久留米大学医学部の歴史とカリキュラム・研修制度、著名な卒業生
はじめに
久留米大学医学部では真理と正義を探求して人間愛と人間の尊重を希求します。高い理想を持った人間性豊かな実践的な人材の育成を目指していくとともに、地域文化に光を与えてその輝きを世界に伝えていきます。そこから人類の平和に貢献をしていくことを使命とします。これが大学の基本理念となっています。
伝統を重んじながらも地域や時代のニーズに合った新しい学部や学科を開設していくとともに、研究面では特色のある事業に積極的に取り組んでいきます。地域社会に貢献ができるような産学官連携にも力を入れていきます。
私大医学部の特長を生かした自由ある特色を生かした教育を行っています。学生時代を過ごすにはすごく良い環境がそろっているのではないかと思われます。
住所
久留米大学医学部の所在地は福岡県久留米市旭町67にあります。久留米大学から車で数分ほど、徒歩だと20分ほどかかります。福岡市街から電車で1時間ほどですので通学圏といえます。
入学金・学費
入学金
1,000,000円
1年次の学費
9,313,000円
1年次は入学金が100万円、授業料が270万円、教育充実費が400万円、委託徴収金が11万3000円、その他150万円で合計931万3000円程度
2年次以降の学費
6,213,000円
2年次以降は授業料270万円、教育充実費350万円、委託徴収金が1万3000円で合計621万3000円程度
6年間学費総額
40,374,500円
総額で931万3000円+621万3000円×5年=40374500円程度。
全国の私立医学部の中でも比較的学費は高めになります。地方の私立医学部は施設が広いところが多いこと、また少数精鋭の授業を行うところが多く、この面からも授業料が高くなる傾向があるものと思われます。
奨学金は久留米大学奨学金の給付・貸与の2種類があります。
出典:医学部受験マニュアル
偏差値
65.0
数年前までは70近くあったので私立医学部の中でも難関の部類に入ります。医学部自体で容易に合格できるところはありません。久留米大学医学部もその例外もありません。
また久留米大学医学部と福岡大学医学部は併願の対象になります。わずかながらに久留米大学医学部の方が難しいかもしれませんが相性もありますので誤差の範囲内です。産業医科大学医学部は久留米大学医学部や福岡大学医学部よりも難しいです。ただこの3大学はとても近くにあるので地元の方は3大学を同時に狙ってもいいのではないでしょうか。
産業医科大学を挑戦にして久留米大学と福岡大学で勝負する。さらに自信のある方は九州大学医学部にチャレンジする。福岡近郊には医学部が4大学もあるんですね。とても優秀だと感じました。
出典:河合塾医進塾HP
医師国家試験合格率
2020年:全体84.4%(全国78位)新卒87.8%(全国77位)既卒56.3%(全国63位タイ)
2019年:全体87.5%(全国63位)新卒88.8%(全国66位)既卒80.0%(全国13位タイ)
2018年:全体83.3%(全国77位)新卒82.7%(全国79位)既卒86.4%(全国4位)
2017年:全体80.3%(全国75位)新卒82.3%(全国76位)既卒71.4%(全国19位)
2016年:全体84.8%(全国79位)新卒85.5%(全国80位の最下位)既卒81.0%(全国13位)
近年はあまり上位に行っていません。既卒はかなり頑張っていますが現役が少し苦戦しています。それでも9割近い方が合格しているというところにさすが医学部生という感じがします。
出典:医学部受験ラボHP
沿革・歴史
久留米大学医学部の歴史を紹介します。
1928年4月:九州医学専門学校を設立
1952年2月:久留米大学医学部を開設
1956年3月:久留米大学医学部研究科博士課程を設立
1966年3月:久留米大学医学部付属高等看護学校を設置
1994年4月:久留米大学医学部に看護学科を設置
2020年度:医学部医学科・看護学科で通常の授業が行われています。
出典:久留米大学医学部HP
学習目標
久留米大学医学部の学習目標は次のようなところです。
1:高い倫理観と職業意識を持つ。医師に必要な良心・利他主義・誠実さ・謙虚さ。医師としての誇りや責任感を持って患者中心の医療ができる。医師の前にまず社会人としての良識を守る。
2:豊かな人間性と一般教養を有する。患者さんとその家族を思いやる。痛みや不安を分かち合う。同様に価値観などを共有する。人文・自然・社会科学などの知識と教養を有する。
3:総合的で実践的な診療能力を有する。臨床医学の知識と技能を習得して診察や医療面接ができる。患者の病態や重症度を把握して検査計画などを立てられる。患者情報を把握して診療録などが書ける。
4:チーム医療の実践と安全性の確保。医療に関わる他の職業の役割を理解してチーム医療を行えるようにする。患者さんや家族も含めてのチーム医療ができる。医療のリスクまでを考えた治療を行える。
5:地域や国際社会への貢献。地域の疾病環境などを理解して健康増進ができる。国籍・人種・宗教・心情などの感情を挟まずに治療ができる。海外の衛生状況や健康状態を理解して国際医療にも貢献する。
6:科学的な探求心と自己研鑽。疑問を持って常に真実を追求する。国内外の医学研究の動向を知って科学的な研究に興味を持つ。生涯にわたって自己研鑽を行う。
出典:久留米大学医学部HP
カリキュラム
久留米大学医学部のカリキュラムは次のようになります。
1年次
主体的で深い学びの基礎になる共同学習の理論と技法に基づいて患者中心の医療の実現に向けて医療に求められるチーム医療に質する人間性と科学的な探求力及びコミュニケーション能力を体得して仲間と切磋琢磨して高め合うことを目標にします。
人間科学論・医療倫理学・医学史・アカデミックリテラシー・医学統計学・医学心理学・基礎遺伝学・分子生物学・生命基礎物理学・生命基礎化学・基礎生物学・自然科学実習(物・生・化)人体の構築・協働学習・医学入門実習・施設体験学習・英語・英会話・人文科学・社会科学・自然科学・論理学・スポーツ科学論・職業倫理学・生命倫理学・TOEFL・基礎医学討論・体験演習・社会心理学・スポーツカルチャー・観光英語などを学びます。
2年次
コアカリキュラムです。基礎医学を縦割りではなく横断的に学んでいきます。1つのテーマを様々な形で教官が参加することで学生に理解しやすいカリキュラムにしていきます。
神経解剖学・生理学ⅠⅡ・発生学・臨床解剖学・系統解剖学実習・医化学・細菌学・ウイルス学・寄生虫学・免疫学・薬理学Ⅰ・病理学Ⅰ・基礎放射線医学・行動科学Ⅱ・法医学・施設体験学習Ⅱなどを学びます。
3年次
解剖実習などの症例検討をします。症例の病歴・検査所見・臓器の肉眼・組織像から問題点を指摘します。解決するための学生個人や少人数のグループにより自主学習を重視します。
医学英語Ⅲ・薬理学Ⅱ・病理学Ⅱ・臨床検査学・医療安全・漢方医療・行動科学Ⅲ・臨床栄養学・循環器内科・呼吸器内科・消化器内科・腎臓内科・神経内科・内分泌代謝内科・血液内科・感染症学・膠原病内科・小児科・精神神経科・放射線医学・産婦人科・麻酔科・救急医学・泌尿器科・心臓血管外科・呼吸器乳腺外科・消化器外科・小児外科・脳神経外科・耳鼻咽喉科・形成外科・口腔外科などを学びます。
4年次
臨床技能統括実習を行います。臨床実習の開始前に学生が卒業時の目標を目指して診察や実技に関する基礎知識を修得してシミュレーター・模擬患者・学生同士の相互実習などを学びます。あとは共用試験があります。これは臨床実習を行うためには通らなければなりません。どの大学でも共通にあります。医師になるための第一関門という位置づけにもなるかなと思われます。
医学英語Ⅳ・環境医学・公衆衛生学・行動科学Ⅳ・漢方医学・医療安全・整形外科・精神神経科・脳神経外科・耳鼻咽喉科・眼科・皮膚科・放射線医科・形成外科・口腔外科・症例と病態そして診察・腫瘍学・加齢老化と死・臨床実習学・臨床技能統括実習などを学びます。
5年次
クリニカルクラークシップ(診療参加型の臨床実習)を行います。医師として必要な知識・技能・態度・習慣などを身に着けます。従来の見学型ではなく先輩医師・他の医療スタッフ・患者さんの中に参加するという参加型の実習になります。また医師になるための第一段階になる白衣授与式があります。自覚と責任ある行動を持ってほしいというところから来ています。
6年次
さらに高度なクリニカルクラークシップを行っていきます。学内の病院だけでなく学外の医療機関で診療実習をすることもあります。最後に医師国家試験と卒業試験を経て卒業になります。
出典:久留米大学医学部HP
研修制度
特徴
久留米大学医学部の臨床研修の特徴は以下のところが挙げられます。
整備された施設と豊富なスタッフによる指導体制が整備されています。
全国有数の豊富な外来・入院・手術の症例もあります。
地域医療機関との連携がしっかりとできています。
西日本最大規模の高度救命救急センターが機能しています。
適切な指導体制のもとでプライマリーケアを中心に幅広く医師としての必要な診療能力を身に着けて人格を涵養していきます。
久留米大学医学部には総合研修コース、小児科コース、産婦人科コース、久留米大学九州医療センターコース、久留米大学聖マリア病院コース、久留米大学八女総合病院コースなどがあります。定員は年によって多少上下(2020年4月現在)します。
総合研修コース
1年次に内科Ⅰ2か月、内科Ⅱ2か月、内科Ⅲ2か月、救急2か月、外科1か月、選択科Ⅰ1ヶ月、救急麻酔科1か月、選択科Ⅱ1か月の合計12か月。2年次に選択科Ⅲ1か月、選択科Ⅳ1か月、精神科1か月、選択科Ⅴ1か月、小児科1か月、選択科Ⅵ1か月、産婦人科1か月、選択科Ⅶ1か月、地域医療1か月、選択科Ⅷ1か月、一般外来1か月、選択科Ⅸ1か月の合計12か月。定員は31名程度。
小児科コース
1年次に内科Ⅰ2か月、内科Ⅱ2か月、内科Ⅲ2か月、救急2か月、外科1か月、小児科久留米大学医療センター2か月、精神科1か月の合計12か月。2年次に聖マリア病院で小児科・新生児・周産期6か月、救急科1か月、産婦人科1か月、地域医療1か月、一般外来1か月、選択科Ⅰ1か月、選択科Ⅱ1か月の合計12か月。定員は2名程度。
産婦人科コース
1年次に内科Ⅰ2か月、内科Ⅱ2か月、内科Ⅲ2か月、救急2か月、外科1か月、選択科Ⅰ1か月、麻酔科1か月、選択科Ⅱ1か月の合計12か月。2年次に救急科1か月、精神科1か月、選択科Ⅲ1か月、産婦人科周産期3か月、産婦人科小倉医療センター2か月、小児科1か月、地域医療1か月、一般外来1か月、選択科Ⅳ1か月の合計12か月。定員は2名程度。
久留米大学九州医療センターコース
1年次に内科Ⅰ2か月、内科Ⅱ2か月、内科Ⅲ2か月、救急科3か月、外科1か月、産婦人科1か月、精神科1か月の合計12か月。2年次は九州医療センターで9か月、外科1か月、地域医療1か月、一般外来1か月を聖マリア病院などその他の医療施設。合計12か月。定員は2名程度。
久留米大学聖マリア病院コース
1年次に内科Ⅰ2か月、内科Ⅱ2か月、内科Ⅲ2か月、救急科3か月、外科1か月、産婦人科1か月、精神科1か月の合計12か月。2年次は聖マリア病院で9か月、外科1か月、地域医療1か月、一般外来1か月を聖マリア病院などその他の医療施設。合計12か月。定員は2名程度。
久留米大学八女総合病院コース
1年次に内科Ⅰ2か月、内科Ⅱ2か月、内科Ⅲ2か月、救急科3か月、外科1か月、産婦人科1か月、精神科1か月の合計12か月。2年次は公立八女病院で9か月、外科1か月、地域医療1か月、一般外来1か月を公立八女病院などその他の医療施設。合計12か月。定員は2名程度。
出典:久留米大学医学部HP
部活動
久留米大学医学部の部活動を紹介します。体育系・文化系・ゼミナール・サークルボランティアに分かれます。サークル仲間が卒業後も同士になって一生の付き合いになる可能性もあります。部活動も見識や交流を深める大きな1つになります。興味のある方は加入してみてはいかがでしょうか。
体育会系は合気道部・空手部・弓道部・剣道部・硬式テニス部・ゴルフ部・サッカー部・自動車サークル・柔道部・準硬式野球部・水泳部・卓球部・軟式テニス部・バスケットボール部・バドミントン部・バレーボール部・ビリヤード部・ボート部・ラグビー部・陸上競技部・ワンダーフォーゲル部などがあります。
文化会系は管弦楽部・茶道部・美術部・軽音楽部・写真部・文芸部などがあります。
ゼミナールは久留米大学自然科学研究会、日本国際医学英語研究会などがあります。
サークルボランティアはレピーフ(子供などの性の問題などを考えていく)があります。
出典:久留米大学医学部HP
連携病院
久留米大学医学部の連携病院を紹介します。
JCHO久留米総合病院(福岡県久留米市櫛原町)
大牟田市立総合病院(福岡県大牟田市宝坂町)
柳川病院(福岡県柳川市筑紫町)
公立八女総合病院(福岡県八女市高塚)
社会保険田川病院(福岡県田川市上本町)
聖マリア病院(福岡県久留米市津福本町)
熊本セントラル病院(熊本県菊池郡大津町)
筑後市立病院(福岡県筑後市大字和泉)
朝倉医師会病院(福岡県朝倉市来春)
国立病院機構九州医療センター(福岡市中央区地行浜)
JCHO佐賀中部病院(佐賀県佐賀市兵庫南)
清和会長田病院(福岡県柳川市下宮永町)
済生会二日市病院(福岡県筑紫野市湯町)
戸畑共立病院(福岡県北九州市戸畑区沢見)
済生会日田病院(大分県日田市大字三和)
西日本病院(熊本市東区八反田)
亀田総合病院(千葉県鴨川市東町)
大浜第一病院(沖縄県那覇市天久)
出典:久留米大学医学部HP
著名な卒業生
久留米大学医学部の主な卒業生を紹介します。大物の方もいます。
横倉義武氏(日本医師会名誉会長)
杉山登志郎氏(あいち小児保健医療総合センター非常勤講師)
出典:WIKI
監修者
笠浪 真
税理士法人テラス 代表税理士
税理士・行政書士
MBA | 慶應義塾大学大学院 医療マネジメント専攻 修士号
1978年生まれ。京都府出身。藤沢市在住。大学卒業後、大手会計事務所・法律事務所等にて10年勤務。税務・法務・労務の知識とノウハウを習得して、平成23年に独立開業。
現在、総勢52人(令和3年10月1日現在)のスタッフを抱え、クライアント数は法人・個人を含め約300社。
息子が交通事故に遭遇した際に、医師のおかげで一命をとりとめたことをきっかけに、今度は自分が医療業界へ恩返ししたいという思いに至る。
医院開業・医院経営・スタッフ採用・医療法人化・税務調査・事業承継などこれまでの相談件数は2,000件を超える。その豊富な事例とノウハウを問題解決パターンごとに分類し、クライアントに提供するだけでなく、オウンドメディア『開業医の教科書®︎』にて一般にも公開する。
医院の売上を増やすだけでなく、節税、労務などあらゆる経営課題を解決する。全てをワンストップで一任できる安心感から、医師からの紹介が絶えない。病院で息子の命を助けてもらったからこそ「ひとつでも多くの医院を永続的に繁栄させること」を使命とし、開業医の院長の経営参謀として活動している。