クリニックの外観デザインで失敗しない11の重要ポイント


クリニックの新規開業や移転、分院展開を検討されている先生方にとって、重要な検討事項の1つがクリニックの外観です。
外観は単に高額な費用をかければ良いというものではありません。
一方で、診療科目やコンセプトにもよりますが、外観デザインが集患や患者満足度に与える影響は大きなものがあります。
もちろん、外観の設計については、基本的に設計業者を正しく選んで依頼することが前提になります。
しかし、先生ご自身がどのようなクリニックを作りたいか、失敗しないポイントは何かを把握して設計業者に要望を伝えることが大切です。
そこで、今回はクリニックの外観デザインで失敗しないポイントをお伝えします。
クリニックの外観の集患や患者満足度への影響

クリニックの外観デザインは、少なからず集患や患者満足度に影響します。
集患への影響
まずは、クリニックの外観の集患への影響についてお伝えします。
行動経済学には、ハロー効果というある対象の目立った特徴が、その対象全体の評価に影響を与えるという心理効果があります。
さらに、外観には第一印象がその後の評価に強く影響し続ける初頭効果(プライマシー効果)も働きます。
特に競合クリニックが近くにある場合、患者さんは外観を判断材料にする可能性があります。
インターネット検索経由での来院が増えている時代とはいえ、外観は慎重に検討する必要があります。
患者さんはクリニックの外観を見て、次のような情報を読み取ります。
| 清潔感・安心感 | 安心して受診できるか? |
| 診療内容のイメージ | 自分の症状を診てくれそうか? |
| 入りやすさ | 敷居が高くないか? 動線は適切か? |
特に、通りがかりの認知(ロードサイドや駅前の視認性)から来院に繋がるケースでは、外観の印象がクリニックの信頼性に直結することもあります。
また、外観は目立てばいいわけではなく、精神科や心療内科など診療科目によっては目立たない立地・外観の方がいいこともあります。
診療科目やコンセプト、立地条件に合った外観デザインにする必要があります。
患者満足度向上への影響
外観が患者満足度に影響することもあります。
具体的には、駐車場から入口まで矢印などでスムーズに誘導されているか、入口から受付までの動線がわかりやすいか、といった点です。
患者さんの属性によっては、バリアフリー設計を意識することも大切になります。
診療や接遇には直接関係ないですが、スムーズに来院できるかどうかも、ある程度患者満足度に影響します。
患者さんの立場に立って、スムーズに来院できるようにしておくことが大切です。
クリニックの外観デザインで失敗しない11の重要ポイント

上記のことを踏まえて、クリニックの外観デザインで失敗しないためのポイントをお伝えします。
次の点を押さえて、設計業者とよく相談するようにしましょう。
わかりやすく視認性が高いこと
クリニックの外観は、おしゃれであることよりも、わかりやすく視認性が高いことが重要です。
看板やロゴを大きめに表示して、一目でクリニックと診療科目がわかるようにすることが大切です。
・遠くからでもクリニックであることが認識できるか
・車のドライバーや歩行者の目線の高さに看板やサインがあるか
・夜間でも照明によって視認性が確保されているか
といった点を意識しましょう。
しかし、先ほどお伝えしたように、精神科や心療内科、泌尿器科や婦人科などは目立つ立地・外観が逆効果になる傾向があります。
後述するように、診療科目ごとの特徴は押さえるようにしましょう。
安心感を与える色や素材にする
多くのクリニックでは、患者さんは自分の症状に不安になっているので、安心感を与える色や素材を選定しましょう。
例えば、次のような色や素材は、患者さんに安心感を与える傾向があります。
| 色の心理効果 | 白や淡いベージュ、パステルカラーなど清潔感や温かみ、落ち着きを与える色。 |
| プライバシー | すりガラスやブラインド、カーテンの利用。 |
| ガラス張り | 入口などをガラス張りにして、院内の様子を見えやすくして外と室内の隔たりをなくす(プライバシーには注意する)。 |
基本的には、奇抜な色使いや威圧感のあるデザイン、無機質な印象のあるデザインは避けるようにします。
注意したいのは、上表はあくまで一般的な傾向であることです。
診療科目や患者さんの属性、立地条件などで適切な色や素材は大きく変わってくるので、設計業者とよく確認するようにしましょう。
診療科目や患者さんの属性に合わせた外観とする
適切な外観デザインは、診療科目や患者さんの属性によって変わります。
また、診療科目などが一目で想像できるデザインであることも重要です。
あくまで目安になりますが、診療科目ごとの適切な外観には次のような傾向があります。
| 小児科 | イラストや明るい色を使い、子どもにとっての親しみやすさを演出する。 |
| 美容皮膚科・審美歯科 | 高級感、洗練されたスタイリッシュなデザインで「美」への期待感を高める。 |
| 内科・整形外科 | 老若男女が入りやすい、オーソドックスで落ち着いた信頼感のあるデザイン。 |
| 精神科・心療内科 | プライバシーを配慮した目立たない外観。入り口が通りから丸見えにならないようにする。 |
| 泌尿器科・婦人科 | 外からの視線を遮るルーバーやすりガラスを活用し、患者さんの姿が見えないように配慮する。 |
このように、診療科目によって適切な外観デザインは大きく異なります。
診療科目や患者さんの属性と、外観のイメージにミスマッチが起きないように注意しましょう。
人に見られたくない心理が働く診療科目の場合、患者さんにとって場所がわからず建物周辺をうろうろしてしまうことは大きなストレスです。
外観の工夫と併せて、ホームページには詳細な地図や、写真付き道案内を掲載するなど、患者さんが迷わず来院できる配慮も行いましょう。
患者さんの属性に合わせた入口とする
入口の設計は、患者さんの利便性や安心感に直結するため、患者満足度にも影響します。
狭い入口は、物理的に不便なだけでなく、患者さんが不安になり、入ることを躊躇してしまいます。
特に親御さんがベビーカーを押して来院する小児科クリニックの場合は、広めのスペースが欠かせません。
入口にスロープを作ったり、段差をなくしたり、自動ドアにしたりすることも必要です。
高齢者や障がい者が多いクリニックでは、バリアフリー設計がほぼ必須になるので、やはり同様の設計が求められます。
なお、バリアフリー法により、バリアフリー化を義務づけられるクリニックもあるので、よく確認するようにしてください。
例えば、東京都の場合は、以下の基準に当てはまる場合、バリアフリー化が義務になります。
| 特別特定建築物 | 床面積の合計 |
| 患者さんの収容施設のある病院または診療所 | 規模に係らずすべて |
| 患者さんの収容施設のない診療所 | 500㎡以上 |
※東京都 都市整備局「バリアフリー化の整備が義務付けられる建築物」より抜粋
受付までの動線をわかりやすくする
外観を設計する際、受付までの動線をわかりやすくすることは患者満足度に影響します。
「入口がどこなのかわからない」「受付はどこなのか」という設計では、患者さんはストレスや不満を感じます。
・入口から受付が視界に入るレイアウトにする
・土足か上履きかの区別を明確にする
・発熱外来用の動線を分ける場合は、外側からわかるように誘導サインを設ける
など、初めて来院する患者さんでも、内外装は迷わない動線設計にすることが欠かせません。
できれば、スタッフの案内が必要ないくらいの動線が理想です。
そうすれば、患者満足度が向上するだけでなく、業務効率を改善することができます。
内装と外装は統一感を図る
外観と内装のデザインには統一感を持たせましょう。
例えば、外観はモダンでスタイリッシュなのに、内装が和風で古風なデザインといったケースです。
外観、内装それぞれがクリニックに適したデザインであっても、統一感がないと患者さんはチグハグな印象を受け、敬遠する可能性があります。
特に内装と外観の設計業者が違う場合は、一貫性を保つように連携するようにしましょう。
周辺環境と調和した外観にする
できるだけ、立地環境と調和した外観にして、患者さんから違和感を持たれないようにしましょう。
診療科目や患者さんの属性を考慮しつつ、地域に溶け込んだデザインを目指します。
そのため、他の地域で評判の良かった外観デザインが、必ずしも自院に合っているとは限らないので注意が必要です。
競合クリニックの外観や看板をチェックする
開業予定地の近隣にある競合クリニックの外観も、リサーチしておきましょう。
自院の診療科目や立地の特性を踏まえながら、競合クリニックとは違う外観デザインにすることで、差別化を図ることができます。
例えば、競合クリニックが伝統的な建物を意識したデザインなら、自院はモダンで清潔感を意識するといったものです。
ただ、競合クリニックとの差別化を意識しすぎるあまり、患者さんの属性やコンセプトから大きくズレないように注意しましょう。
外観デザインに関する法規制に注意する
外観の設計や看板設置には、様々な法規制が関わり、主に次の法律に注意しましょう。
| 建築基準法 | 特定建築物に該当するかどうか |
| バリアフリー法 | バリアフリー化が義務づけられているかどうか |
| 屋外広告物法 | 看板の大きさ、色、設置場所などの制限に抵触していないか? |
| 景観法 | 建築物の形態や色、高さなどの制限に抵触していないか? |
上記の法規制については、地方自治体独自の規制があるので、必ず遵守するようにしてください。
診療科目・内容をわかりやすく表示した看板とする
看板は、通りすがりの人に対する広告になります。
ただ、視認性の観点から、必要な情報を絞って、診療科目や内容をわかりやすく表示した看板としましょう。
・クリニック名(ロゴ)
・診療科目
・診療時間、休診日
・電話番号、ホームページの検索キーワード、QRコード
上記以外に伝えたい情報があっても、あまり小さい文字で詰め込むと逆効果になります。
限られたスペースで、伝えたい情報を大きく、わかりやすく表示した看板としましょう。
なお、看板については医療広告ガイドラインを必ず遵守する必要があります。
駐車場がある場合はわかりやすく誘導する看板とする
ロードサイドのクリニックなど、車での来院を想定している場合、駐車場のわかりやすさも患者満足度の観点で重要になります。
・「P」マークを大きく掲示する
・駐車場への入口を矢印で明確に示す
・満車時の対応(第2駐車場の案内など)を表示する
駐車場の位置がわからないと、車で来院する患者さんが迷ってしまい、診察時間に遅れるかもしれません。
わかりやすく駐車場の場所に誘導できるように、看板などで表示することがポイントとなります。
【まとめ】クリニックに合った外観を設計する
クリニックの外観は、ホームページ制作などと違って容易に修正・変更ができません。
上記のような失敗しないポイントを押さえながら、ご自身のクリニックに合った外観を設計しましょう。
関係法令や自治体の条例を遵守しながら、集患、患者満足度向上に繋がるような外観デザインを目指してください。
なお、内装のレイアウトについては、以下の記事をご覧ください。
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監修者
笠浪 真
税理士法人テラス 代表税理士
税理士・行政書士
MBA | 慶應義塾大学大学院 医療マネジメント専攻 修士号
1978年生まれ。京都府出身。藤沢市在住。大学卒業後、大手会計事務所・法律事務所等にて10年勤務。税務・法務・労務の知識とノウハウを習得して、平成23年に独立開業。
現在、総勢52人(令和3年10月1日現在)のスタッフを抱え、クライアント数は法人・個人を含め約300社。
息子が交通事故に遭遇した際に、医師のおかげで一命をとりとめたことをきっかけに、今度は自分が医療業界へ恩返ししたいという思いに至る。
医院開業・医院経営・スタッフ採用・医療法人化・税務調査・事業承継などこれまでの相談件数は2,000件を超える。その豊富な事例とノウハウを問題解決パターンごとに分類し、クライアントに提供するだけでなく、オウンドメディア『開業医の教科書®︎』にて一般にも公開する。
医院の売上を増やすだけでなく、節税、労務などあらゆる経営課題を解決する。全てをワンストップで一任できる安心感から、医師からの紹介が絶えない。病院で息子の命を助けてもらったからこそ「ひとつでも多くの医院を永続的に繁栄させること」を使命とし、開業医の院長の経営参謀として活動している。


