高収入が足かせに?女性医師の未婚率が高い5つの理由と対策
男性医師の生涯未婚率(=50歳時点の未婚率)がわずか2.8%であることに対し、女性医師の生涯未婚率は35.9%というデータがあります。
これは、2012年の総務省統計局の「就業構造基本調査」をもとに、教育学者・社会学者の舞田敏彦氏が試算した、やや古いデータです。
現在は女性医師の未婚率については45%程度、男性医師は10%程度という試算もあり、未婚率が上昇傾向にあると考えられます。
一方、2020年の国勢調査をもとに試算すると、医師以外を含む男性の生涯未婚率は25.7%、女性は16.4%というデータがあります。
男女の生涯未婚率を考えると、男性医師の場合は他の職業より未婚率が低く、女性医師の場合は高いかがわかります。
もしかして、高収入であるがゆえに足かせになっているのかもしれません。
また、そもそも医師として、日々の診療がとても忙しく、職場で出会いがないのもあるでしょう。 そこで、今回は女性医師の先生が未婚率が高い理由と、多忙な診療と両立して幸せな結婚をするための対策についてお伝えしていきます。
【理由1】女性医師は早婚を逃すと未婚率が高くなる
女性医師の未婚率が高い理由は、単純に日々の診療が忙しいということが大きいと考えられます。
特によく言われていることが、女性医師は早婚を逃すと未婚率が急激に上がるというものです。
女性医師向けの情報サイト「ジョイネット」(エムステージ運営)が作成した女医白書によると、アンケートを実施した女性医師の34.9%が25~29歳で結婚しています。
次いで多いのが、30~34歳で27.5%。25~34歳で結婚する割合は62.4%ということになります。
ただ、逆に言えば25~34歳の時期に結婚しなかった女性医師は、未婚に至る確率が上がるということにもなります。
なお、25~29歳といえば、医師であれば研修医期間中にあたる時期です。
医師の研修というと、医師免許取得後に2年間行われる初期研修、専門医を目指す後期研修に大きく分けられます。
女医白書のデータによれば、初期研修中に結婚する女性医師が多いとのことです。
初期研修期間中は、年齢でいうと24~27歳くらいに当たる時期です。
後期研修となると、専門医取得を目指すため、症例を積んで、論文執筆や試験対策……とかなり多忙になり、時間がなくなります。
また、研修医期間を終えれば、四六時中激務な医師としての業務が待っています。
しかも、医学部は女子よりも男子が多いですが、医療の職場になればその割合は逆転し、ほとんど女性になります。
このような事情もあり、早婚しなかった女性医師の未婚率が上昇する傾向にあると考えられます。
しかし、ここ数年は結婚相談所の利用などで、日々の忙しい診療でも、婚活に取り組みやすい状況にあります。
日々の診療が多忙で、かつ出会いのない職場環境であれば、結婚相談所を利用するのも1つの方法でしょう。
【理由2】結婚適齢期の研修医時代は結婚を考えにくい時期でもある
忙しい女性医師にとっては、医学部時代にお付き合いする男性を見つけて、初期研修に差し掛かる24~27歳のうちに結婚するのが良いかもしれません。
しかし、だからといって、「では研修医のうちに結婚しよう」となるかと言われれば、それも疑問です。
研修医の時期は、「今でしかできないことがある!」と医師としての研鑽を積みたい時期です。
なので、まだ結婚を考えるのは早いと考える傾向にあります。
「専門医習得もしたい、留学もしたい、博士課程も終えたい」と考える方であれば、なおさらその傾向は強いでしょう。
ただ、先ほどお伝えしたように、その時期に結婚しなかったからといって、必ずしも婚期を完全に逃したとは言えない時代です。
今では、出会いの選択肢は多いので、30代後半の結婚も十分可能です。ただ、あまりに診療が忙しく、時間が作れないと仕事との両立で悩んでしまうことはあり得るかもしれません。
【理由3】病院やクリニックで男性スタッフは少ない
先ほどもお伝えしたように、医学部の大半は男性なのに、病院やクリニックで働く人の大半は女性です。
大学によって差はありますが、医学部の7割前後は男子学生です。
これは女子医大生にとっては、恋愛には有利なことです。
これは医学部に限った話ではなく、男子の多い理系学部全般で、女性は出会いの場が多くなります。
特に工学部の機械系や電気系など、物理を中心に学ぶ学科はその傾向が顕著です。工学部になると、実際に男子学生が9割程度の学科も少なくありません。
さらに、こういった医療系以外の理系学部の多くは、技術者・研究者として就職しますが、職場の男女比はあまり変わりません。
一方、医療業界については、職場に入ったら男女比が逆転してしまいます。
毎日職場と自宅の往復ばかりだと、なかなか結婚したいと思える男性と出会えないこともあり得るでしょう。
【理由4】女性医師は男性にとっては高嶺の花に思われがち
結婚相談所など職場以外の出会いの場を求めた場合、女医は男性から見ると「高嶺の花」と見られてしまうところがあります。
昔ほどではないのですが、今でも収入面では女性より優位に立ちたいという男性は少なくありません。
実際に、女性医師の結婚相手の1位は男性医師が多いです。
「女医白書」では、女医の結婚相手について次のような結果が得られています。
1位:男性医師(54.1%)
2位:医療関係以外の会社員(16.5%)
3位:公務員(9.2%)
4位:MR・製薬会社など医療関係者(4.6%)
5位:自営業(4.6%)
※「女医白書」から抜粋
男性と女性の医師が結婚するということは何も不思議なことではありません。
同じ業種の男女が意気投合して結婚に至ることは、医師でなくても十分起こり得ます。
ただ、女性医師は、男性医師や非医師でも同等の収入がある男性でないと、「ハードルが高いかな・・・・・・」と思われがちです。
また、自分と同じくらいの収入がある男性を求めている女性医師の方も多いでしょう。
この場合、後述するように医師やエグゼクティブを対象とした婚活サービスや結婚相談所もあるので、活用する余地はあります。
【理由5】論理的で頭の良いしっかり者というイメージで敬遠されやすい
女性医師の先生は、高収入であることに加えて、「論理的で頭が良く、しっかり者」という印象を何となく抱く男性は多いです。
実際、医師は日々の診療の場で、論理的に判断しないといけないことは多いです。
ただ、プライベートまで、男性が完璧主義で、論理的で抜け目がない女性を求めているかと言われれば微妙なところです。むしろ敬遠してしまう男性も多いでしょう。
ときには隙を見せたり、甘えたりするところを見せる方が、かえって男性は安心します。
自分の欠点をさらけだすくらいの方が、医師のイメージとギャップが出て好印象なこともあります。
【対策】忙しくて出会いのない女性医師が理想の結婚をするには?
これまでのことを踏まえて、日々の診療で忙しく、職場で出会いがあまりない女性医師が、どのように理想の結婚をするかをお伝えします。
ハイクラス対象の結婚相談所を利用する
先ほどもお伝えしましたが、高収入の方を対象とした結婚相談所や婚活サービスは増えてきています。
収入だけで結婚相手を決める時代でもないですが、高収入であれば、相手も高収入の方が意気投合しやすいところはあります。
検討の余地は十分あるでしょう。
開業することも1つの選択肢である
勤務医の女性医師であれば、開業するというのもひとつの選択肢です。
開業すれば理想のパートナーと出会えるというわけではありません。
ただ、出産・育児というライフステージに合わせて、自分の時間を比較的コントロールしやすいのは開業医の方です。
日本医師会女性医師支援センター「女性医師の勤務環境の現況に関する調査報告書」によれば、女性医師の休職・離職理由のうち、77%は出産、38.3%が子育てです。
また、同資料によれば、1年以上休職・離職した女医の先生の割合は38.7%です。
以前よりは、産休・育休制度が整い、職場の理解は得られやすくなっていますが、医療の現場では両立が難しいこともあり得ます。
そのため、出産・育児が開業のきっかけとなった女性医師の先生は比較的多いです。
実例として、乳腺専門クリニックのmammaria tsukijiの尹玲花先生も出産後の復職を機に開業しています。
特に理想の医療を追求していきたいなどの開業志向のある先生は、結婚や出産などのライフステージを機に開業するのもいいでしょう。
【まとめ】結婚して仕事と両立する手段は増えてきている
以上、女性医師の未婚率が高い5つの理由と対策についてお伝えしました。
女性医師の先生は日々の診療で忙しく、職場でも出会いがなかなかなく、婚活まで手が回らない傾向にあります。
また、医師というだけで高値の花に思われ、逆に男性が負い目を感じて敬遠することも考えられます。
こういったことから、女性医師は結婚に不利と言われていた時代もありました。
しかし、今は女性医師に適した結婚相談所など婚活の場はあり、出会いの選択肢は広がっています。
勤務医と結婚生活との両立が厳しいと感じるのであれば、仕事も家庭も両立できるようなクリニックを開業するのもひとつの手です。
結婚したいという気持ちがあれば、様々な情報収集をしてベストな選択ができるようにしましょう。
最後までご覧いただきありがとうございました。
監修者
笠浪 真
税理士法人テラス 代表税理士
税理士・行政書士
MBA | 慶應義塾大学大学院 医療マネジメント専攻 修士号
1978年生まれ。京都府出身。藤沢市在住。大学卒業後、大手会計事務所・法律事務所等にて10年勤務。税務・法務・労務の知識とノウハウを習得して、平成23年に独立開業。
現在、総勢52人(令和3年10月1日現在)のスタッフを抱え、クライアント数は法人・個人を含め約300社。
息子が交通事故に遭遇した際に、医師のおかげで一命をとりとめたことをきっかけに、今度は自分が医療業界へ恩返ししたいという思いに至る。
医院開業・医院経営・スタッフ採用・医療法人化・税務調査・事業承継などこれまでの相談件数は2,000件を超える。その豊富な事例とノウハウを問題解決パターンごとに分類し、クライアントに提供するだけでなく、オウンドメディア『開業医の教科書®︎』にて一般にも公開する。
医院の売上を増やすだけでなく、節税、労務などあらゆる経営課題を解決する。全てをワンストップで一任できる安心感から、医師からの紹介が絶えない。病院で息子の命を助けてもらったからこそ「ひとつでも多くの医院を永続的に繁栄させること」を使命とし、開業医の院長の経営参謀として活動している。