クリニックの標榜科目のルールは?変更する場合はどうする?

公開日:2026年9月3日
更新日:2026年9月3日

クリニックの標榜科目は、患者さんが「どんな病気を診てくれるのか?」を一目で把握できる名称にする必要があります。

一方で、標榜科目を決める際は、医療法施行令で定められたルールを守らなければいけません。

そこで、今回は標榜科目のルールや、変更が必要になった場合の対応方法についてお伝えします。

※なお、2026年6月から、医療法施行令改正により、「睡眠障害」が新たな標榜可能な病態として追加されています。

⇒⇒⇒【参考】厚生労働省「標榜可能な診療科名に係る医療法施行令の改正について」

標榜科目の正しい基本ルール

標榜科目は、医療法施行令第3条の2で定められた範囲内で設定しなければいけません。

標榜科目の基本ルールは、2008年4月の「広告可能な診療科名の改正について」(医政発第0331042号厚生労働省医政局長通知)により大幅な見直しが行われ、以下のようになっています。

①内科
②外科
③内科または外科と、次の各事項を組み合わせたもの(a)身体や臓器の名称
(b)患者の年齢、性別等の特性
(c)診療方法の名称
(d)患者の症状、疾患の名称
④単独で標榜可能な診療科名(上記(a)~(d)との組み合わせも可能)

なお、標榜科目数には法的に上限が設けられているわけではありません。

ただ、医療広告ガイドラインでは、医師1人に対して主たる標榜科目を原則2つ以内とすることが望ましいと記載されています。

(ⅲ)医療機関が広告する診療科名の数について

患者等による自分の病状等に合ったより適切な医療機関の選択を支援する観点から、医療機関においては、当該医療機関に勤務する医師又は歯科医師一人に対して主たる診療科名を原則2つ以内とし、診療科名の広告に当たっては、主たる診療科名を大きく表示するなど、他の診療科名と区別して表記することが望ましい。

厚生労働省「医療広告ガイドライン」より抜粋

ルールに基づいた診療科名の標榜方法

標榜科目の基本ルールに基づいた、診療科名の標榜方法は次の通りです。

単独で使用可能な標榜科目

上記「①内科」「②外科」「④単独で標榜可能な診療科名」に該当する標榜科目は次の通りです。

内科、外科、精神科、アレルギー科、リウマチ科、小児科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科(産科、婦人科)、眼科、耳鼻いんこう科、リハビリテーション科、放射線科(放射線治療科、放射線診断科)、病理診断科、臨床検査科、救急科

厚生労働省「標榜診療科名について」より抜粋

なお、麻酔科については、厚生労働大臣の許可を得なければ標榜することができません。

歯科医院については、単独で使用可能な標榜科目は「歯科」のみになります。

単独の診療科名と組み合わせて用いることができる標榜科目

単独で使用可能な診療科名と組み合わせて使用できる標榜科目は次の通りです。

区分施行令施行規則
(a)身体や臓器の名称頭頸部、胸部、腹部、呼吸器、消化器、循環器、気管食道、肛門、血管、心臓血管、腎臓、脳神経、神経、血液、乳腺、内分泌、代謝頭部、頸部、気管、気管支、肺、食道、胃腸、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、胆のう、膵臓、心臓、脳、脂質代謝
(b)患者の年齢、性別等の特性男性、女性、小児、老人周産期、新生児、児童、思春期、老年、高齢者
(c)診療方法の名称整形、形成、美容、心療、薬物療法、透析、移植、光学医療、生殖医療、疼痛緩和漢方、化学療法、人工透析、臓器移植、骨髄移植、内視鏡、不妊治療、緩和ケア、ペインクリニック
(d)患者の症状、疾患の名称感染症、腫瘍、糖尿病、アレルギー疾患、睡眠障害性感染症、がん

【組み合わせのルール】
・(a)~(d)の異なる区分の語句はそのままつなげて使用することができる。
・(a)~(d)で同じ区分の語句を使用する場合は、「・」などで区切る必要がある。
厚生労働省「標榜診療科名について」より抜粋

冒頭でお伝えした通り、2026年6月以降は「睡眠障害」も標榜可能な病態として追加されています。

古い厚生労働省資料では「睡眠障害」の記載がないので注意してください。

なお、歯科医院については、「歯科」と組み合わせて使用できる標榜科目は次の通りです。

区分施行令
(a)患者の年齢を示す名称小児
(b)歯科医学的処置矯正、口腔外科

【組み合わせのルール】
・(a)~(b)の異なる区分の語句はそのままつなげて使用することができる。
・(a)~(b)で同じ区分の語句を使用する場合は、「・」などで区切る必要がある。
厚生労働省「医療広告ガイドライン」より抜粋

不適切な組み合わせにより標榜できない診療科名

以下のような、不適切な組み合わせとなる名称は認められていません。

診療科名不合理な組み合わせとなる事項
内科整形又は形成
外科心療
アレルギー科アレルギー疾患
小児科小児、老人、老年又は高齢者
皮膚科呼吸器、消化器、循環器、気管食道、心臓血管、腎臓、脳神経、気管、気管支、肺、食道、胃腸、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、胆のう、膵臓、心臓又は脳
泌尿器科頭頸部、胸部、腹部、呼吸器、消化器、循環器、気管食道、心臓血管、脳神経、乳腺、頭部、頸部、気管、気管支、肺、食道、胃腸、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、胆のう、膵臓、心臓又は脳
産婦人科男性、小児又は児童
眼科胸部、腹部、呼吸器、消化器、循環器、気管食道、肛門、心臓血管、腎臓、乳腺、内分泌、頸部、気管、気管支、肺、食道、胃腸、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、胆のう、膵臓又は心臓
耳鼻咽喉科胸部、腹部、消化器、循環器、肛門、心臓血管、腎臓、乳腺、内分泌、胃腸、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、胆のう、膵臓又は心臓

厚生労働省「医療広告ガイドライン」より抜粋

法令に根拠がないため標榜できない診療科名

法令に根拠にない名称は、診療科目として標榜することができません。

例えば次のようなものです。

◎医科に関係する名称
「呼吸器科」、「循環器科」、「消化器科」、「女性科」、「老年科」、「化学療法科」、「疼痛緩和科」、「ペインクリニック科」、「糖尿病科」、「性感染症科」など

◎歯科に関係する名称
「インプラント科」、「審美歯科」など

厚生労働省「医療広告ガイドライン」より抜粋

標榜科目の組み合わせの表示形式

標榜科目の表示形式については、以下のルールに従うことが求められています。

①「○○△△科」と組み合わせて表示する場合
表示例:「呼吸器内科」「消化器外科」

②「○○・△△科」と組み合わせて表示する場合
表示例:「肝臓・消化器外科」「糖尿病・代謝内科」

③「○○科(△△)」と組み合わせて表示する場合
表示例:「内科(循環器)」

厚生労働省「医療広告ガイドライン」より抜粋

以上の点を踏まえ、通常考えられる標榜科目の例は次の通りです。

医科内科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科、心臓内科、血液内科、気管食道内科、胃腸内科、腫瘍内科、糖尿病内科、代謝内科、内分泌内科、脂質代謝内科、腎臓内科、神経内科、心療内科、感染症内科、漢方内科、老年内科、女性内科、新生児内科、性感染症内科、内視鏡内科、人工透析内科、疼痛緩和内科、ペインクリニック内科、アレルギー疾患内科、内科(ペインクリニック)、内科(循環器)、内科(薬物療法)、内科(感染症)、内科(骨髄移植)、外科、呼吸器外科、心臓血管外科、心臓外科、消化器外科、乳腺外科、小児外科、気管食道外科、肛門外科、整形外科、脳神経外科、形成外科、美容外科、腫瘍外科、移植外科、頭頸部外科、胸部外科、腹部外科、肝臓外科、膵臓外科、胆のう外科、食道外科、胃腸外科、大腸外科、内視鏡外科、ペインクリニック外科、外科(内視鏡)、外科(がん)、精神科、アレルギー科、リウマチ科、小児科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻いんこう科、リハビリテーション科、放射線科、放射線診断科、放射線治療科、病理診断科、臨床検査科、救急科、児童精神科、老年精神科、小児眼科、小児耳鼻いんこう科、小児皮膚科、気管食道・耳鼻いんこう科、腫瘍放射線科、男性泌尿器科、神経泌尿器科、小児泌尿器科、小児科(新生児)、泌尿器科(不妊治療)、泌尿器科(人工透析)、産婦人科(生殖医療)、美容皮膚科など
歯科歯科、小児歯科、矯正歯科、歯科口腔外科

厚生労働省「医療広告ガイドライン」より抜粋

標榜科目を変更したい場合

標榜科目を変更する場合は、管轄の保健所に対して「診療所届出事項変更届」を提出する必要があります。

提出期限は、変更後10日以内と定めている自治体が多いですが、事前に管轄の保健所に確認しておくことをおすすめします。

2026年に新たに標榜可能となった睡眠障害についても、同様の変更届出が必要となります。

標榜科目の変更手続きは、それほど複雑なものではありませんが、変更に伴い次の点も併せて忘れずに更新しましょう。

・クリニックの看板
・クリニックのホームページ
・Googleビジネスプロフィール
・各種医療機関検索サイト

古い標榜科目を残したままにすると、厳密には医療広告ガイドラインに抵触する可能性があります。

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また、実際の標榜科目と看板やホームページの記載が異なると、患者さんの混乱を招くため、集患の観点からも好ましくありませんので、なるべく速やかな修正対応を行ってください。

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【まとめ】ルールを守って標榜科目を設定する

麻酔科のように許可が必要なものを除き、上記の基本ルールの範囲内であれば自院に適した標榜科目を設定できます。

先生の専門の範囲内で、地域の患者さんのニーズに合致した、適正な診療科目を標榜しましょう。

最後までご覧いただきありがとうございました。

笠浪 真

1978年生まれ。京都府出身。藤沢市在住。大学卒業後、大手会計事務所・法律事務所等にて10年勤務。税務・法務・労務の知識とノウハウを習得して、平成23年に独立開業。
現在、総勢52人(令和3年10月1日現在)のスタッフを抱え、クライアント数は法人・個人を含め約300社。
息子が交通事故に遭遇した際に、医師のおかげで一命をとりとめたことをきっかけに、今度は自分が医療業界へ恩返ししたいという思いに至る。

医院開業・医院経営・スタッフ採用・医療法人化・税務調査・事業承継などこれまでの相談件数は2,000件を超える。その豊富な事例とノウハウを問題解決パターンごとに分類し、クライアントに提供するだけでなく、オウンドメディア『開業医の教科書®︎』にて一般にも公開する。

医院の売上を増やすだけでなく、節税、労務などあらゆる経営課題を解決する。全てをワンストップで一任できる安心感から、医師からの紹介が絶えない。病院で息子の命を助けてもらったからこそ「ひとつでも多くの医院を永続的に繁栄させること」を使命とし、開業医の院長の経営参謀として活動している。

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