患者さんとのコミュニケーションで満足度を上げる5つのコツ|対応が難しい場合の対処法も解説


医療機関において、患者さんとのコミュニケーションは、治療の質や患者満足度に直結する重要な要素です。
2020年の厚生労働省「受療行動調査」では、患者さんが医療機関を選ぶ理由として、「医師や看護師が親切」という項目が上位になっています。
医療機関において、患者さんとのコミュニケーションは、治療の質や患者満足度に直結する重要な要素です。
2020年の厚生労働省「受療行動調査」では、患者さんが医療機関を選ぶ理由として、「医師や看護師が親切」という項目が上位になっています。

「医師による紹介」「交通の便がいい」「専門性が高い」などだけでなく、患者さんとのコミュニケーションも患者満足度に影響することがわかります。
また、患者さんとの適切なコミュニケーションは、疾患に対する不安や恐怖を取り除き、必要な治療を前向きに受けるうえでも大切です。
本記事では、患者さんとのコミュニケーションを円滑にし、満足度を向上させるコツや、対応が難しい状況の対処法についてお伝えします。
患者さんとの円滑なコミュニケーションで患者満足度を上げる5つのコツ

患者さんと円滑なコミュニケーションを取り、患者満足度を上げるには、次の点を意識することが大切です。
いずれも難しいことではありませんが、そもそも医療機関の雰囲気が良いことが前提となります。
職場の雰囲気がギスギスしていて、「笑顔で接する」「傾聴する」「共感する」という姿勢を保つのは難しいでしょう。
そのため、スタッフ全員がこれらのコミュニケーションに課題を抱えている場合は、職場の雰囲気を見直す必要があるかもしれません。
傾聴力を身に付けて患者さんの話を聞く
どんな疾患であっても、患者さんの多くは、「自分の症状や辛さをわかってほしい」という思いを抱えて来院しています。
まずは、途中で話を遮らずに最後まで耳を傾ける傾聴力が欠かせません。
「それは辛かったですね」「いつ頃から痛むのですか?」と促すことで、患者さんは「しっかり診てくれている」という安心感を抱きます。
少し前のめりになる姿勢や、うなずきと相槌、オウム返しなどを意識すると、傾聴力を高めることができます。
詳細は、以下の記事をご覧ください。
患者さんに共感する姿勢を示す
医師や看護師にとっては日常的な症状でも、患者さんにとっては苦痛であり、大きな不安の種でもあります。
一方的な診療にならないよう、まずは患者さんの気持ちに共感する姿勢を示すようにしましょう。
共感の姿勢を示す対話の一例としては、次のようなものがあります。
「熱が続いて不安でしたね」
「痛みがひどくて夜も眠れなかったのですね、辛かったでしょう」
「こんなに痛いと仕事ができなくて大変ですね」
「この状況で、よく頑張りましたね」
傾聴だけでなく、このような共感の一言を挟むことで、患者さんは詳しく症状を伝えやすくなります。
また、その後の治療方針も素直に受け入れてもらいやすくなるので、スムーズな診療につながります。
なるべく笑顔で接するなど表情や態度を意識する
患者さんとのコミュニケーションは、言葉そのもの(言語コミュニケーション)だけではありません。
表情や態度、声のトーンといった「非言語コミュニケーション」も重要です。
どんなに正しい医学的説明をしても、傾聴しても、無表情で笑顔が一切なければ患者さんにいい印象は与えません。
非言語コミュニケーションの一例には、次のようなものがあります。
・患者さんと目線を合わせて会話する
・「はい」「ええ」などのうなずきや相槌を適度に挟む
・口角を少し上げ、安心感を与える笑顔を心がける
言語と非言語の両方を効果的に活用することで、患者さんの緊張は大きくやわらぎます。
個人的な感情を挟まずに客観的な視点で話す
患者さんの話に共感することは大切ですが、一方で個人的な感情を挟まずに客観的な視点で話すことも大切です。
例えば、インターネットやSNSなどの誤った医療情報を信じ込んでいるような患者さんがいるとします。
この場合も、患者さんの言っていることを感情的に否定せず、淡々と説明するようにしましょう。
「SNSには様々な情報もありますね。私もチェックしていますが、たしかに〇〇な方にはリスクがあり、治療はできません。ただ、△△さんにはあてはまらないので、少なくとも当院の設備では、この治療が最適かと思います」
このように、根拠のある事実を落ち着いたトーンで伝えることで、患者さんに適切な治療を促すことができます。
患者さんを落胆させない言葉を使う
患者さんを励ますつもりの言葉が、逆に落胆させたり、怒りを買ったりしないようにしましょう。
例えば、糖尿病や肥満などで食事療法を頑張っている患者さんに対して「もっと頑張りましょう!」と促すことは考えものです。
患者さんは、「こんなにやっているのに、まだ足りないのか」と落胆してしまう可能性があります。
患者さんにもよりますが、「十分に頑張っていますね」「この調子で続けていきましょう」と、現状の努力を受容する声かけを意識しましょう。
「〜しなければならない」という指示的な言葉よりも、患者さんのペースに寄り添う言葉選びが、治療継続のモチベーション維持に繋がります。
【状況別】コミュニケーションが難しい患者さんへの5つの対応方法

なかには、患者さんとのスムーズなコミュニケーションが難しいケースもあります。
状況別にコミュニケーションが難しい患者さんへの具体的な対応方法をお伝えします。
上記の円滑なコミュニケーションのコツをベースとしながら、次の点を意識しましょう。
認知症の症状がある高齢の患者さん
認知症の症状がある高齢の患者さんは、強い不安や混乱があるとコミュニケーションが難しいことがあります。
一方的な否定や説得をしたり、急かしたりすると、かえって不安や混乱を招くことになりかねません。
対話が少し難しい場合は、真正面から同じ目線でアイコンタクトを取り、ゆったりとした動作をするなど、非言語コミュニケーションを意識します。
そのうえで、穏やかなトーンで「〇〇さん、こんにちは。今日は胸の音を聞きますね」と肯定的な言葉で話しかけましょう。
重大な病気が疑われる検査などで不安や恐怖の強い患者さん
重大な疾患が疑われる段階の精密検査などでは、患者さんの不安や恐怖が強い状態にあります。
安易な励ましは逆効果になることがあり、患者さんの具体的な不安要素を紐解くコミュニケーションが重要になります。
例えば「大丈夫ですよ」「心配しないでください」といった根拠のない励ましは、かえって患者さんに「気持ちを分かってもらえない」と不信感を与えかねません。
「結果が出るまで不安ですよね」「一番気がかりなのはどんなことですか?」と問いかけ、患者さんの恐怖心に寄り添うようにしましょう。
意思疎通が困難な患者さん
聴覚障害や発話障害がある患者さん、日本語が話せない外国人患者さんなど、言語による意思疎通が難しいケースがあります。
意思疎通が困難な理由によって対応方法は変わりますが、例えば聴覚障害であれば、大きめの文字で筆談をしたり、イラストを使ったりします。
外国人患者さんの場合は、スマートフォンの医療用翻訳アプリや、厚生労働省が公開している医療機関向けの多言語説明資料があります。
また、全般的に「はい」「いいえ」の二者択一で答えられる質問をするのもいいでしょう。
視線を合わせ、ゆっくりと大きくうなずくなどの非言語コミュニケーションも使うことで、患者さんの不安をやわらげることができます。
治療や検査を拒否する患者さん
明らかに必要な治療や検査であっても、患者さんが頑なに拒否することがあります。
この際、頭ごなしに説得しようとしても、かえって態度を硬化させたり、怒りを買ったりすることになりかねません。
まずは「なぜ治療や検査を受けたくないのか」という背景にある理由を聞き出します。
・痛くないか不安
・費用が心配
・仕事を休めない
このような理由が見えてきたら、丁寧に説明しましょう。
そのうえで、SDM(Shared Decision Making:共同意思決定)のプロセスで、患者さん自身が納得した治療や検査方法を選択できるようにサポートします。
怒りや不満のある患者さん
待ち時間が長い、スタッフの対応に問題があるなどの理由で、怒りや不満を露わにする患者さんへのクレーム対応が必要なことがあります。
正当なクレームであれば、患者さんの言い分を最後まで聞き、「不快な思いをされたのですね。申し訳ありません」と共感を示したうえで謝罪します。
そのうえで、「あと〇分ほどお待ちください」など、具体的な対応策を示しましょう。
ただ、正当なクレームとはいえず、ペイハラに相当する理不尽で過度な要求をしてくる場合は、毅然とした対応も必要です。
ペイハラ対応の詳細は、以下の記事をご覧ください。
【まとめ】患者さんとの良好なコミュニケーションが患者満足度を上げる
患者さんとのコミュニケーションは、単なる情報伝達ではありません。
傾聴し、共感し、言語・非言語の両面から寄り添うことで、患者さんは「この先生なら信頼できる」と感じます。
患者満足度が上がるのはもちろん、患者さんが話しやすくなるので、詳細な症状を把握しやすくなり、適切な治療にもつながります。
患者満足度を向上させるコツについては、以下の記事もご覧ください。
最後までご覧いただきありがとうございました。




監修者
笠浪 真
税理士法人テラス 代表税理士
税理士・行政書士
MBA | 慶應義塾大学大学院 医療マネジメント専攻 修士号
1978年生まれ。京都府出身。藤沢市在住。大学卒業後、大手会計事務所・法律事務所等にて10年勤務。税務・法務・労務の知識とノウハウを習得して、平成23年に独立開業。
現在、総勢52人(令和3年10月1日現在)のスタッフを抱え、クライアント数は法人・個人を含め約300社。
息子が交通事故に遭遇した際に、医師のおかげで一命をとりとめたことをきっかけに、今度は自分が医療業界へ恩返ししたいという思いに至る。
医院開業・医院経営・スタッフ採用・医療法人化・税務調査・事業承継などこれまでの相談件数は2,000件を超える。その豊富な事例とノウハウを問題解決パターンごとに分類し、クライアントに提供するだけでなく、オウンドメディア『開業医の教科書®︎』にて一般にも公開する。
医院の売上を増やすだけでなく、節税、労務などあらゆる経営課題を解決する。全てをワンストップで一任できる安心感から、医師からの紹介が絶えない。病院で息子の命を助けてもらったからこそ「ひとつでも多くの医院を永続的に繁栄させること」を使命とし、開業医の院長の経営参謀として活動している。


