみ病院(長野県北安曇郡池田町池田)
市立大町総合病院(長野県大町市大町)
岡谷市民病院(長野県岡谷市本町)
諏訪赤十字病院(長野県諏訪市湖岸通り)
富士見高原病院(長野県諏訪郡富士見町落合)
伊那中央病院(長野県伊那市小四郎久保)
飯田市立病院(長野県飯田市八幡町)
浅間総合病院(長野県佐久市岩村田)
長野県立木曽病院(長野県木曽郡木曽町福島)

出典:信州大学卒後臨床研修センター

著名な卒業生

信州大学医学部出身の主な開業医の方を紹介します。

後藤昌計氏(循環器内科医・一里塚クリニック院長)
柴田勝憲氏(内科医・漢方医・柴田メディカルクリニック院長)
粂川好男氏(小児科医・くめかわ小児科クリニック院長)
安藤泰善氏(心療内科医・こころとからだ横浜クリニック院長)
岡史朗氏(整形外科医・おか整形リハビリクリニック開業)

出典:病院検索ホスピタ

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プロフィール
笠浪 真

税理士法人テラス 代表税理士
税理士・行政書士
MBA | 慶應義塾大学大学院 医療マネジメント専攻 修士号

1978年生まれ。京都府出身。藤沢市在住。大学卒業後、大手会計事務所・法律事務所等にて10年勤務。税務・法務・労務の知識とノウハウを習得して、平成23年に独立開業。
現在、総勢52人(令和3年10月1日現在)のスタッフを抱え、クライアント数は法人・個人を含め約300社。
息子が交通事故に遭遇した際に、医師のおかげで一命をとりとめたことをきっかけに、今度は自分が医療業界へ恩返ししたいという思いに至る。

医院開業・医院経営・スタッフ採用・医療法人化・税務調査・事業承継などこれまでの相談件数は2,000件を超える。その豊富な事例とノウハウを問題解決パターンごとに分類し、クライアントに提供するだけでなく、オウンドメディア『開業医の教科書®︎』にて一般にも公開する。

医院の売上を増やすだけでなく、節税、労務などあらゆる経営課題を解決する。全てをワンストップで一任できる安心感から、医師からの紹介が絶えない。病院で息子の命を助けてもらったからこそ「ひとつでも多くの医院を永続的に繁栄させること」を使命とし、開業医の院長の経営参謀として活動している。

                       

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