北海道大学医学部の歴史・特徴・カリキュラムなどを紹介!開業医の方も多くいます
はじめに
北海道大学医学部では世界をリードする先進的な医学研究の推進と高い倫理観と豊かな人間性を有する医学研究者の養成を目指しています。また人類の健康と福祉への貢献を掲げています。医学・生命科学・社会医学などに関する高い倫理観と高度な専門的な知識・研究・教育・実践能力を備えた人材の育成を教育目標としています。
また最新の医学研究を学びたいという方には科学者の一人としての崇高な倫理観と新たな知識の創造と医療の抱えている問題を主体的に取り組んでいきます。社会の期待に貢献していくことが求められます。大学院で研究をしたい方も含めて多くの学生に来てほしいという想いがあります。
出典:北海道大学医学部HP
住所
北海道大学医学部の所在地は北海道札幌市北区北15条西7丁目にあります。札幌駅から1.5キロ程度なので徒歩20分程度です。南北線北12条駅・北18条駅からであれば徒歩10分程度です。市街地に近いので生活の便は大きな問題がなさそうです。
出典:北海道大学医学部HP
入学金・学費
北海道大学医科大学医学部の学費を紹介します。
1年次は入学金は282000円、授業料は535800円で合計が81万7800円
2年次から6年次は授業料が535800円×5年間=267万9000円
合計が81万7800円+267万9000円=349万6800円
6年間で350万円程度と他の学部と比較しても変わりません。4年間が6年間になるので授業料の2年分の107万円程度が追加されるだけです。この点国立大学医学部に入学したいという方が多いのも頷けます。
出典:医学部受験マニュアル
偏差値
67.5
65.0と67.5を行き来しているので、実質66・67くらいなのかなという気がします。北海道大学医学部は東北大学医学部・筑波大学医学部・千葉大学医学部あたりと同程度の難易度といえます。それでも難関であることに変わりありません。
出典:河合塾医進塾HP
倍率
2019年度前期日程が3.8倍(18年度は3.2倍)
北大医学部で4倍近いとなるとかなりの激戦になりそうです。特に国立大学医学部で容易に入学できるところはありません。しっかりとした勉強が必要なことは言うまでもありません。
出典:旺文社HP
医師国家試験合格率
2020年:全体95.0%(全国25位タイ)新卒100.0%(全国1位タイ)既卒60.0%(全国57位タイ)
2019年:全体88.0%(全国59位タイ)新卒96.2%(全国18位タイ)既卒45.0%(全国63位)
2018年:全体86.3%(全国72位)新卒89.5%(全国68位タイ)既卒60.0%(全国47位タイ)
2017年:全体85.0%(全国66位タイ)新卒88.3%(全国64位)既卒50.0%(全国45位タイ)
2016年:全体90.4%(全国51位タイ)新卒91.6%(全国66位タイ)既卒71.4%(全国28位タイ)
全体86・87%程度の合格率が続いています。
出典:医学部受験ラボHP
歴史
1919年4月:北海道帝国大学医学部に医学部を設置
1921年4月:医学部に附属病院を設置
1921年10月:医学部附属医院に産婆養成所を設置
1947年6月:医学部附属医院産婆養成所は医学部附属医院助産婦養成所と名称を変更
1947年10月:北海道帝国大学は北海道大学と名称を変更
1955年4月:大学院医学研究科を設置
1955年8月:医学研究科に生理・病理・社会医学・内科・外科系の各博士課程を設置
1979年4月:医学部附属癌研究施設に遺伝部門が増設
1993年10月:医学部附属病院新病棟が竣工
1998年4月:大学院医学研究科に生体機能学専攻(分子生化学講座、生体機能構造学講座、統合生理学講座、情報薬理学講座)及び脳科学専攻(神経機能学講座、神経病態学講座)を設置
1999年4月:大学院医学研究科に高次診断治療学専攻(病態情報学講座、循環病態学講座、外科治療学講座、機能回復医学講座、侵襲制御医学講座)及び社会医学専攻(予防医学講座、社会医療管理学講座)を設置
2000年4月:大学院医学研究科に病態制御学専攻(病態解析学講座、分子病態制御学講座、生殖・発達医学講座、感覚器病学講座)及び癌医学専攻(癌制御医学講座)を設置
2002年4月:大学院医学研究科に医科学専攻(修士課程)が設置
2004年1月:大学院医学研究科南研究棟を竣工
2004年4月:北海道大学が国立大学法人北海道大学に名称を変更
2006年4月:大学院医学研究科に連携研究センターフラテを設置
2007年4月:大学院医学研究科の生体機能学専攻、病態制御学専攻、高次診断治療学専攻、癌医学専攻、脳科学専攻及び社会医学専攻を統合
2005年から2009年:大学院医学研究科の研究棟を大幅に増築
2010年7月:医学部学友会館フラテが完成
2010年9月:大学院医学研究科に医学教育推進センターを設置
2014年4月:大学院医学研究科の医学専攻予防医学講座及び社会医療管理学講座を統合
2017年4月:大学院医学研究科が大学院医学研究院・医学院に名称を変更
出典:北海道大学医学部HP
特徴・教育目標
北海道大学医学部の特徴は世界をリードする先進的な医学研究を推進して高い倫理観と豊かな人間性を有する医学研究者と医療人を育てていくことで人類の健康と福祉に貢献していきます。
教育目標は次のようなところになります。
1:広範な医学知識・高い倫理観・豊かな人間性・国際的な視野を備えていくことで医学の進歩と医療の実践・発展に寄与していく医師や医学研究者を養成していく。
2:医師や医学研究者として生涯にわたって自ら学ぶ習慣と態度を身に着けていく。
3:科学的な思考と判断能力と探求心に基づく創造力を養っていく。
4:生涯にわたっての学びの習慣と態度を身に着けていく。
5:医師や医学研究者に要求される高い倫理観と豊かな人間性を培っていく。
6:国際交流の重要性を理解することそして必要な語学力と医学知識・教養を身に着ける。
7:医療においてのチームワークの重要性とその中での医師の役割を理解する。
就職率も高く医師を目指す環境がそろっている・サポートも充実で交通アクセスも良い・道内の病院への実績は豊富・方向性のできている方には最適・研究室配属もしっかりとできている・札幌駅から近く通学が楽・施設や設備がいい・冬が寒いので本州の方は注意などの学生の意見があります。
就職・研究・施設・アクセスとも良さそうでさすが北大という感じがします。医師になる明確な目的はできるだけ持っていて欲しいです。問題はやはり寒さですかね。
出典:北海道大学医学部HP
カリキュラム
北海道大学医学部のカリキュラムは医学教養コース・基礎医学コース・臨床医学コース・臨床実習コースの4つがあります。医学部の学習は一般的な視野の広い学習から専門性のある学習へと移行します。
医学教養コース
医学は自然科学の1分野です。医師には多様な価値観を持つ患者やその家族と向き合っていく幅広い人間性と豊かな人間愛が求められます。そこから医学は文系という考え方もあります。
入学後の1年は総合教育部に所属します。他の理科系学部の学生の方と多くの時間を過ごします。そこから幅広い視野と豊かな人間性を磨いて生涯医学生であるための大事な土台を作っていきます。
また医学とは関係なさそうな文系科目や医学以外の理系科目の履修が将来の医学研究や医療を学ぶための発想力や創造力を生み出します。広い視点の原動力となります。
基礎医学コース
病気は正常の変化形と捉えられています。病気の理解は正常の理解に支えられていきます。基礎医学コースは2年次の1学期から3年次の1学期までの1年半近くになります。解剖学・組織学・画像診断学・生理学などの人体の正常な構造と機能、生化学・薬理学などの遺伝子レベルからの理解、微生物学・免疫学・病理学・基礎応用腫瘍学などの正常から病気に至る基本的なプロセスを学んでいきます。さらに衛生学・公衆衛生学・法医学などの人間の健康と病気についても人間集団の相互作用・環境問題・社会制度・予防などの観点からアプローチをしていく社会医学系の科目も学んでいきます。
これらの科目はほぼ全科目が必須科目になりますので授業がかなり密密になります。
臨床医学コース
臨床医学コースでは様々な疾病について学んでいきます。疾病を多面的に把握して内科学・外科学・専門医学などの臨床医学の基本を学んでいきます。患者さんを感情のある人間として理解した上で病態・病状検査の所見・診断・治療の基本を身に着けていきます。ここは臨床実習のための重要な基礎になります。
また医学研究の入門となる医学研究演習を1か月間行います。研究室の配属となって実験の方法や考え方を学んでいくことで将来の基礎医学研究者や研究医になるための適正も判断します。コースの最後にパソコンでの知識や理解度を図るCBTと医療面接や態度さらには診察技能を図るOSCEの共用試験があります。ここに合格できないと臨床実習に進むことはできません。
臨床実習コース
臨床実習コースは北海道大学医学部附属病院で各診療科を回ることで病院という臨床の現場で患者さんと医療スタッフに接していきながらも各コースで学んできたことを具体的に実践的に身に着けていきます。この実習と並行して実習で認識をした課題と疑問点について臨床統合講義で振り返っていきます。そこで総合的な診療能力の基本を幅広く学んでいきます。社会医学実習も一緒に行います。
また5年次後期の半年間は大学病院や学外の医療機関で4週間にわたっての長期の診療参加型コア科の臨床実習を6セット行っていきます。引き続いて6年前期には1つの診療科や教室を4週間にわたって長期の診療参加型の選択科の臨床実習を3回行っていきます。
最後に全国共通の共用試験と医師国家試験をパスすると卒業・研修医としての途が始まります。
出典:北海道大学医学部HP
研修制度
北海道大学医学部の研修制度は大学病院と市中病院の特徴を生かした多様な研修が可能となります。北大病院と道内の50以上の市中病院との間に強力なネットワークを構築しています。
市中病院での病棟研修や外来研修を通して基礎力をしっかりと鍛えます。超音波センター・遺伝子治療・感染制御・臨床研究などの大学病院ならではの研修で仲間に差をつけます。
充実した個別指導で後期研修にスムーズに移行できます。研修医の参加型のセミナーで全国から集う仲間たちと切磋琢磨していくことを狙いにしています。
また市中病院との研修で基本疾病治療と初期救急を強化しています。大学病院の将来の専攻科を含めての専門研修とアカデミックな活動でキャリアの形成へのモチベーションを上げていきます。
市中病院の研修医も北大病院の診療科を短期間でローテーします。
北海道大学医学部附属病院では標準プログラムと実践産婦小児プログラムの2コースが基本になります。さらに国際的医療人育成プログラムと臨床研修プログラムの2種類があります。
出典:北海道大学病院臨床研修センターHP
部活動
北海道大学医学部の部活動を紹介します。体育系と文化系があります。忙しい合間を縫ってサークル活動に励む学生も少なくありません。
体育系は硬式テニス部・軟式テニス部・卓球部・バスケットボール部・サッカー部・バトミントン部・山岳部・アイスホッケー部・学友会スキー部・剣道部・漕艇部・水泳部・ハンドボール部・バレーボール部・ゴルフ部・弓道部・陸上競技部などがあります。
文化系は雑誌編集部・アンサンブル・東洋医学研究会・軽音楽部・国際医学生連盟などがあります。
出典:北海道大学医学部医学科学生団体HP
連携病院
北海道大学医学部の連携病院を紹介します。
市立札幌病院(北海道札幌市中央区北)
北海道医療センター(北海道札幌市西区山の手5条)
手稲渓仁会病院(北海道札幌市手稲区前田1条)
砂川市立病院(北海道砂川市西4条)
勤医協中央病院(北海道札幌市東区東苗穂)
札幌東徳洲会病院(北海道札幌市東区北33条東)
札幌徳洲会病院(北海道札幌市厚別区大谷地東)
製鉄記念室蘭病院(北海道室蘭市知利別町)
函館中央病院(北海道函館市本町)
出典:日本救急医学会・救急医を目指す方へ
著名な卒業生
北海道大学医学部出身の主な開業医の方を紹介します。
谷本普一氏(内科医・呼吸器科医・谷本内科クリニック名誉院長)
小笠原定雅氏(内科医・循環器科医・おがさわらクリニック内科・循環器科院長)
鈴木誠氏(内科医・腎不全代謝専門医・江戸川橋鈴木クリニック院長)
西岡隆文氏(内科医・循環器科医・消化器科医・西岡クリニック院長)
曽根正好氏(内科医・腎臓内科医・そねクリニック院長)
出典:病院検索ホスピタ
監修者
笠浪 真
税理士法人テラス 代表税理士
税理士・行政書士
MBA | 慶應義塾大学大学院 医療マネジメント専攻 修士号
1978年生まれ。京都府出身。藤沢市在住。大学卒業後、大手会計事務所・法律事務所等にて10年勤務。税務・法務・労務の知識とノウハウを習得して、平成23年に独立開業。
現在、総勢52人(令和3年10月1日現在)のスタッフを抱え、クライアント数は法人・個人を含め約300社。
息子が交通事故に遭遇した際に、医師のおかげで一命をとりとめたことをきっかけに、今度は自分が医療業界へ恩返ししたいという思いに至る。
医院開業・医院経営・スタッフ採用・医療法人化・税務調査・事業承継などこれまでの相談件数は2,000件を超える。その豊富な事例とノウハウを問題解決パターンごとに分類し、クライアントに提供するだけでなく、オウンドメディア『開業医の教科書®︎』にて一般にも公開する。
医院の売上を増やすだけでなく、節税、労務などあらゆる経営課題を解決する。全てをワンストップで一任できる安心感から、医師からの紹介が絶えない。病院で息子の命を助けてもらったからこそ「ひとつでも多くの医院を永続的に繁栄させること」を使命とし、開業医の院長の経営参謀として活動している。