【3分でわかる住宅購入】賃貸vs購入 開業医はどちらがお好き?
はじめに
タワーマンションを借りて住むのもいいが、静かな郊外に広い敷地に自分の城を作りたい。
理想の住まいは生涯の夢でもあります。
「マイホーム 購入か賃貸か? 」
テレビやWebの広告で賃貸と購入のどちらがいいかというのをよく見ます。
住宅の購入と賃貸のどちらにしようか迷っている先生方、
家を購入する前に勉強したい先生方、医院開業前に住宅を購入するかを迷っている先生方は、ぜひお読みください。
賃貸とマンション購入、戸建を住居費で比較
下の図は50年間東京都中野区内に住み続けた場合の総額とその他諸費用の有無の比較になります。
金銭以外のメリット・デメリットも掲載しました。
まずは以下の比較表をご覧ください
◇50年間の住居費の比較
タワーマンション賃貸 | タワーマンション購入 | 戸建て購入 | |
---|---|---|---|
一生涯の総支払額 | 9,552万円 | 9,531万円 | 8,639万円 |
固定資産税の有無 | 0円 | 有 | 有 |
修繕の有無 | 無 | 有 | 有 |
メリット | ・修繕費等の物件を維持するための費用を考えなくてよい ・ローンを組まないため自由に住む場所を変えることができる |
・戸建てと比べ、駅から近い物件を購入できる ・住まなくなっても賃貸収入を得られる可能性がある。 ・タワーマンションを資産として残すことができる ・団体信用生命保険に加入することで生命保険料を安く抑えることができる |
・周りを気にしないで生活できる ・注文住宅なら自分に合った間取りの家に住める ・住まなくなっても賃貸収入を得られる可能性がある ・家と土地を資産として残すことができる ・修繕等のメンテナンス費を自分たちでコントロールできる ・団体信用生命保険に加入するので、生命保険料を安く抑えることができる |
デメリット | ・上や下・隣の住人に気遣う必要あり ・物価変動や家賃相場により変動あり |
・上や下・隣の住人に気遣う必要あり ・同じタワーマンションに住む人が修繕積立金を支払っていないと修繕できないこともあり ・住宅ローンを組んでいるため、自由に引っ越しができない。 |
・タワーマンションと比べると賃貸の需要が低い |
*計算条件
場所 東京都内 最寄り駅から徒歩10分圏内
間取り 3LDK
住宅ローン フラット35 金利1.6% 35年返済 頭金0円
賃貸家賃 17.69万円(LIFFULHOME様掲載の平均相場)
戸建て・マンション購入金額 6,000万円(諸経費込み)
マンション管理費等 3万円/月
外壁塗装 120万円/10年
屋根メンテナンス費 100万円/20年
数字だけで比較をしますと、
戸建て購入が一番安く、賃貸が一番高く見えます。
実際には、固定資産税も計算に含めると、
仮に50年間の固定資産税が総額で1,000万円を超えます。
そのため、賃貸が一番安く、マンション購入が一番高いという計算になります。
ただし、この計算は物価変動や家賃相場の変動を考慮していません。
政府の統計どおりに人口が減少するならば、需要がなくなり家賃相場は下がります。
反対に、海外労働者や移民により人口が増加するならば、家賃相場も変動し、
賃貸の方が高くなる場合があります。
よって、絶対に金銭的に得したいというのであれば、日本という国が将来どうなるかを正しく予測する能力が必要不可欠という結論になります。
購入することで将来のリスク回避が可能に
賃貸物件に居住していて、もしも病気でお亡くなりになった場合に家賃がなくなるということはありません。
よって遺族の生活費を計算するときに一生涯支払う家賃も考慮に入れて生命保険の金額を計算する必要があります。
一方、タワーマンションや戸建て一軒家を住宅ローンを利用して購入した場合には、団体信用生命保険に必ず加入します。
団体信用生命保険とは、住宅ローンの支払期間中に債務者が亡くなった場合、住宅ローンの金額が全額免除される保険です。
最近ではガンになったら、住宅ローンを全額払わなくてよいという団体信用生命保険もあります。
ということは、住宅ローンを払わなくていい金額の分を生命保険に入る必要がなくなり、月々の生命保険料を安くすることができます。
生命保険料が安くなる分については、総額の比較に大きな影響を与えるほどでもないため、
金額のみの比較では考慮しませんでした。
ただし、もしも何かあった時にリスクを回避したいという方にとっては団体信用生命保険はかなり有効です。
購入した場合は必ず資産価値がある!?
購入をオススメするサイトを見た時に、
・賃貸で貸すことができるから、購入のほうがいい
・戸建て住宅やタワーマンションを担保に銀行から借り入れ、老後の資金源にできる
という記事を読んだことがあります。
現状だけで考えるなら、正しい意見だと思います。
ただし、将来的にはどうでしょう?
結婚する人や出産する人の減少が今後も続くとします。
30代で購入したとして、70歳になる40年後に、ファミリー用の物件を借りたいニーズよりも物件の数が上回ってしまいます。
価格競争が起こるだけならまだしも、世の中が「借り手がいない」という状況になっている可能性があります。
反対に人口が減少したとしても、賃貸や購入のニーズが強い地域であれば、資産として活用することが可能です。
資産運用も考慮したうえで、購入を検討しているのであれば、将来的にも強い需要がある物件かを必ず事前に調べておきましょう。
医院開業前の不動産購入には要注意!
ちなみに、医院開業をお考えの勤務医の先生は、注意が必要です。
医院開業前にマンションや戸建ての不動産を購入しても問題はないかとの相談を受けます。
医院開業の準備を考えている場合には、不動産の購入はおすすめしません。
住宅ローンがあると開業資金の借入れが十分にできなかったり、金利が高くなってしまうなど、不利になることがあるからです。
また、不動産を購入の場合は、最初に自己資金をある程度投入することとなります。
これにより開業資金の不足の原因になってしまいます。
自己資金を開業資金に回せば、借入金を押さえることができます。
他にも追加の医療機器を購入したり、宣伝広告費に回したりと、自己資金に余裕があれば開業時の選択肢が増えます。
まずは、医院開業に注力し、医院の利益が十分に上がるようになってから不動産を購入するほうが、投入する資金も、不動産購入の選択肢も増えます。
まとめ:購入か賃貸かの判断で一番大事なのは・・・
ここまでで、
金銭での比較
将来のリスク回避
資産価値
という3つの部分に焦点を当てて、説明しました。
「いろいろ参考になったけど実際にどうしたらいいの?」と思われた方もいると思います。
そこで、どちらが合っているか判別する方法をお伝えします。
短い期間しか住む予定がないのであれば、リスクを回避したい方は賃貸。
資産運用として考えるなら、タワーマンション購入をオススメします。
賃貸の場合なら、将来の賃貸需要を考える必要はないので、住みたい物件に住めばいいでしょう。
購入する場合なら、少し済んだ後に売却か賃貸されると思いますので、投資物件としてプラスになるかが重要です。
マンション投資アドバイザーという資格が世の中にはあります。
その有資格者に相談するのも一つの方法です。
長期間を住む予定で検討するならば、自分たちが将来どのように暮らしていきたいかを
具体的に紙に書き出してみましょう。
一生に一度の買い物だからと、メリット・デメリットを判断材料にすることはとても大切ですが、
それだけでなく、自分たちにとってどういう風に暮らしていきたいかというコンセプトを最初に考えることが大事です。
金銭的にメリットがあっても、住んでから30年間ストレスを抱えて生活をするのなら、意味がありません。
いくつか例を挙げます。
将来は海外移住をしたい。どこか別の地域に暮らしたい。でもリスクを負いたくない。
そういう方は賃貸物件で家賃を払う生活をするのが一番安心できると思います。
将来の賃貸や売却も考慮に入れリスクも受け入れて投資としても考えたいならば、タワーマンション購入を検討することをオススメします。
周囲を気にせず、自分たちの暮らしやすいように生活したいというのであれば、自分たちに合った家を建てられる注文住宅がオススメです。
このように人によって選択肢は大きく変わります。
家に住むというのは毎日の幸せや生活の大切な土台です。
洋服やカバンのように気に入らないから使わないということはなかなかできません。
自分の生活スタイルがよくわからないのであれば、休みと平日のタイムスケジュールを紙に書いてみましょう。
さらに、自分が何を好きか、今の家にどんな不満点があるかを紙に書いてみましょう。
夫婦で意見が分かれたならば、より家にいる時間が長い人の意見を優先しましょう。
どんどん紙に書くことできっとあなたらしい暮らし方が見つかるでしょう。
監修者
笠浪 真
税理士法人テラス 代表税理士
税理士・行政書士
MBA | 慶應義塾大学大学院 医療マネジメント専攻 修士号
1978年生まれ。京都府出身。藤沢市在住。大学卒業後、大手会計事務所・法律事務所等にて10年勤務。税務・法務・労務の知識とノウハウを習得して、平成23年に独立開業。
現在、総勢52人(令和3年10月1日現在)のスタッフを抱え、クライアント数は法人・個人を含め約300社。
息子が交通事故に遭遇した際に、医師のおかげで一命をとりとめたことをきっかけに、今度は自分が医療業界へ恩返ししたいという思いに至る。
医院開業・医院経営・スタッフ採用・医療法人化・税務調査・事業承継などこれまでの相談件数は2,000件を超える。その豊富な事例とノウハウを問題解決パターンごとに分類し、クライアントに提供するだけでなく、オウンドメディア『開業医の教科書®︎』にて一般にも公開する。
医院の売上を増やすだけでなく、節税、労務などあらゆる経営課題を解決する。全てをワンストップで一任できる安心感から、医師からの紹介が絶えない。病院で息子の命を助けてもらったからこそ「ひとつでも多くの医院を永続的に繁栄させること」を使命とし、開業医の院長の経営参謀として活動している。