順天堂大学医学部の歴史・特徴と初年度の学費、著名な卒業生まとめ

公開日:2020年6月6日
更新日:2024年3月18日

はじめに

順天堂大学医学部では学生に積極的な学びをしていただきたいと考えています。臨床医や研究医として活躍するために必要な知識・技能そして態度などを学ぶことになります。医学部の学習について最も大事なことは、受動的な学びではなく能動的な学びをしていくことです。この学びは大学での6年間は当然のこと・卒業して医師になってからはより重要になってきます。自ら学んで・考えて・問題を解決する能力が重要になります。順天堂でこの自らが積極的に学ぶという習慣をつけていただきたいです。それが医師になってから必ず生きるものという指導をしています。

住所

順天堂大学医学部は東京都文京区本郷2-1-1にあります。JR中央線・地下鉄丸ノ内線御茶ノ水駅から徒歩7分・地下鉄千代田線新御茶ノ水えきから徒歩9分ほどです。中央線や総武線に乗っていると御茶ノ水駅近くに「順天堂」という大きな建物が見えるはずです。そこが順天堂大学医学部です。ちなみにすぐ隣に東京医科歯科大学があります。医科歯科大学は順天堂大学医学部よりもさらに難しいですが国立で学費を考えると挑戦のしがいもあります。

学校概要

順天堂の順天は中国の古典である易経にある「順天応人」(天の意志にしたがって人々の期待に応える)と孟子の「順天者存 逆天者亡」(天に従うものは生きることができる・天に逆らったものは滅亡する)という2つからできました。天に従って積極的に学びなさいという指導方針を一貫としています。

順天堂大学は医学部・スポーツ健康科学部・医療看護学部・保健看護学部・国際教養学部・保健医療学部の6学部・その他3研究科と6付属病院からなる健康総合大学・大学院大学として教育・研究と実践そして診療という3つの柱を通した国際レベルでの社会貢献と人材育成を進めていきます。

学是は他人を思いやり慈しみの想いを持つ心である「仁」。理念は現状に満足せずに常に高い目標を目指して努力を続ける「不断前進」。学風は出身・国籍・性別で差別をしない「三無主義」この3つを教育の柱にしています。

入学金・学費

入学金

200万円

学費

1年次:90万円(授業料70万円、施設設備費20万円)

2年次以降:358万円(授業料200万円、施設設備費86万円、教育充実費72万円)

初年度の学費総額

290万円

※初年度のみ全寮制のため、別途「寮費・諸会費」がかかります。

6年間の学費総額

2080万円

6年間の学費総額は2,080万円。初年度の学費290万円においては全国私立医科大学31校中、最も安い学費となっています。

※学費が免除される特待生制度もあります。

出典:順天堂大学医学部HP

偏差値

70

出典:河合塾 医進塾HP

河合塾以外でも概ね70程度

医師国家試験合格率

99%程度

※過去10年間平均 国公立医科大80中第2位

出典:順天堂大学医学部HP

歴史

1838年:佐藤泰然氏が蘭方医学塾を開学

1843年:蘭方医学塾を順天堂と名付け、今の順天堂大学が始まる

1873年:下谷(今の神田周辺)に病院を開院

1875年:この病院を湯島・本郷に移転

1885年:順天堂医事研究会が発足

1896年:看護婦の講習所が開設

1912年:赤坂に分院を開院

1923年:関東大震災で順天堂は壊滅的な被害を受ける

1941年:順天堂医事研究会は財団法人に移行

1943年:財団法人順天堂医学専門学校の開設

1947年:習志野キャンパスが開校

1951年:新生順天堂大学が開学 体育学部を開設

1952年:医学部医学科を開設

1953年:順天堂滝野川分院を開院

1959年:大学院医学研究科博士課程を開設

1967年:順天堂伊豆長岡病院を開設

1971年:大学院体育学研究科を開設

1975年:順天堂災害医学研究所を開設

1984年:順天堂浦安病院の開院

1988年:習志野キャンパスを印西さくらキャンパスに移転

1989年:浦安キャンパスを開設します。看護専門学校を医療短期大学に改組 順天堂越谷医院を開院

1993年:体育学部をスポーツ健康科学部に改組

1997年:大学院体育学研究科を大学院スポーツ健康科学研究科に改組

2000年:大学院スポーツ健康科学研究科博士課程を開設 老人性疾患病態治療研究センターを設置

2002年:江東高齢者医療センターの運営を受託、環境医学研究所を設置

2004年:順天堂医療短期大学を順天堂大学医療看護学部として改組

2005年:順天堂伊豆長岡病院を順天堂静岡病院に改組。順天堂練馬病院を開院

2007年:大学院医療看護学研究科博士課程修士課程の開設 スポーツロージーセンターの設置 がんプロフェッショナル養成プランを作る。大学院教育改革支援プログラムを開設

2008年:創立170周年を迎える。国際交流センターの設置 さくらキャンパスの校舎や校地を取得

2009年:センチュリータワーの校舎や校地を取得

2010年:順天堂大学保険看護学部の設置

2013年:大学院医学研究科の開設

2014年:大学院医療看護学研究科を開設

2015年:国際教養学部の開設

2016年:難病の診断と治療研究センターの開設

順天堂大学は創立180年以上という長い歴史と伝統のある大学で医学に携わる歴史もかなりのものがあります。順天堂ブランドは長い間をかけて医療・スポーツ関係者のみならず国民の間に広がっていったことになります。

特徴

順天堂大学医学部は医師国家試験合格にこだわらない知性と教養を持った医師になるための教育を行っていきます。医学教育はもちろんのこと課外活動なども充実しています。教員と生徒の距離が近く生徒の個性も尊重されます。学生生活を有意義にしていくための協力を大学も惜しまずに行っています。また特待生制度や奨学金制度も充実しています。地域医療に協力する方には学費の全額支給もあります。

順天堂大学医学部の特長とは?

  1. 国立大学同様に5教科で入試を行います。国立大学と併願をしたいという方に適した入試方法になっています。
  2. 学力だけでなく面接や小論文さらには調査書なども重視した選考になっています。そのため医師国家試験の合格率がほとんどの年で95%以上とかなり高くなっています。また退学や留年をする生徒も少なく意識の高い学生が多くなっています。
  3. 初年度の学費が300万円以下・6年間の学費総額が2080万円ほどです。これは全国の私立医学部の中でも最も低い学費になっています。生徒ファーストを学費の面でも考えています。
  4. 学費減免制度を最大限に利用していくことで6年間で200万円から300万円程度で卒業できる可能性があります。国立大学よりも安い授業料で卒業も可能性があるということです。
  5. 東京・新潟・千葉・埼玉・静岡のどこかの地域医療に貢献をしたいという方には自治体からの奨学金制度が充実しています。卒業後にその地域で医師で仕事をすることを条件で多額の奨学金が出ます。国立大学に匹敵する学費で学べて卒業もできます。
  6. 研究医を目指したい方には基礎医学研究者養成プログラムという特別研修を受けることができます。海外学会発表・留学に向けた英語の指導を受けながら卒業までに大学院の単位を前倒しで取得します。大学院博士課程を取得後は教授補助という役目で研究や学生の指導に当たります。
  7. 1年生は印西のさくらキャンパスで1年間限定の寮生活を行います。寮生が自由と他人に迷惑をかけない行動を肌で感じます。また、1年後期から医学専門教育を行います。センチュリータワーにはICTを駆使した最先端の教室が完備されています。ICTを活用した授業が行われます。
  8. 順天堂は6つの付属病院で3400床超の入院ベッド数があります。これは日本最大級の施設です。先進医療・地域医療・救急治療・出産・高齢者医療・地域医療・がん治療・脳血管治療などの様々な治療の施設が充実しています。

カリキュラム

出典:順天堂大学医学部HP

順天堂大学医学部のカリキュラムは6年生で各学年で学ぶべきことがしっかりとしています。

1年次

一般教養科目・基礎医学入門を学びます。必須科目・選択必須科目・選択科目に分かれます。基礎医学入門や早期の臨床体験実習などもあります。

2年次

基礎医学・解剖実習を学びます。基礎医学の統合講義を行います。解剖学や基本手技・救急医学の実習が中心になります。

3年次

基礎医学・基礎ゼミ・臨床医学を学びます。2年時の基礎医学統合講義の延長から臨床医学統合講義が始まります。また基礎ゼミもスタート。医者になるための本格的な学習が始まります。

4年次

臨床医学・臨床実習前トレーニング・臨床コア実習を行います。医者になるための本格的な実習がスタートします。

5年次

臨床実習・臨床コア実習です。大半の時間を病院に所属して本格的な臨床実習を行います。医師になるための覚悟を持つ最も重要な1年になりそうです。

6年次

臨床実習の続き・学生インターン・必須コース・卒業試験・医師国家試験対策を行います。順天堂大学医学部は6年次が最も忙しそうです。密度の濃い1年になりそうです。

順天堂大学医学部では実習を中心に幅広いカリキュラムを学びます。医師としての技量・マインド・知識。すべてを6年間で習得していきます。

研修制度

順天堂大学医学部は多くの有能な講師陣が多くいます。卒業生からも多くの研究者を輩出しています。臨床医学・基礎医学ともに多彩な研究を行うことが可能になっています。臨床・基礎などの様々な講座間の交流が盛んで口座間の壁がないのが特徴です。全国から多数の疾病症例が集まっていきます。教職員の数が多く質も高くなっています。教員の数も多く質も高くなっています。臨床医学などの研究を行いやすい環境がそろっています。

初期臨床研修は若手医師が将来目指す医師像に向かって医師としてのキャリア形成ができるように支援を行っていきます。また専門研修では医学博士の学位取得・専門医取得・国内外の留学などの医師としての夢の実現さらにキャリアの形成ができるようにしていきます。

部活動

順天堂はスポーツも有名なので多くの運動部があります。医学部なので多くの時間を部活動に費やすことは難しいかもしれません。ただ勉強だけでなく部活動も行うことで体力もつく上に人付き合いも含めたバランスの良い人間になりやすくなります。また同じ趣味を持つことで大人になっても友人関係を継続できる可能性が高まります。時間のある方は部活動に入って楽しみながらも精神鍛錬をしていくことも良いのではないでしょうか。

順天堂大学医学部の部活動は以下のようなものがあります。学生の花形野球部はありません。ただ多くの運動部があるところはさすがは「順天堂」だなと感じます。

運動部

アイスホッケー部・剣道部・ゴルフ部・サッカー部・柔道部・水泳部・スキー部・卓球部・男子テニス部・女子テニス部・男子バスケットボール部・女子バスケットボール部・バトミントン部・男子バレーボール部・女子バレーボール部・男子ハンドボール部・女子ハンドボール部・硬式野球部・ヨット部・ラグビー部・陸上部・フットサル部・山岳部。

文化部・同好会

ME研究会・学生医療研究会・クールゲーツ・写真部・ジャズ部・順天堂交響楽団・熱帯医学研究会・囲碁将棋部。

連携病院

順天堂大学医学部の提携医院を紹介します。ただ都内だけで2200もの病院・医院と提携をしています。ここですべての病院・医院を掲載することはできません。その中の一部の病院・医院を紹介します。

  • パレスクリニック(千代田区一ツ橋)
  • 日本経済新聞社診療所(千代田区大手町)
  • 丸の内トラストタワークリニック(千代田区丸の内)
  • 日比谷クリニック(千代田区有楽町)
  • リソークリニック(千代田区内幸町)
  • 霞が関アーバンクリニック(千代田区霞が関)
  • ユアクリニック秋葉原(千代田区外神田)
  • 同仁記念会明和病院(千代田区神田須田町)
  • 日本橋循環器科クリニック(中央区日本橋小伝馬町)
  • 日本橋馬喰町クリニック(中央区日本橋馬喰町)
  • 松洲会鈴木医院(中央区大伝馬町)
  • 人形町乳腺クリニック(中央区日本橋人形町)
  • 人形町こどもクリニック(中央区日本橋蛤殻町)
  • 日本橋内科アレルギー科クリニック(中央区日本橋室町)
  • 中小企業衛生管理協会霞ヶ関診療所(港区虎ノ門)
  • 浜松町メディカルクリニック(港区芝大門)
  • 浜松町大門レディースクリニック(港区浜松町)
  • 優春会伊原医院(港区東新橋)
  • 哲医会西麻布クリニック(港区西麻布)
  • たくま内科神経内科クリニック(港区麻布十番)

著名な卒業生・主に開業医

順天堂大学医学部卒業の有名人の方を紹介します。

  • 池田健氏(順天堂大学医学部卒業・精神科医・脳科学者茂木健一郎氏と高校で同級)
  • 井上令一氏(順天堂大学医学部卒業・精神科医・順天堂大学医学部名誉教授)
  • 藤田徳人氏(順天堂大学医学部卒業・整形外科医)
  • 三宅幸子氏(順天堂大学内科系大学院博士課程修了・順天堂大学付属順天堂医院内科研修医・多発性硬化症や膠原病などを研究)
  • 故岡田孝男氏(順天堂医学専門学校卒業・順天堂大学医学部教授・祖父も医師)

笠浪 真

1978年生まれ。京都府出身。藤沢市在住。大学卒業後、大手会計事務所・法律事務所等にて10年勤務。税務・法務・労務の知識とノウハウを習得して、平成23年に独立開業。
現在、総勢52人(令和3年10月1日現在)のスタッフを抱え、クライアント数は法人・個人を含め約300社。
息子が交通事故に遭遇した際に、医師のおかげで一命をとりとめたことをきっかけに、今度は自分が医療業界へ恩返ししたいという思いに至る。

医院開業・医院経営・スタッフ採用・医療法人化・税務調査・事業承継などこれまでの相談件数は2,000件を超える。その豊富な事例とノウハウを問題解決パターンごとに分類し、クライアントに提供するだけでなく、オウンドメディア『開業医の教科書®︎』にて一般にも公開する。

医院の売上を増やすだけでなく、節税、労務などあらゆる経営課題を解決する。全てをワンストップで一任できる安心感から、医師からの紹介が絶えない。病院で息子の命を助けてもらったからこそ「ひとつでも多くの医院を永続的に繁栄させること」を使命とし、開業医の院長の経営参謀として活動している。

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