患者さんと信頼関係を築いて満足度を上げる、7つの重要ポイント


医院経営において、高い医療技術を提供するだけでなく、患者さんとの信頼関係を築くことも重要です。
地域の患者さんが、「この先生なら安心だ」と信頼してくれることは、口コミ評価や再診率に直結します。
また、患者さんが安心して先生に詳しく話してくれるようになるので、適切な治療を提供しやすくなります。
そこで、本記事では、患者さんと信頼関係を築くことの重要性や、患者満足度を上げる重要ポイントをお伝えします。
患者さんとの信頼関係を築くことの重要性

患者さんとの信頼関係を築くことは、「ラポールを形成する」とも言い換えられます。
ラポールとは、医療従事者と患者さんが互いに信頼し合い、安心して感情の交流ができる理想的な関係性です。
先生やスタッフ、患者さんがお互いに信頼し合うことで、次のようなメリットがあります。
患者満足度が上がりLTVが高くなる
適切な治療や良好なコミュニケーションで患者さんとの信頼関係を築くことは、患者満足度に直結します。
その結果、口コミが広がったり、再診率が上がったりします。
LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)が高い状態になり、広告費をかけなくても医業収入が安定するようになります。
また、患者さんとの信頼関係が構築されていると、待ち時間が多少長いなど、不満が起きる事態でもなかなかクレームが起きません。
結果的に悪い口コミを防ぐことができ、良い評判だけが広がる好循環が生まれます。
さらにスタッフが働きやすくなるので、スタッフマネジメントの観点でも非常に有益です。
患者さんが必要な情報を話しやすくなり的確な治療を提供できる
患者さんが先生を信頼するようになると、問診で必要な情報を話しやすくなります。
生活習慣の乱れなど、患者さんが少し言いにくいことでも正確に引き出せるかどうかは、的確な治療を提供するための鍵となります。
これにより、隠れた疾患の早期発見につながることがありますし、適切な処置を促すことができます。
患者さんが主体的に治療を受けるようになる
患者さんと医療従事者が互いに信頼関係を築けていると、アドヒアランスを高めることができます。
アドヒアランスとは、患者さんが積極的に治療方針の決定に参加し、実行することを指します。
信頼する医師からの説明であれば、患者さんは生活習慣の改善や継続的な服薬に主体的に取り組むようになるでしょう。
そのため、患者さんが自己判断で治療を中断し、来院しなくなる事態を防ぐことができます。
アドヒアランスの向上によって、適切な治療を提供することができるほか、治療からの離脱を防ぐことができます。
患者さんと信頼関係を築いて満足度を上げる7つの重要ポイント

医療従事者が患者さんと信頼関係を築くことは、「LTVの向上」「治療の質の向上」といった医院経営上の大きなメリットがあります。
そこで、患者さんとの信頼関係を築く7つの重要ポイントをいくつかお伝えします。
傾聴して患者さんのことを積極的に理解しようとする
接遇力を高めるうえで大切なことは、アクティブリスニングと言われる傾聴姿勢です。
アクティブリスニングとは、ひたすら話を聞き続けるのではなく、相手の本質的な事柄や感情を積極的に理解する姿勢です。
医療現場においては、電子カルテの画面を見るだけでなく、患者さんの目線に合わせて、うなずきや相槌を打つことが大切です。
後述するように、「そうなんですね」「お辛かったですね」など共感の言葉を挟むことで、患者さんも「話を聞いてくれている」と感じるでしょう。
患者さんが話した内容は、ご自身でも要約して繰り返すことで、お互いの理解が一致しているか確認しましょう。
患者さんは安心しますし、認識の齟齬がなくなることで適切な治療を提供できるようになります。
傾聴力については、次の記事も参考にしてください。
「大丈夫ですよ」より「それは辛いですね」と共感を示す
患者さんの話を傾聴しながら、共感の姿勢を示すようにしましょう。
患者さんが不安や痛みを訴えた際、励ますつもりで「心配ないですよ」「大丈夫ですよ」とすぐに伝えてしまうことがあります。
ただ、このような伝え方は、患者さんにとっては安易な否定に捉えられることがあり、あまり繰り返すと不信感につながるかもしれません。
まずは「それは辛いですね」「不安になるのも無理はありません」と、患者さんの気持ちに寄り添うことが重要です。
感情を否定せずに共感するプロセスを経ることで、患者さんは「自分の症状を理解してくれた」と安心します。
その後の「だから大丈夫ですよ」という医学的な説明がより深く心に届くようになります。
患者さんの動作や会話のテンポに合わせる
動作や会話のテンポを患者さんに合わせるよう意識するのも効果的です。
これは、心理学の分野でペーシングと呼ばれるコミュニケーション技術です。
人は、自分と似たテンポやトーンで話す相手に対して無意識に安心感を抱き、信頼関係を築きやすくなります。
・焦って早口になっている患者さんには、少しテンポを合わせてから徐々に落ち着いたトーンで話す
・高齢でゆっくり話す患者さんには、声のトーンを落としてゆったりと話す
このように相手に波長を合わせるだけで、コミュニケーションは格段に円滑になります。
患者さんが理解できる言葉で丁寧に説明する
誤解を招かない範囲で、という前提はありますが、患者さんが理解できる言葉で丁寧に説明するのも信頼関係構築では不可欠です。
医療従事者にとって当たり前の専門用語でも、患者さんにとっては難解に聞こえる場合があります。
専門用語はなるべく使わず、患者さんが理解できる言葉に置き換えて検査結果や治療方針などを説明しましょう。
必要に応じて図解や模型を用いたり、身近な例え話を交えたりすることも、理解度と信頼感を高める有効な手段です。
質問を促して患者さんの疑問や不安を解消する
検査結果や治療方針などを説明する際は、患者さんが気兼ねなく質問できる雰囲気を作りましょう。
一方的な説明では、患者さんは腑に落ちないまま「そうですか……」となり、治療に前向きになれないかもしれません。
また、「何か質問はありますか?」と聞くだけでなく「他に気になることはありますか?」「言い忘れたことはありませんか?」という問いかけも効果的です。
言葉がけを変えることで、患者さんの潜在的な疑問を引き出しやすくなります。
些細な疑問を残さないよう配慮し、次回の来院へつなげましょう。
継続して来院が必要な場合は治療目標を共有する
1~2回で終わらず、患者さんの継続的な来院が必要になる場合は、治療目標やゴールを共有することで途中離脱しにくくなります。
単に「血圧を下げましょう」「運動しましょう」と指示するだけでは、患者さんはなかなか行動に移しにくいものです。
できれば、「また好きな場所に旅行に行けるようにしたい」など患者さん個人の願望や目的も聞いてみましょう。
患者さんの願望と治療方針をリンクさせることで、通院のモチベーションを維持できるようになります。
診察後は患者さんとのやり取りを振り返る
患者さんとの信頼関係を深めるには、日々のコミュニケーションを振り返ることも大切です。
「あの患者さんは、なぜ最後少し表情が曇ったのだろうか」
「今日の説明は少し専門的すぎたかもしれない」
「あの患者さんがどうだったか、スタッフにも聞いてみよう」
など、自分自身のコミュニケーションを客観的に評価することで、次回の改善点が見えてくることがあります。
もちろん、自分1人で評価しても、それが正しいとは限りません。
スタッフと「今日の患者さん対応はどうだったか」とフィードバックし合うのもおすすめです。
【まとめ】患者さんとの信頼関係で強固な医院経営の基盤を築く
患者さんと信頼関係を築いて患者満足度を上げるための重要ポイントをお伝えしました。
患者さんとの信頼関係は、一朝一夕に築けるものではありません。
しかし、日々の診療でこれらの重要ポイントを少しずつ意識することで、患者満足度は向上し、治療の質も上がります。
医業収入や来院患者数といった経営数字の面はもちろん大切ですが、その数字を生み出す源泉は患者さんからの信頼に他なりません。
なお、信頼関係構築で重要な要素の1つとなる患者さんとのコミュニケーションについては、以下の記事で詳しく解説しています。
こちらも、併せてご覧ください。


監修者
笠浪 真
税理士法人テラス 代表税理士
税理士・行政書士
MBA | 慶應義塾大学大学院 医療マネジメント専攻 修士号
1978年生まれ。京都府出身。藤沢市在住。大学卒業後、大手会計事務所・法律事務所等にて10年勤務。税務・法務・労務の知識とノウハウを習得して、平成23年に独立開業。
現在、総勢52人(令和3年10月1日現在)のスタッフを抱え、クライアント数は法人・個人を含め約300社。
息子が交通事故に遭遇した際に、医師のおかげで一命をとりとめたことをきっかけに、今度は自分が医療業界へ恩返ししたいという思いに至る。
医院開業・医院経営・スタッフ採用・医療法人化・税務調査・事業承継などこれまでの相談件数は2,000件を超える。その豊富な事例とノウハウを問題解決パターンごとに分類し、クライアントに提供するだけでなく、オウンドメディア『開業医の教科書®︎』にて一般にも公開する。
医院の売上を増やすだけでなく、節税、労務などあらゆる経営課題を解決する。全てをワンストップで一任できる安心感から、医師からの紹介が絶えない。病院で息子の命を助けてもらったからこそ「ひとつでも多くの医院を永続的に繁栄させること」を使命とし、開業医の院長の経営参謀として活動している。


