筑波大学医学部(医学群)の偏差値・倍率と特徴・カリキュラム、著名な卒業生
はじめに
筑波大学では医学部ではなく医学群と呼ばれています。筑波大学医学群では医学に関する学問の分野の教育を担当していく3つの学類(医学類・医療科学類・看護学類)で構成されます。いずれも病気の予防や診断さらに治療や看護を目指していく医療者と医学研究者の育成を目的としています。
医療と医学研究は個人や社会にとって最善の治療や解決策となるものを探り続けなければなりません。医学群の教育方針は様々な問題に多様な考え方で適切に対応ができるように自分で問題を考えて解決する力と方法を身に着けていくことを力を入れています。
6年間で一般教養から専門分野までの幅広い学問を習得していきます。そこから一貫教育を行っていきます。
また、筑波大学には、「体育専門群」と呼ばれる学群があり、そこにはプロのアスリートや競技コーチを目指している人が多くいます。各運動部のレベルは非常に高く、選手をサポートするスタッフを養成する土台があります。筑波大学のスポーツ医学の評判は高く、将来的にスポーツドクターを目指す人には最高の環境が整っています。
出典:筑波大学医学群HP
住所
筑波大学医学部の所在地は茨城県つくば市天久保2丁目8-14・医学系学系棟にあります。エクスプレスつくば駅から北西に2キロほど行きます。都心からでも1時間超で行くことができます。東東京・千葉辺りの方であれば通学できる可能性のある位置にあります。つくばは都心からの通勤圏ともいえますのでその逆もなりたちますね。しかもラッシュの逆方向に行くので朝も混むことはありません。
出典:筑波大学医学群HP
入学金・学費
筑波大学は国立なので入学金や授業料も私立大学に比べて格段に安くなります。それどころか他の学部とも同額になります。
入学金
282,000円
1年次学費
817,800円
2年次以降学費(年間)
535,800円
6年間学費総額
3,496,800円
私立医学部の10分の1程度です。
またつくばスカラシップという奨学金もあります。
出典:医学部受験マニュアル
偏差値
65.0
国公立大学の医学部の中では中の上くらいで特別に難関というわけではありません。ただそれでも全国の医学部のトップ20には入るものと思われます。医学部はどの大学も容易には入学できません。さらに国公立の医学部となるとさらにその難易度が上がるということは言うまでもありません。
筑波大学医学部だと千葉大学医学部あたりがほぼ同レベルの大学といえそうです。しかも両大学は50キロ以内にあるので茨城南部・千葉北西部・埼玉東部・東東京あたりの方であればどちらの大学も通学圏に入ります。医師国家試験合格率も双方とも高いので医師になる動機の強い生徒が多そうなのも魅力といえます。
出典:河合塾医進塾HP
倍率
前期2倍程度、前期茨城枠4.3倍、一般推薦枠4.5倍程度など。
倍率は毎年変動しますので参考程度
出典:医学部受験マニュアル
医師国家試験合格率
2020年:全体94.4%(全国38位)新卒95.0%(全国55位タイ)既卒75.0%(全国37位タイ)
2019年:全体96.7%(全国5位)新卒97.4%(全国8位タイ)既卒85.7%(全国6位)
2018年:全体94.3%(全国19位タイ)新卒95.0%(全国42位タイ)既卒50.0%(全国68位タイ)
2017年:全体98.2%(全国2位)新卒99.1%(全国2位)既卒87.5%(全国7位)
2016年:全体94.1%(全国25位タイ)新卒94.7%(全国43位タイ)既卒75.0%(全国21位タイ)
全体的には上位に来ています。ただ奇数年は特筆的に良く偶数年は中位より上というくらいで波があります。多くの私立大学が苦しんだ17年度の試験で98%台・全体2位(1位は自治医科大学なので国公立の中で1位)というのが筑波大学の本来の力ではないかと思っています。既卒者の成績も優秀です。
出典:医学部受験ラボHP
比較:自治医科大学医学部
沿革・歴史
筑波大学医学部(医学群)の沿革・歴史を紹介します。
1973年10月:前身の東京教育大学から筑波大学が誕生する。同時に医学専門学群も開学。
1976年10月:付属病院を開院。
1978年3月:東京教育大学を閉学。
1978年10月:医療技術短期大学部を併設。
2004年4月:国立大学法人筑波大学を設置
筑波大学は開学40年とさほど歴史はありません。つくば自体も同じ茨城でも水戸や日立と違って近年発展を遂げた都市です。また県内で唯一医学部があります。茨城は人口あたりの医師数が全国でもトップクラスに少ないところです。今後は地元に残って地域貢献のできる医師の育成も必要になっていきそうです。
出典:筑波大学HP
特徴
筑波大学医学部の特徴は、①スポーツ医学が盛んで、スポーツドクターを目指す人には最高の環境が整っていることと、②チュートリアル教育・クリニカルクラークシップ・医療概論の3つあること、③教養課程は短く、実習期間は長めという特徴がります。
①スポーツ医学が盛ん
筑波大学には「体育専門学群」と呼ばれる学群があり、そこではプロのアスリートや競技コーチを目指している人が多くいます。 各運動部のレベルは非常に高く、選手をサポートするスタッフを養成する土台があります。 将来的にアスリートの専属ドクターになりたいと考えている人には最高の環境が揃っている。
②チュートリアル教育・クリニカルクラークシップ・医療概論の3つ
チュートリアル教育
チュートリアル教育はチューターのもとで行う少人数形式で行う学習法です。1年次から3年次の臨床実習前に行います。事例を出発点としてその解決点を探っていきます。自ら得た知識を活用していきながらその解決を図っていくプロセスを学ぶことを目的としています。
基礎医学から臨床医学に至るまでの多くのコースにPBLチュートリアル形式による教育を取り入れた基礎・臨床・社会医学の統合カリキュラムによる教育を行っていきます。この教育は問題解決能力・生涯学習などを涵養することができます。自分の考えをまとめて相手に伝えていくコミュニケーション能力や協調性なども能力の涵養として狙いにあります。
クリニカルクラークシップ
クリニカルクラークシップは従来型の見学型の実習ではなく医学部生も自分の能力に応じて医療チームの一員として診療に参加するクリニカルクラークシップを導入しています。前半と後半の2つのフェーズがあります。
前半は主に附属病院で内科・外科・産婦人科・小児科・精神科となる基本の科をローテーします。また後半は総合診療科や診療所などの地域の実習や興味のある診療科を選択していくプログラムもあります。診療チームの一員としてじっくりと実習に取り組んでいきます。
医療概論
医療概論はカリキュラムの大きな柱になります。医療人に求められる臨床能力について臓器別や症候別の枠組みでは習得の難しい領域について体系的に学ぶことを目的としています。1年次から6年次までのすべての学年に医療概論コースを設置しています。このコースは医療患者関係・チーム医療・地域医療・医療安全・行動科学・ヘルスプロモーション・医療倫理・プロフェッショナリズムの7つのテーマを学習するように構成されます。
③教養課程は短く、実習期間は長め
出典:筑波大学HP
カリキュラム
筑波大学のカリキュラムは医療概論を1年から6年まで行います。1年次から3年次までは医学の基礎とPBLチュートリアル教育を行っていきます。共通科目・関連科目・基礎科目などを行います。
特徴のところでも書きましたが、かなり短い期間で大量の知識を詰め込んで試験を受けなければならないため、他大学に比べると大変かもしれませんが、坐学が早く終わるため、その分だけ臨床実習の期間が長く取られています。
1年次は生化学・組織学・分子細胞生物学・免疫学・感染生物学・生理学を学びます。
2年次は薬理学・病理学・解剖学・臨床医学基礎・消化系・循環器系・神経系・呼吸系・内分泌代謝系を学びます。
3年次は血液系・感覚系・免疫やアレルギー系・生殖系・妊娠と分娩・歯と口腔疾患・小児の成長と発達・腎泌尿器系・皮膚形成系・麻酔救急・精神系・腫瘍学・運動系・社会医学などを学びます。
4年次から6年次は臨床実習を行います。また6年次で自由選択実習と統括講義を学びます。
出典:筑波大学HP
研修制度
筑波大学付属病院を管理型病院とする集中管理方式の病院群を構築します。専任教員が配置される総合臨床教育センターが中心となって研修をコーディネートします。
筑波大学附属病院臨床研修協力病院等連絡協議会では、研修施設・指導医について独自の基準を作成して認定を行っています。院外研修は認定を受けた施設や指導医のもとで行います。
研修期間は内科6か月・救急3か月・外科系診療科研修2か月・小児科または小児外科研修2か月・産婦人科研修2か月・精神科研修1か月・外来研修1か月・在宅医療経験1回以上・地域医療研修1か月から3か月、選択科目7か月となっています。
医師として病める人の尊厳を守り、医療の提供と公衆衛生の向上に寄与していく職業の重大性を深く認識して、医師としての基本的価値観及び医師としての使命の遂行に必要な資質や能力を身に着けていく必要があります。医師としての基盤形成の段階にある研修医は基本的に価値観を自らの物にして基本的診療業務ができるレベルの資質や能力を習得します。
出典:筑波大学HP
部活動
筑波大学の部活動を紹介します。運動部・文化部・同好会・芸術系の4つに分かれます。特に運動部が盛んです。
運動部はアーチェリー部・合気道部・アイススケート部・男子アイスホッケー部・女子アイスホッケー部・アメリカンフットボール部・鹿島神流武道部・空手部・弓道部・剣道部・硬式テニス部・硬式野球部・サイクリング部・蹴球部・女子サッカー部・柔道部・準硬式野球部・少林寺拳法部・水泳部・スキー部・漕艇部・男子ソフトボール部・女子ソフトボール部・体操部・体操競技部・卓球部・ダンス部・トライアスロン部・軟式テニス部・馬術部・男子バスケットボール部・女子バスケットボール部・バドミントン部・男子バレーボール部・女子バレーボール部・男子ハンドボール部・女子ハンドボール部・フィールドホッケー部・ライフセービング部・ラグビー部があります。
文化部・同好会は電気通信研究会・英語研究会・華道部・囲碁部・宇宙工学研究会・SF研究会・園芸クラブ・海洋研究会・かるた部・視覚文化研究会・茶道同好会・茶道部・社会福祉研究会・写真部・手話サークル・将棋部・図面部・旅と鉄道の会・つくば鳥人間の会・天文研究会・自然教育研究会・文芸部・マジシャンズクラブ・漫画研究会・野外活動クラブ・野生動物研究会・歴史探訪会・剣道同好会・サッカー同好会・バスケットボール同好会・バドミントン同好会・バレーボール同好会・フェアリースキークラブ・ワンダーフォーゲルクラブ・トランポリン同好会・アルティメット同好会などがあります。
社会的な使命と公衆衛生への貸与、利他的な態度、人間性の尊重、自らを高めていく姿勢、医学や医療における倫理、医学知識と問題対応能力、診療技能と患者ケア、コミュニケーション能力・チーム医療・医療の質と安全の管理・社会における医療の実践、科学的な探求力、生涯学習、基本的な診療能力などを付けられるようにしていきます。
出典:筑波大学HP
連携病院
筑波大学の提携病院を紹介します。
いちはら病院(茨城県つくば市大曽根)
筑波記念病院(茨城県つくば市要)
つくば双愛病院(茨城県つくば市高崎)
筑波メディカルセンター病院(茨城県つくば市天久保)
水海道さくら病院(茨城県常総市水海道森下町)
茨城県立医療大学付属病院(茨城県稲敷郡阿見町阿見)
茨城リハビリテーション病院(茨城県守谷市同地字仲山)
総合守谷第一病院(茨城県守谷市松前台)
守谷慶友病院(茨城県守谷市立沢)
協和中央病院(茨城県筑西市門井)
湖南病院(茨城県下妻市長塚)
茨城西南医療センター病院(茨城県猿島郡境町)
相川内科病院(茨城県水戸市千波町)
住吉クリニック病院(茨城県水戸市住吉町)
水戸赤十字病院(茨城県水戸市三の丸)
日立総合病院(茨城県日立市城南町)
ひたちなか総合病院(茨城県ひたちなか市石川町)
神栖済生会病院(茨城県神栖市知手中央)
石岡第一病院(茨城県石岡市東府中)
霞ヶ浦医療センター(茨城県土浦市下高津)
出典:筑波大学HP
著名な卒業生
筑波大学の有名な卒業生を紹介します。
内海聡氏(NPO法人薬害研究センター理事長)
斎藤環氏(公益社団法人青少年健康センター参与)
柳沢正史氏(筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構機構長)
モイメンリン氏(熱帯病や感染症の治療薬やワクチンの研究を行う)
出典:WIKI
監修者
笠浪 真
税理士法人テラス 代表税理士
税理士・行政書士
MBA | 慶應義塾大学大学院 医療マネジメント専攻 修士号
1978年生まれ。京都府出身。藤沢市在住。大学卒業後、大手会計事務所・法律事務所等にて10年勤務。税務・法務・労務の知識とノウハウを習得して、平成23年に独立開業。
現在、総勢52人(令和3年10月1日現在)のスタッフを抱え、クライアント数は法人・個人を含め約300社。
息子が交通事故に遭遇した際に、医師のおかげで一命をとりとめたことをきっかけに、今度は自分が医療業界へ恩返ししたいという思いに至る。
医院開業・医院経営・スタッフ採用・医療法人化・税務調査・事業承継などこれまでの相談件数は2,000件を超える。その豊富な事例とノウハウを問題解決パターンごとに分類し、クライアントに提供するだけでなく、オウンドメディア『開業医の教科書®︎』にて一般にも公開する。
医院の売上を増やすだけでなく、節税、労務などあらゆる経営課題を解決する。全てをワンストップで一任できる安心感から、医師からの紹介が絶えない。病院で息子の命を助けてもらったからこそ「ひとつでも多くの医院を永続的に繁栄させること」を使命とし、開業医の院長の経営参謀として活動している。