脳神経外科の開業で失敗しない9つのポイント|開業支援実績が多い税理士が詳細解説


脳神経外科は、CTやMRIなど大がかりな医療設備を導入するかどうかで開業資金に大きな幅が出てきます。
CTやMRIまで導入しようとすると、他の診療科目の2倍程度の開業資金がかかり、それなりにリスクが伴います。
必要なスペースも大きく変わるので、物件選びや内装費用にも大きな影響があります。
また、リハビリ施設を導入するかどうかも、脳神経外科の大きな検討事項です。
この点などを踏まえて、今回は脳神経外科の開業で失敗しないポイントをお伝えします。
【脳神経外科開業のポイント①】他の医療機関との連携を強化するのが大切

脳神経外科は他の医療機関との連携が必須となります。
CTやMRIを導入する際は、内科や整形外科、婦人科のクリニックと連携して、必要に応じて紹介してもらうと良いでしょう。
連携先を招待して、実績報告会や合同症例検討会などを実施してCTやMRIによる診断機能を認知するのも有効です。
そのため、CTやMRIを導入しない場合は、近くに導入している大病院があるかどうかも物件選びのポイントとなるでしょう。
成功している脳神経外科は、他医療機関との連携がうまくいっている傾向があります。
【脳神経外科開業のポイント②】CTやMRIなどの導入設備を決めてから物件を選定する

通常、開業準備では、物件を決めてから内外装や導入設備などを決めていきます。
ただ、脳神経外科の場合は、CTやMRIの影響が大きいので、大きな設備を導入するかどうかを決めてから物件を選定することになります。
必要なスペースは大きく変わってきますし、立地の戦略も大きく変わってきます。
CTやMRIを導入しない場合では、クリニックの面積は25~30坪程度が目安になりますが、CTやMRIを導入する場合は60~70坪が目安となります。
リハビリテーション施設も設けるとなると、さらにスペースが必要となります。
まずは開業コンセプトを明確にして、開業希望地域のニーズを見極めることが重要になります。
CTやMRIを持たずに開業する場合は、近くに連携できる大病院があるかどうかが重要になります。
CTやMRIを導入する場合は、診療圏調査などを慎重に行う必要があります。
先ほどお伝えしたように、CTやMRIを有する医療施設は増えているので、なるべく競合しないエリアで開業するように、注意が必要です。
CTやMRIを導入しても集患できないと、借入金の返済や運転資金で資金繰りが逼迫することになります。
詳細は、脳神経外科の開業に詳しい物件選定の専門家に相談してください。
【脳神経外科開業のポイント③】CTやMRIを導入する場合は開業資金を慎重に検討する

「CTやMRIがない場所で、画像診断ができるクリニックを開業したい」
「大きな病院ではMRIの検査が順番待ちとなる。早い検査を希望する患者さんに対応できるようにしたい」
と、CTやMRIを導入して脳神経外科を開業したいと考えている先生も多いでしょう。
実際、当社の顧問先でも、最新のCTやMRIを導入して開業した先生はいらっしゃいます。
ただ、この場合はどうしても億単位の開業資金がかかり、開業後は借入金の返済で損益分岐点を超えるまで時間がかかります。
そのため、開業資金については慎重に検討が必要です。
また、CTやMRIはメンテナンス費用やランニングコストに相当の費用がかかるので、開業後の運転資金も多めに見積もる必要があります。
ただ、大がかりなクリニックの開業では、1年くらいの据置期間(一定期間元本の返済を猶予して利息だけを支払う期間)を設定してくれる金融機関が多いです。
据置期間があれば、ある程度余裕を持ってクリニックを経営できます。
ただ、実際にシミュレーションしてみて、それでも無理な事業計画であれば、見直しが必要となります。
開業資金の考え方の詳細は、以下の記事をご覧ください。
【脳神経外科開業のポイント④】CT・MRI選びや見積もりは慎重に行う

先ほどお伝えしたように、近くに大病院がない場合は、開業時からCTやMRIを導入するのもありです。
近くにCTやMRIがない場所に導入する時点で、競合との差別化になるので、地域のニーズがあれば検討の余地があります。
しかし、多額の資金が必要になるだけに、CTやMRIの選び方や見積もりは慎重に行わないといけません。
特にMRIは冷却用の電気代や空調に相応のランニングコストがかかります。
また、価格交渉によって、本体価格に大きな差が出ることもあります。
妥当な価格かどうかは、専門家に相談するなどして慎重に判断した方が良いでしょう。
【脳神経外科開業のポイント⑤】バリアフリーを意識した内装とする

脳神経外科では、車いすなどで来院する患者さんが比較的多い診療科目の1つです。
段差をなくしてスロープにしたり、エレベーターを設置したりと、バリアフリーを意識した内装が必要となります。
もちろん、通路や待合スペースも広い範囲で確保しておくことになります。
詳細は、医院・クリニックの経験が豊富な内装業者に相談するようにしてください。
【脳神経外科開業のポイント⑥】強い光や大きな音は避けるようにする

脳神経外科に通院する患者さんは、頭痛を持っている方や、めまいの症状を持っている方が多数います。
そのような患者さんにとって、強い光や大きな音は負担になります。
強い照明ではなく、自然光が差し込むような内装設計にして、大きな音でBGMを流さないように配慮が必要です。
【脳神経外科開業のポイント⑦】リハビリ施設の設置を検討する

脳神経外科では、大がかりな医療機器だけでなく、リハビリ施設を設置するかどうかも重要な検討事項の1つです。
脳神経外科に通う患者さんは、長期間のリハビリが必要となるケースが多々あります。
特に近くにリハビリ施設がないような場合は、設置を考えた方が良いかもしれません。
医業収入の観点でも、患者さんが長期間リハビリに来院してくれれば、安定した収益源になります。
リハビリ施設を設置する場合は、理学療法士、作業療法士などの採用が必要になる点を考慮して、人材採用に臨みましょう。
採用人員が増えることになるので、人件費を多めにして運転資金を考える必要があります。
【脳神経外科開業のポイント⑧】承継開業を検討する

脳神経外科の開業は、CTやMRI、リハビリ施設を導入するとなると、かなりの開業資金がかかります。
開業資金を抑えるという点では、脳神経外科の承継開業を検討するのも1つの手です。
ただ、理想のクリニックに出会えるかどうかはわかりませんし、メリットだけでなくデメリットも多く、注意点が様々あります。
詳細は、以下の記事をご覧ください。
【脳神経外科開業のポイント⑨】CTやMRI、リハビリ施設がなくても成功例はある

CTやMRIといった大がかりな医療機器や、リハビリ施設がなくても脳神経外科の成功例はあります。
具体的には、偏頭痛や群発頭痛など様々な頭痛に対応する頭痛外来とするコンセプトです。
大規模なクリニックほど医業収入は期待できなくても、頭痛外来をメインにして成功している脳神経外科クリニックも少なくありません。
【まとめ】脳神経外科の開業資金計画は慎重に
脳神経外科は、CTやMRIを持つかどうか、リハビリ施設を持つかどうかで開業計画が大きく変わります。
大がかりな医療機器を導入したり、リハビリ施設を持ったりするとどうしても多額の開業資金や運転資金がかかります。
ただ、高齢化が進んでいる現在、脳血管疾患に対するニーズは全国的に高まっており、追い風ではあります。
地域間の連携をしっかり行えば、さほど集患には困らないというメリットもあります。
開業資金は慎重に検討する必要はありますが、開業コンセプトや治療方針によってはCTやMRIは導入の余地があります。
脳神経外科の開業医の年収や開業資金については、以下の記事で詳しく解説しています。


税理士法人テラス、テラスグループでは、経験豊富な税理士、社労士、行政書士、ファイナンシャルプランナー、事業用物件の専門家などが結集してワンストップで医院開業支援を行っています。
医院開業準備における税務・労務・法務業務のすべてをワンストップで進めることができますので、ぜひご相談ください。



監修者
笠浪 真
税理士法人テラス 代表税理士
税理士・行政書士
MBA | 慶應義塾大学大学院 医療マネジメント専攻 修士号
1978年生まれ。京都府出身。藤沢市在住。大学卒業後、大手会計事務所・法律事務所等にて10年勤務。税務・法務・労務の知識とノウハウを習得して、平成23年に独立開業。
現在、総勢52人(令和3年10月1日現在)のスタッフを抱え、クライアント数は法人・個人を含め約300社。
息子が交通事故に遭遇した際に、医師のおかげで一命をとりとめたことをきっかけに、今度は自分が医療業界へ恩返ししたいという思いに至る。
医院開業・医院経営・スタッフ採用・医療法人化・税務調査・事業承継などこれまでの相談件数は2,000件を超える。その豊富な事例とノウハウを問題解決パターンごとに分類し、クライアントに提供するだけでなく、オウンドメディア『開業医の教科書®︎』にて一般にも公開する。
医院の売上を増やすだけでなく、節税、労務などあらゆる経営課題を解決する。全てをワンストップで一任できる安心感から、医師からの紹介が絶えない。病院で息子の命を助けてもらったからこそ「ひとつでも多くの医院を永続的に繁栄させること」を使命とし、開業医の院長の経営参謀として活動している。