弘前大学医学部の特徴・カリキュラム・研修制度などを紹介!東北大学医学部に継ぐ歴史があります

公開日:2020年12月21日
更新日:2024年3月18日

はじめに

弘前大学医学部は東北地方の中で東北大学医学部に次ぐ歴史のある大学です。世界への発信と地域と共に創造をするが医学部の基本方針となっています。青森県内だけでなく秋田県北・北海道南地区を含めた地域医療を行っていきます。地域に根差した医学教育と研究を行っています。

弘前はりんご・ねぶた・スキー・温泉の街です。冬は寒いですが都市部にはない魅力も多々あります。自然と仲良くしながら勉強と課外活動をしたいという方には適した大学といえます。また卒業後も青森・東北・北海道の医療に携わりたいという方は入学する意義がより高まりそうです。

出典:弘前大学医学部HP

住所

弘前大学医学部の所在地は青森県弘前市在府町5にあります。JR奥羽本線弘前駅から徒歩20分程度とまずまずのアクセスといえます。さらに弘南鉄道大鰐線中央弘前駅からだと徒歩7・8分程度で着きます。弘前市街から徒歩圏で通学可能なところは大きな魅力といえます。

出典:弘前大学医学部HP

入学金・学費

弘前大学医学部の学費を紹介します。

1年次は入学金は282000円、授業料は535800円で合計が81万7800円

2年次から6年次は授業料が535800円×5年間=267万9000円

合計が81万7800円+267万9000円=349万6800円

全学費を合わせても6年間で350万円程度です。私立大学医学部と比較しても1割程度です。4年間が6年間になりますが、一般の4年制大学の学費に2年分の授業料107万円程度が追加されるだけです。とても良心的な授業料といえます。それを活かすためにも入学後も勉強をしていくことが重要になります。

出典:医学部受験マニュアル

偏差値

65.0

国立医学部の中でもほぼ標準的なところといえます。医学部・特に国公立医学部には容易に合格できるところはありません。旭川医科大学医学部秋田大学医学部山形大学医学部あたりが併願候補になりそうです。

出典:河合塾医進塾HP

倍率

医学部医学科の19年度入試:一般枠4.1倍、青森県定着枠(卒業後も青森の医療に一定期間携わるという前提で入学)3.3倍、青森県内枠2.5倍、北海道東北枠1.5倍

出典:旺文社HP

医師国家試験合格率

2020年:全体91.0%(全国64位タイ)新卒95.2%(全国53位)既卒40.0%(全国79位タイ:最下位)
2019年:全体91.0%(全国40位タイ)新卒98.3%(全国3位)既卒33.3%(全国70位タイ)
2018年:全体90.1%(全国50位)新卒92.6%(全国59位)既卒68.8%(全国34位タイ)
2017年:全体87.7%(全国54位タイ)新卒90.1%(全国59位)既卒55.6%(全国36位タイ)
2016年:全体93.1%(全国31位)新卒95.9%(全国27位タイ)既卒55.6%(全国51位タイ)

だいだい合格率90%から91%台という感じでしょうか。全国的には40番台から50番台というところに入ります。

出典:医学部受験ラボHP

歴史

弘前大学医学部の歴史を紹介します。

1944年4月:青森医学専門学校を設置

1948年2月:弘前医科大学を設置

1949年5月:国立学校設置法で新制弘前大学医学部を設置

1955年4月:医学部進学課程を設置

1958年4月:大学院医科研究科を設置

1965年4月:脳卒中研究施設を設置

1988年4月:医学部事務部及び附属病院事務部が事務組織の一元化で医学部事務部(総務課、管理課、学務課、医事課)に名称を変更

1996年3月:医学部コミュニケーションセンターを寄附

2004年4月:国立大学法人弘前大学医学部に名称を変更

2007年4月:大学院医学系研究科を大学院医学研究科に名称を変更

2010年6月:大学院医学研究科総合診療医学講座を総合医学教育学講座に名称を変更

2014年4月:大学院医学研究科附属子どものこころの発達研究センターを設置

2014年12月:大学院医学研究科総合医学教育学講座を総合診療医学講座に名称を変更

現在までに医学部・大学院医学研究科に様々な講座を設置して運営中

出典:弘前大学医学部HP

特徴

弘前大学医学部医学科の教育の特徴は地域志向・社会変化に対応していく教育・リサーチマインドの育成の3つです。

地域志向では1年次で早期臨床体験実習・2年次で地域医療入門・3年次で社会医学実習・4年次で臨床実習入門・6年次で僻地の医療実習などを行います。なお5年次で通常の臨床実習を行います。早期臨床体験実習では弘前大学医学部附属病院だけでなく近郊の病院で患者さんと直接に触れ合いながらの実習を行っていきます。また地元で長期間行っている「岩木健康増進プロジェクト」に参加して、住民と接していきながらも地域保健活動の実際を学びます。また地域医療入門及び臨床医学入門では青森県の保健医療システムや疾病の構造さらに地域での災害医療・自殺対策・国際医療などを重点的に学んでいきます。そこで将来医師として取り組んでいくべき課題と進むべき行動を示していきます。

社会の変化に対応した教育では医の原則・被ばく医療学・医療安全学などを学びます。社会のニーズに対応した授業を行っていきます。

リサーチマインドの育成は3年次に研究室での実習を行っていくことで研究にも関心をもっていただきます。研究室ではマンツーマンで研究のてほどきを行います。これらを通して国際的な広い視野と柔軟な思考力を有していきます。地元を愛する医師の育成を目指していきます。

出典:弘前大学医学部HP

カリキュラム

弘前大学医学部のカリキュラムは実習を多く取り入れているという点です。早期臨床体験実習では入学直後から見学をしていきながら医療現場を体験していきます。また診療参加型実習では医学全般を修得した後に医師の指導のもとで医師となるべき準備を行っていきます。以下各学年で学ぶべき内容になります。

1年次では医学英語Ⅰ・医の原則・医用システム工学概論・生化学・組織学・臨床医学入門・組織学実習・一般教養科目などを学びます。

2年次では医学英語Ⅱ・医用統計学・被ばく医療学・地域医療入門・解剖学・生理学・免疫学・神経科学・薬理学・病理学・微生物学・解剖学実習・生理学実習・生化学実習・神経科学実習・微生物学実習などを学びます。

3年次では医学英語Ⅲ・薬理学・社会医学・外科学概論・消化器内科及び外科学Ⅰ・消化器内科及び外科学Ⅱ・循環器内科及び外科学Ⅰ・循環器内科及び外科学Ⅱ・内分泌代謝学Ⅰ・内分泌代謝学Ⅱ・血液内科学Ⅰ・血液内科学Ⅱ・呼吸器内科及び外科学Ⅰ・呼吸器内科及び外科学Ⅱ・感染症学・臨床免疫学・神経精神医学Ⅰ・神経精神医学Ⅱ・小児科学Ⅰ・小児科学Ⅱ・婦人科学・神経内科学・腎臓内科学・整形外科学Ⅰ・麻酔科学及び緩和医療学Ⅰ・薬理学実習・病理学実習・社会医学実習・研究室研修などを学びます。

4年次では医学英語Ⅳ・血液内科学Ⅰ・血液内科学Ⅱ・周産期医学・症候学・整形外科学Ⅱ・リハビリテーション医学・麻酔科学及び緩和医療学Ⅱ・放射線診断学・放射線腫瘍学・皮膚科学・泌尿器科学・眼科学・耳鼻咽喉及び頭頚部外科学・脳神経外科学・歯科口腔外科学・形成外科学・救急及び災害医学・臨床検査医学・臨床薬理及び和漢薬学・小児外科学・病理診断学・法医学・医療安全学・基礎人体科学演習・基礎臨床医学・臨床実習入門・総合教育演習Ⅰを行います。

5年次では臨床実習Ⅰを行います。

6年次では臨床実習Ⅱ・総合教育演習Ⅱ・総合教育演習Ⅲを行います。

卒業後に医師国家試験などを経て2年間の初期の臨床研修を行います。研修医として本格的に医療の道を極めていきます。

出典:弘前大学医学部HP

研修制度

弘前大学医学部の卒後研修は弘前大学医学部附属病院卒後臨床研修プログラムA・弘前大学医学部附属病院卒後臨床研修プログラムB・弘前大学医学部附属病院卒後臨床研修プログラムC・弘前大学医学部附属病院卒後臨床研修プログラムD・小児科コース・産婦人科コースとがあります。

卒後臨床研修プログラムAは弘前大学医学部附属病院と地域の研修協力施設における研修を通して幅広く疾患や病態を経験していきます。

卒後臨床研修プログラムBは弘前大学医学部附属病院を基幹病院として地域の臨床研修協力病院や研修協力施設と連携した臨床研修を行っていくことで幅広い基本的な臨床能力を修得します。1年目は大学病院で2年目に協力病院で主に研修を行います。

卒後臨床研修プログラムCは弘前大学医学部附属病院を基幹病院として地域の臨床研修協力病院や研修協力施設と連携した臨床研修を行っていくことで幅広い基本的な臨床能力を修得します。1年目は協力病院で2年目に大学病院で主に研修を行います。

卒後臨床研修プログラムDは弘前大学医学部附属病院と地域の研修協力施設における研修を通して幅広く各種疾患や病態を経験します。1年目と2年目の前半を大学病院、2年目の後半を地域の臨床研修病院で行います。

小児科コースは弘前大学医学部附属病院を基幹型として1年目は必須科目を中心に研修を行っていきます。小児科を1年目に4週・2年目に44週を使って研修を行っていきます。小児科に重点をおいた臨床研修を行うことで小児科のより専門的な臨床能力を修得していきます。

産婦人科コースは弘前大学医学部附属病院を基幹型として1年目は必須科目を中心に研修を行っていきます。小児科を1年目に4週・2年目に44週を使って研修を行っていきます。産婦人科に重点をおいた臨床研修を行うことで産婦人科のより専門的な臨床能力を修得していきます。

新医療臨床研修制度の基本理念に基づいて、医師としての人格の涵養に努めて幅広く基本的臨床能力を修得していきます。そこで頻度の高い疾患や病態及びプライマリーケアに対応するための医師を育成するための研修を行います。この研修目標を達成していくために卒後臨床研修センター及びセンターの運営委員会がプログラムの管理や運営を行っていきます。そこで定期的に研修の進捗状況を確認していくとともに各病院や施設と密接な連携を保っていきます。

出典:弘前大学医学部HP

部活動

弘前大学医学部医学科は6年という修業年限なので他学部や医学部の他学科とは異なる独自のサークルがあります。体育系サークルでは東日本医科学学生体育大会で総合で8位入賞を果たせるくらいの実力を有しています。文化系サークルも医学部独自なものから医学部管弦楽団のように患者さんのために活動をする団体もあります。

体育系は陸上競技部・硬式テニス部・ソフトテニス部・ラグビー部・バトミントン部・卓球部・柔道部・ゴルフ部・空手部・水泳部・準硬式野球部・サッカー部・バレーボール部・バスケットボール部・剣道部・競技スキー部・弓道部・山岳部などがあります。

文化系は茶道部・漢方医学研究会・国際医療研究会・写真部・管弦楽団・ボランティア部・グリーンキャンパスクラブ・社会医学研究会ほっと・医学英語研究会・医学ジャズ研究会などがあります。

出典:弘前大学医学部HP

連携病院

弘前大学医学部の連携病院を紹介します。

青森県立中央病院(青森県青森市東造道)
青森市民病院(青森県青森市勝田)
独立行政法人国立病院機構青森病院(青森県青森市浪岡大字女鹿沢平野)
青森厚生病院(青森県青森市新城山田)
青森市立浪岡病院(青森県青森市浪岡大字浪岡平野)
医療法人雄心会青森新都市病院(青森県青森市石江)
独立行政法人国立病院機構弘前病院(青森県弘前市富野町)
財団法人医療と育成のための研究所清明会弘前中央病院(青森県弘前市吉野町)
つがる西北五広域連合つがる総合病院(青森県五所川原市字岩木町)
医療法人白生会胃腸病院(青森県五所川原市中平井町)
国民健康保険黒石病院(青森県黒石市北美町)
町立大鰐病院(青森県南津軽郡大鰐町蔵館川原田)
下北医療センターむつ総合病院(青森県むつ市小川町)
三沢市立三沢病院(青森県三沢市三沢堀口)
公立野辺地病院(青森県上北郡野辺地町鳴沢)
公立七戸病院(青森県上北郡七戸町影津内)
国民健康保険南部町医療センター(青森県三戸郡南部町下名久井白山)
市立秋田総合病院(秋田県秋田市川元松丘町)
山形県立中央病院(山形県山形市青柳)
柏厚生総合病院(千葉県柏市篠籠田)

出典:弘前大学医学部HP

著名な卒業生

弘前大学医学部の卒業生・主に開業医の方を紹介します。

前田賢司氏(内科医・前田内科医院開院)
林康史氏(循環器外科医・林クリニック院長)
武越裕氏(内科医・武越内科クリニック開院)
浅野なし氏(内科・消化器外科医・あさのクリニック院長)
熊崎廣氏(内科医・くまざき内科開業)

出典:病院検索ホスピタ

笠浪 真

1978年生まれ。京都府出身。藤沢市在住。大学卒業後、大手会計事務所・法律事務所等にて10年勤務。税務・法務・労務の知識とノウハウを習得して、平成23年に独立開業。
現在、総勢52人(令和3年10月1日現在)のスタッフを抱え、クライアント数は法人・個人を含め約300社。
息子が交通事故に遭遇した際に、医師のおかげで一命をとりとめたことをきっかけに、今度は自分が医療業界へ恩返ししたいという思いに至る。

医院開業・医院経営・スタッフ採用・医療法人化・税務調査・事業承継などこれまでの相談件数は2,000件を超える。その豊富な事例とノウハウを問題解決パターンごとに分類し、クライアントに提供するだけでなく、オウンドメディア『開業医の教科書®︎』にて一般にも公開する。

医院の売上を増やすだけでなく、節税、労務などあらゆる経営課題を解決する。全てをワンストップで一任できる安心感から、医師からの紹介が絶えない。病院で息子の命を助けてもらったからこそ「ひとつでも多くの医院を永続的に繁栄させること」を使命とし、開業医の院長の経営参謀として活動している。

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