クリニックのスタッフルームは必要?スタッフが快適に過ごすための6つの設計ポイント


新規開業するクリニックの内装を考える際、優先的に考えるのは診療スペースや待合室などの患者さんのスペースです。
たしかに、限られたスペースのなか、動線を考慮して受付や待合室、診療室、検査室などのスペースを十分に設けることは欠かせません。
しかし、スタッフが快適に休憩できるスタッフルームの設置も意外と重要です。
スタッフルームを設置するかどうかで、場合によっては人間関係や定着率に影響することもあります。
一方で、最近は休憩時間が短いクリニックも増え、スタッフの休憩の仕方も多様化しているため、以前ほど必須とは言えない傾向もあります。
そこで今回はスタッフルームのメリット・デメリットや設置する際の重要ポイントをお伝えします。
クリニックでスタッフルームを設置するメリット・デメリット

スタッフルームは、決して単なる余ったスペースではなく、スタッフのモチベーション向上やストレス緩和を促す大切な空間です。
一方で、ビルテナントなど狭い物件ではスペースがどうしても限られることも事実です。
そこで、まずはスタッフルームを設置するメリット・デメリットについて整理します。
スタッフルームを設置するメリット
クリニックのスタッフルームを充実させることは、スタッフの働きやすさにポジティブな効果をもたらします。
具体的には、スタッフルームのメリットは次の通りです。
・クリニックの長い休憩時間を快適に過ごし、ストレスを緩和できる
・スタッフ同士がリラックスして会話できる
・活用の仕方次第で人間関係が良好になる
・スタッフルームがあった方が採用時に有利になりやすい
・将来的に増設する予定のスペースを有効活用できる
クリニックは昼休憩が2~3時間と長いケースが多く、休憩時間をどう過ごすかがスタッフのストレス緩和に直結します。
しっかりとしたスタッフルームがあれば、心身ともにリフレッシュでき、スタッフ同士の良好なコミュニケーションの場にもなります。
快適なスタッフルーム作りの工夫をすることで、人間関係が良好になったり、離職率の低減につながったりすることもあります。
また、スタッフルームを設置することで働きやすい職場という評判が広まり、スタッフ採用にプラスに働くこともあります。
以下の記事でも、スタッフルームのメリットについて詳しく解説しています。
スタッフルームを設置するデメリット
一方で、スタッフルームを設けることで、どうしても物理的な制約が出てきます。
また、必ずしもスタッフルームが働きやすさに直結しない点も注意が必要です。
スタッフルームを設置するデメリットは、主に次の通りです。
・待合室や診療スペースが狭くなる
・ミニマム開業(※)のような狭い物件での開業ではスタッフルームが設置しづらい
・場合によってはスタッフの派閥ができて居心地が悪くなることもある
・休憩時間が短いクリニックはスタッフルームが活用されにくい
※「ミニマム開業」については、以下の記事をご参照ください。
限られたテナント面積の中でスタッフルームを確保すれば、診療スペースや待合室が狭くなります。
都市部のコンパクトな物件では、物理的にスタッフルームの設置が困難なケースもあるでしょう。
特にスタッフ数や昼休憩の時間次第では、スタッフルームの要否をよく検討する必要があります。
また、空間が閉鎖的になることで、スタッフ間で派閥ができるなど、かえって人間関係におけるトラブルの温床になるリスクもあります。
職場の雰囲気がギスギスしていると、スタッフルームがかえって居心地が悪い空間になることには注意しなければいけません。
さらに、スタッフルームを設置する場合は、後述するようにスタッフがリラックスできるように必要なものを揃えておくことが大切です。
スタッフが快適に過ごせない空間では、スタッフルームはかえって逆効果になります。
理想的なスタッフルームを設置する際の6つの重要ポイント

クリニックにスタッフルームを設けるのであれば、次のポイントを押さえることでスタッフ満足度を高めることができます。
なかには、多額のコストをかけずに工夫できるポイントもあるので、参考にしてください。
理想的な広さの目安は20~25㎡程度
クリニックのスタッフルームは、更衣スペース(ロッカー)を含めると、スタッフ5名程度の場合は20~25㎡程度は確保したいところです。
ただ、あくまで目安であり、物件やスタッフ数、設置するイスや机などによって最適なスペースは変わってきます。
十分にスペースを確保したつもりでも、意外と手狭に感じることがあるので慎重な検討が必要です。
スタッフがリラックスできるために必要なものを揃える
スタッフルームをリラックス空間として充実させるには、必要なものを揃えることも大切です。
具体的には、必要に応じて次のものを用意するといいでしょう。
| 必要なもの | 特記事項 | |
| ほぼ必須のもの | 机とイス | 快適に食事と休憩をとるため |
| 可能であれば設置するもの | 観葉植物 | 視覚的なリラックス効果を生む |
| キッチンスペース | 電子レンジや冷蔵庫、コーヒーサーバー、流し台など | |
| アメニティ | スタッフが快適に過ごすため | |
| 余裕があれば設置するもの | スタッフ専用トイレ | スタッフ数が多い場合や、スペースに余裕がある場合に検討する |
特に机とイス、観葉植物、アメニティなどは、内装設計に影響がなく、コストをかけずに用意できるので、ぜひ導入を考えたいアイテムです。
なかには、イスではなくソファーを設置したり、スタッフ用のドリンクバーなどを用意したりしているケースもあります。
患者さん用のスペースとは距離を取るか遮音性を高くする
スタッフルームにいるスタッフの話し声が、患者さんに聞こえることがないように注意しましょう。
スタッフの話し声や笑い声が、待合室や診察室にいる患者さんに聞こえてしまうと、あまり印象が良くありません。
また、患者さんに声が漏れて聞こえてしまうのは、スタッフにとっても居心地のいいものではなくなります。
患者さん用のスペースとは動線を完全に分けるのはもちろん、しっかりと距離を取るか、遮音性の高い設計にしましょう。
休憩スペースと更衣スペース(ロッカー)を分ける
限られた面積であっても、休憩して食事をとるスペースと、着替えをする更衣スペース(ロッカー)は可能な限り分けるように内装設計します。
両者を分けないと、他スタッフが休憩しているところで着替えることになり、抵抗を感じてしまうからです。
もし、休憩スペースと更衣スペースを分けることが難しいようであれば、パーテーションで区切るだけでも安心感が高まります。
スタッフのプライバシー確保に気を配ったスタッフルームにすることが大切です。
院長室と距離をとる
スタッフルームと院長室は極力距離を取ることが望ましいです。
院長室が近いと、スタッフは緊張感を覚えるので、思うようにリラックスができません。
スタッフルームと院長室が隣同士というのは、「院長先生に話が聞こえるかも」という不安を与えるため、できるだけ避けましょう。
なるべく採光できるスペースに作る

可能であれば、窓があり、自然光が入る場所にスタッフルームを配置しましょう。
暗くて殺風景な空間よりは日当たりが良い方が、スタッフの気持ちが明るくなりますし、換気ができることで感染症対策にもなります。
ただし、更衣スペースには窓を設置する必要はありません。
そのため、窓のあるところを休憩スペースにして、窓がない場所にパーテーションで区切って更衣スペースにするのも1つの手です。
どうしても窓のない部屋になる場合は、次のように閉塞感を和らげる工夫をすることがおすすめです。
・照明を温かみのある電球色にする
・空気清浄機やアロマディフューザーを設置する
実際、自然光が入るようにしたり、照明を工夫したりすることで、職場の雰囲気が変わるケースもあります。
患者さんが増えて手狭になったらスタッフルームをどうするか?

クリニック開業後、患者さんが増えて経営が軌道に乗ってきた場合、診療スペースを増設してスタッフルームをなくすケースもあります。
もちろん、スタッフの働きやすさに直結するスタッフルームは残した方がいいこともありますが、引き払うことも検討の余地があります。
近年、スタッフの昼休みの過ごし方が変化してきており、必ずしもスタッフルームが求められているとは限りません。
なかには、診察室のチェアサイドや待合室の一部を活用している例もあります。
特に休憩時間が短めのクリニックは、スタッフルームで長く過ごすことができないので要否を慎重に検討した方がいいでしょう。
また、診療スペースなどの増設でスタッフルームを引き払い、近隣のワンルームマンションの一室を借りるケースもあります。
この場合、クリニックからの移動時間を考慮して、実質的な休憩時間がなくならないか注意が必要です。
スタッフからは「全然休憩できない」と不満の声が上がる恐れがありますし、利用時間が短いと家賃を払ってまで別室を用意する意味がなくなります。
特に昼休憩が短いクリニックの場合は、別室の用意は慎重に検討するようにしましょう。
【まとめ】スタッフが快適に過ごせるスタッフルームを用意する

クリニックのスタッフルームについてお伝えしました。
診察室や待合室だけでなく、スタッフの働きやすさという観点ではスタッフルームも重要です。
スタッフ数や休憩時間によっては要否が変わりますが、スタッフルームは意外と求人採用や定着率に影響します。
ただ、どうしてもスペースが限られることもあるので、物理的な制約のなかでいかにスタッフが快適に過ごせるかをよく検討しておく必要があります。
クリニックの内装設計時は、スタッフルームについても忘れずに慎重に検討するようにしましょう。
税理士法人テラス、テラスグループでは、経験豊富な税理士、社労士、行政書士、ファイナンシャルプランナー、事業用物件の専門家などが結集してワンストップで医院開業支援を行っています。
医院開業準備における税務・労務・法務業務のすべてをワンストップで進めることができますので、ぜひご相談ください。




監修者
笠浪 真
税理士法人テラス 代表税理士
税理士・行政書士
MBA | 慶應義塾大学大学院 医療マネジメント専攻 修士号
1978年生まれ。京都府出身。藤沢市在住。大学卒業後、大手会計事務所・法律事務所等にて10年勤務。税務・法務・労務の知識とノウハウを習得して、平成23年に独立開業。
現在、総勢52人(令和3年10月1日現在)のスタッフを抱え、クライアント数は法人・個人を含め約300社。
息子が交通事故に遭遇した際に、医師のおかげで一命をとりとめたことをきっかけに、今度は自分が医療業界へ恩返ししたいという思いに至る。
医院開業・医院経営・スタッフ採用・医療法人化・税務調査・事業承継などこれまでの相談件数は2,000件を超える。その豊富な事例とノウハウを問題解決パターンごとに分類し、クライアントに提供するだけでなく、オウンドメディア『開業医の教科書®︎』にて一般にも公開する。
医院の売上を増やすだけでなく、節税、労務などあらゆる経営課題を解決する。全てをワンストップで一任できる安心感から、医師からの紹介が絶えない。病院で息子の命を助けてもらったからこそ「ひとつでも多くの医院を永続的に繁栄させること」を使命とし、開業医の院長の経営参謀として活動している。


