獨協医科大学医学部の歴史・沿革とカリキュラム、著名な卒業生

公開日:2020年10月6日
更新日:2024年3月18日

はじめに

獨協医科大学医学部では患者及びその家族さらに医療関係者をはじめとして一般の方から幅広く信頼される医師の育成を目指していきます。

具体的には医学知識・臨床能力・プロフェッショナル意識・能動的学習能力・リサーチ力・視野の広さ・人間性を身に着けていくディプロマ・ポリシーを身に着けていきます。その目的を達成していくために臨床実習の充実・臨床実習前の教育・人間形成・コミュニケーション能力・地域医療の実態・国際交流・客観的な成績評価などを行って学生をサポートしていきます。また学問を通して人間関係を作っていくことを建学の精神にしています。「医師である前に善良な人であれ」という教育も併せて行っています。

住所

獨協医科大学医学部の所在地は栃木県下都賀郡壬生町大字北小林880にあります。東武宇都宮線「おもちゃのまち」駅から徒歩10分ほどです。都心からだと宇都宮駅まで新幹線を使ってそこから東武宇都宮線で「おもちゃのまち」駅まで戻るのが最も早いものと思われます。また車だと高速で1時間半程度で行けるものと思われます。

入学金・学費

獨協医科大学医学部の入学金や学費は以下のようになります。

入学金

1,000,000円

授業料

21,000,000円

1年次から6年次まで各350万円。350万円×6年間=2100万円

教育充実費

1年次が510万円。2年次から6年次までが各190万円。510万円+190万円×5年間=1460万円

6年間学費総額

36,600,000円

100万円+2100万円+1460万円=3660万円

学費は前期と後期で分納することもできます。

その他費用

700,000円

学友会費10万円と父母会費60万円が初年度にかかります。ただ学費だけでみるとほぼ平均的・標準的です。総額で3000万円から4000万円前半くらいの大学が多いです。

入試成績の優秀者は教育充実費を最大5割ほどの減免があります。また獨協医科大学特別奨学金・育英奨学金・日本学生支援機構奨学金などの奨学金もあります(奨学金の詳細は略します)

出典:獨協医科大学HP

偏差値

62.5程度

私立医学部の中でも比較的入学はしやすい大学といえます。すぐ近くにある自治医科大学医学部よりも入りやすいですので狙い目の大学の一つです。両大学は10キロ程度しか離れていません。栃木・筑西などの茨城西部・久喜などの埼玉北部・館林などの群馬東部に在住している方であれば両大学とも問題なく通学できます。まず医師になるという目標を果たすために獨協医科大学を合格できるようにする。その上で学費面でも学力的にも高い自治医科大学を勝負できるようにする。そういう選択を取るのもありなのかなという気がします。

出典:河合塾医進塾HP

医師国家試験合格率

獨協医科大学医学部の医師国家試験合格率を年ごとに比較していきます。

2020年:全体88.5%(全国75位)新卒89.1%(全国76位)既卒85.0%(全国18位)
2019年:全体84.1%(全国73位)新卒83.6%(全国76位)既卒70.8%(全国25位)
2018年:全体83.6%(全国76位)新卒83.6%(全国76位)既卒83.3%(全国9位タイ)
2017年:全体78.6%(全国78位)新卒82.9%(全国74位)既卒46.7%(全国57位タイ)
2016年:全体88.5%(全国69位タイ)新卒91.3%(全国69位タイ)既卒72.20%(全国27位)

全体は70位台の年が多いです。ただ既卒生の成績はけっこう上位にいます。医学生としてのポテンシャルは感じます。

出典:医学部受験ラボHP

歴史・沿革

獨協医科大学は1881年に創立された獨逸学協会をルーツにしています。140年近い歴史を有する全国でもかなりの歴史のある大学です。その獨協医科大学として1973年に栃木県壬生町に医学部と看護学部を開学しました。

1973年4月 獨協医科大学(医学部医学科)開学

1974年4月 附属高等看護専門学院開校

1974年7月 大学病院診療開始

1979年4月 大学院医学研究科開設

1983年4月 附属看護専門学校開設(附属高等看護学院を改組)

1984年6月 越谷病院(埼玉医療センター)診療開始

1994年4月 (財)大学基準協会の維持会員に登録

1997年4月 獨協医科大学奨学金制度及び修学金貸付制度を創設

1997年7月 第1回オープンキャンパスを開催

1998年4月 獨協医科大学研究助成制度を創設

1999年4月 関記念学生館(女子学生寮)が竣工

2002年1月 入学試験に大学入試センター試験を導入

2003年7月 入学試験にAO入学試験を導入

2006年4月 日光医療センターが開院

2007年4月 看護学部が開設

2009年4月 医学部定員を増員(10人)

2010年4月 医学部定員を増員(5人)

2011年4月 助産学専攻科を開設

2012年4月 大学院看護学研究科を開設

2012年4月 医学部定員を増員(3人)

2014年7月 獨協大学との単位互換に関する協定の締結(看護学部)

2015年4月 附属看護専門学校三郷校を開校

2015年6月 地域医療教育センターの設置

2017年11月 越谷病院新棟竣工 病院名称を「埼玉医療センター」に変更

越谷病院附属腎・予防医学センターは「埼玉医療センター附属越谷クリニック」に名称変更

2019年4月 研修会議棟竣工

2019年6月 先端医科学統合研究施設を設置し、先端医科学研究センター(新設)・研究連携・支援センター(研究支援センターから名称変更し組入)・実験動物センター(組入)を配置、RIセンターを放射線管理センターに名称変更

出典:獨協医科大学HP

特徴・教育目標

獨協医科大学医学部の教育目標は医学と看護学の基礎・理論・応用を研究していきます。そこから国際的な視野に立って高度の医学的な知識・看護学的な知識と技能を習得していきます。社会的に信頼される医師と看護師の養成を行っています。さらに医学と看護の発展と福祉の向上に貢献していくことを目的にしていきます。

また学生には主体的な学習ができるようになること・健康でバランスの取れた人格形成を目指していくこと・思いやりのある医師になること・患者の身体精神を理解して問題点と向き合うこと・地域社会に貢献していくという強い信念と責任感を持つこと・国際的な医療情報の収集と解析能力を持つことなどを挙げています。

さらに卒業時までに基本的な医学知識と国際的な医療情報・患者目線に立つことそして医師としての社会的責任・基本的な診療技術と緊急処置の実践などを修得できるようにします。研究心・マインド・診療能力を兼ね備えた医師になれるようになっていただきたいという意図があります。

出典:獨協医科大学HP

カリキュラム

独協医科大学医学部のカリキュラムは次のようになっています。6年間で一般知識・態度・人間性・国際的視野・基本的知識の習得・基本的技術の習得・研究マインド・地域医療などを学びます。

1年次

1年次では信頼される医師になるための人間力と医学の基礎を学習していきます。まず医師としての倫理や信念を学びます。また地域医療や福祉の現場を体験していきます。患者の生活の原点などを学んでいきます。他にも医師になるための基本を学んでいきます。

教養医科学・統計数学・医学情報・行動科学・スタディスキルズ・地域医療学・コミュニティヘルスインターンシップ・基礎物理学・基礎化学・基礎生物学・生体関連化学・物質科学・総合英語AB・医学英語Ⅰ・人体物理学・細胞生物学Ⅰ・物理実験・化学実験・生物実習・リベラルスタディ・早期臨床体験実習・統計学・初期組織学・社会と法律・心理学・細胞生物学Ⅱ・人体発生学・解剖学序論・チュートリアル教育・骨筋学・生理学序論などを学びます。

2年次

2年次では人体の構造や機能・疾病の原因や予防などの基礎医学を学びます。また解剖学などの医学実習もスタートします。講義を実習という形で定着していきます。解剖学実習では命の大切さも伝えていきます。

英語Ⅱ・医学英語Ⅱ・生体分子と代謝・骨筋学・解剖学各論Ⅰ・解剖学実習・組織学総論・解剖学各論Ⅱ・組織学実習・情報伝達・消化吸収と栄養科学・循環と呼吸科学・体液と腎科学・運動と感覚・基礎神経科学・脳実習・微生物学・分子生物学・生化学実習・内分泌代謝科学・植物機能生物学実習・高次脳機能・神経生理学・微生物学実習・病理学総論・病理学総論実習・チュートリアル教育などを学びます。

3年次

3年次は基礎医学の延長に臨床医学がスタートします。消化器・循環器・呼吸器・脳神経・耳鼻・腎泌尿器などの臓器の病態・診断・治療の基礎を学びます。また病理学概論や実習なども行います。臨床医学の基礎をマスターして臨床実習にスムーズに進めるようにしていきます。

医学英語Ⅲ・薬理学・医動物学・医動物学実習・免疫学・消化器・循環器・一般外科・衛生学・薬理学実習・予防医学・臨床疫学・呼吸器・脳神経・内分泌代謝・耳鼻咽喉口腔・放射線医学・衛生学実習・血液造血器・産婦人科学・腎泌尿器・小児医学・運動器・アレルギー膠原病・感染症・病理学各論ⅠⅡⅢ・アドバンスコミュニティヘルスインターンシップなどを学びます。

4年次

4年次は臨床統合科目の麻酔・救急医学・眼視覚や社会医学・法医学などの講義や実習が始まります。これまで学んできた基礎医学を総合的にまとめる学習もしていきます。また症例演習では症例の診断や治療という解決方法を学んで実習などにも生かしていきます。そこは共用試験を突破するために不可欠な学びになります。5年次以降への準備になります。

医学英語Ⅳ・公衆衛生学・法医学・基礎総合・眼視覚・皮膚・形成再建・検査医学・精神医学・麻酔・救急医学・緩和ケア・東洋医学・公衆衛生学実習・法医学実習・医療倫理と福祉・臨床腫瘍学・症候学・総合診療・医事法制・遺伝子と医学・症例演習ⅠⅡⅢⅣⅤ・臨床基本実習などを学びます。

5年次

5年次はこれまでに修得した医学の知識と技術を整理と確認をしていくための臨床実習が始まります。ほぼ1年間獨協医科大学病院ですべての診療科を経験します。診療参加型実習という医療チームに入って医師などとも共に行動をしていきます。医師の指導や監督の下で診断や治療計画の策定や診療録の記載さらに医療スタッフへの情報伝達などを現場体験します。

内科学(心臓血管・循環器・消化器・血液腫瘍・腎臓血圧・神経・内分泌代謝・呼吸器アレルギー・リウマチ膠原病)・精神神経医学・皮膚科学・放射線医学・感染制御臨床検査医学・小児科学・第一第二外科学・心臓血管外科学・呼吸器外科学・脳神経外科学・整形外科学・泌尿器科学・眼科学・耳鼻咽喉頭頚部外科学・産婦人科学・形成外科学・麻酔科学・救急医学・口腔外科学・リハビリテーション医学・病理診断学・総合診断医学・地域保健実習などを学びます。

6年次

6年次では個々のステップアップを目指していきます。まず8週間の臨床実習を行います。ここでは将来希望する診療科で学ぶことになります。さらに今まで学んできた講義・実習・演習の集大成として基礎医学・社会医学・臨床医学の集中講義を行っていきます。また2月の医師国家試験対策もしっかりと行っていきます。

臨床実習・循環器系疾患・消化器系疾患・血液造血器疾患・アレルギー膠原病疾患・精神神経系疾患・総合医療・内分泌代謝疾患・運動器疾患・皮膚頭頚部疾患・救急医学・腎泌尿器疾患・感染症感染制御・産婦人科疾患・発達成長疾患・公衆衛生・総合画像診断などを学びます。

出典:獨協医科大学HP

研修制度

獨協医科大学医学部の卒後臨床研修は基本的な診療能力が身に付く独自のプログラムで学んでいきます。医師国家試験に合格した方はまず2年間の初期臨床研修を行います。獨協医科大学病院と獨協医科大学さいたま医療センターが厚生労働省の定める基幹型の臨床研修病院に指定されています。多くの卒業生が臨床研修に励んでいます。

大学病院や埼玉医療センターとも臨床研修制度で必須となっている内科研修6か月・地域医療研修1か月・救急科研修3か月・その他研修14か月を含めて初期研修プログラムを構成していきます。それぞれ異なったプログラムになっているのが特徴です。両病院とも豊富な症例と経験豊かな指導指揮のもとで即戦力として立派な医師を育成していきます。

また初期臨床研修修了後は各種の専門分野を学んでいくために専門研修に同行していきます。獨協医科大学病院・獨協医科大学さいたま医療センター・獨協医科大学日光医療センターで専門研修プログラムを準備しています。希望者は専攻医としてさらに専門分野を学んで各種専門医の資格を得ることができます。

出典:獨協医科大学HP

部活動

独協医科大学医学部の部活動を紹介します。体育会と文化会そして愛好会に分かれます。忙しい中でも学業と部活動を両立する学生も少なくありません。部活動は人間関係や社会人になった後の忍耐などを学ぶ上でとても重要です。

体育会はアメリカンフットボール部・アイスホッケー部・空手部・水泳部・スキー部・ソフトテニス部・剣道部・バスケットボール部・硬式テニス部・バレーボール部・硬式野球部・バドミントン部・ゴルフ部・ラグビー部・サッカー部・陸上競技部・準硬式野球部・柔道部・卓球部などがあります。

文化会は合唱部・管弦楽部・軽音楽部・ME部・ESS・美術部・写真部・茶道部・保健ボランティア・書道部・テーブルゲーム部・ストリートダンス部などがあります。

また愛好会として東洋医学研究会・スノーボード愛好会・クイズ研究愛好会・合気道愛好会・フットサル愛好会・診断戦略部愛好会・獨協国際医療協会などがあります。

出典:獨協医科大学HP

連携病院

独協医科大学医学部の提携病院を紹介します。大半が栃木県内の病院・医院と提携しています。

医療法人報徳会宇都宮病院(宇都宮市陽南)
医療法人中山会宇都宮記念病院(宇都宮市大通り)
独立行政法人国立病院機構宇都宮病院(宇都宮市下岡本町)
医療法人社団松籟会宇都宮西ヶ丘病院(宇都宮市長岡町)
大和田内科胃腸科(宇都宮市雀宮)
清原台整形外科(宇都宮市野高谷)
くろさきこどもクリニック(宇都宮市駒生町)
医療法人英心会倉持病院(宇都宮市屋板町)
玉川耳鼻咽喉科医院(宇都宮市桜)
医療法人圭明会原眼科病院(宇都宮市西)
芳賀赤十字病院(真岡市台町)
医療法人松寿会松谷クリニック(益子町益子)
医療法人小金井中央病院(下野市小金井)
医療法人巨樹の会新上三川病院(上三川町上三川)
足利赤十字病院(足利市五十部町)
医療法人若林胃腸科医院(佐野市富岡町)
医療法人社団双愛会足尾双愛病院(日光市足尾町)
鹿沼脳神経外科(鹿沼市茂呂)
医療法人誠之会氏家病院(さくら市大字向河原)
社会医療法人博愛会菅間記念病院(那須塩原市大黒町)

出典:獨協医科大学病院HP

著名な卒業生

独協医科大学の主な卒業生を紹介します

今高城治氏(独協医科大学医学部と慶応大学文学部を卒業した異色の医師。独協医科大学病院勤務で脳神経外科を担当)
田中康雄氏(栃木県出身も道北の病院を歩いて現在はこころとそだちのクリニックむすびめを開院)
藤沼秀光氏(栃木県警察医で藤沼医院の院長も兼ねる。地元栃木の医療を40年以上もの長い期間で貢献をする)

出典:WIKI

※また柔道の日本代表の朝比奈沙羅さん(2017年世界無差別選手権制覇・2018年世界選手権金メダリスト、超進学校ともいえる渋谷教育学園渋谷高校卒)が将来の医師を目指してAO入試で合格しました。高校3年生の時に東海大の医学部・去年のAO入試と残念ながら不合格で今回3度目の正直で合格を勝ち取ったようです。

2020年度から大学に通いながら柔道の日本代表を目指します。なお柔道は東京五輪で引退予定でその後は医師の道を目指すようです。ラグビーの福岡堅樹さんも20年春に引退して医師を目指していきます。究極の文武両道といえます。朝比奈さんの今後の活躍に期待しましょう!

笠浪 真

1978年生まれ。京都府出身。藤沢市在住。大学卒業後、大手会計事務所・法律事務所等にて10年勤務。税務・法務・労務の知識とノウハウを習得して、平成23年に独立開業。
現在、総勢52人(令和3年10月1日現在)のスタッフを抱え、クライアント数は法人・個人を含め約300社。
息子が交通事故に遭遇した際に、医師のおかげで一命をとりとめたことをきっかけに、今度は自分が医療業界へ恩返ししたいという思いに至る。

医院開業・医院経営・スタッフ採用・医療法人化・税務調査・事業承継などこれまでの相談件数は2,000件を超える。その豊富な事例とノウハウを問題解決パターンごとに分類し、クライアントに提供するだけでなく、オウンドメディア『開業医の教科書®︎』にて一般にも公開する。

医院の売上を増やすだけでなく、節税、労務などあらゆる経営課題を解決する。全てをワンストップで一任できる安心感から、医師からの紹介が絶えない。病院で息子の命を助けてもらったからこそ「ひとつでも多くの医院を永続的に繁栄させること」を使命とし、開業医の院長の経営参謀として活動している。

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