職員引抜き、近所で開業……開業を控えた勤務医の退職トラブル
はじめに
夢にまで見た医院開業を控え、いよいよ勤務先の医院・クリニック(もしくは病院)に退職を伝える時がやってきました。
しかし気持ちが高まり、勤務先の都合も考えずに退職してしまうと、思わぬトラブルが発生することがあります。
場合によっては、元の勤務先に損害賠償も請求されることもあるので、注意が必要です。
「訴えてやる!」勤務先のクリニックとのトラブル事例
Aクリニックで長年内科の勤務医として働いてきたB先生は、独立開業のため、Aクリニックを退職することになりました。
担当患者も多く、温厚な人柄で患者さんからもスタッフからも慕われていたB先生。
それだけに、最初はAクリニックのC理事長に「もう少し残ってもらえないか?」と慰留されました。
しかし、開業医として、自分の理想の医療を追求することを夢見ていたB先生の意志は固く、退職時期は変わりませんでした。
これまでAクリニックに大いに貢献してくれたB先生。C理事長は、
「Bがいなくなるのは大きな痛手だが、今まで一生懸命働いてくれたので応援しよう」
と言ってくれました。
しかし、B先生が退職届を提出してから数日経ったある日、今までB先生を快く送り出そうとしていたC理事長が烈火のごとく怒り出します。
「B! 一体どういうことだ!」
円満に退職できると思っていたB先生は、これまで見たこともないC理事長の怒った顔に、驚きを隠せません。
「急に怒り出すなんてどういうことですか? 応援すると言っていたじゃないですか!」
「お前はいったい何をしてくれたんだ! このクリニックを潰す気か! もう黙ってられん! 訴えてやるからな、覚悟しとけよ!」
元勤務先のクリニックのC理事長の言い分
C理事長は、B先生に対して何を怒っていたかと言うと……
- B先生は、Aクリニックのスタッフを引き抜いて開業しようとしていた。すでにスタッフは退職届を提出。
- B先生は、Aクリニックの担当患者さんに退職の旨を報告し、開業先のクリニックに勧誘していた。
- B先生が開業するクリニックは、Aクリニックの近所である。
たしかに、これだけ見ると、B先生は、これまで働いてきたAクリニックに対して恩を仇で返すようなことをしているように見えます。
C理事長としては、近くに開業されて、スタッフも患者さんも引き抜かれるわけですから、たまったものではありません。
これからクリニックを開業するB先生の言い分
しかし、B先生の言い分は次のようなものです。
- 別にスタッフに対して積極的に引き抜き工作をしていたわけではない。最終的には本人の希望だから、何が悪いんだ!
- 長年診てきた患者に、独立開業のことを告げずに退職するのは無責任だろう。筋を通しただけなのに、何が悪い!
- 開業物件はいろいろ探し回ったが、一番良い条件だったのが近くだっただけだ! どこで開業しようが勝手だろ!
言われてみれば、B先生の言い分も真っ当に思えます。とても身勝手な理由とは思えません。
結局B先生もC理事長もお互い譲らず、泥沼の騒動に発展していくことになります……。
もし勤務先から「訴えるぞ!」と言われたら……
B先生のように、医院開業時に、退職する勤務先の病院やクリニックとのトラブルに巻き込まれるケースは多いです。
今回紹介したケースの他、医療法人の理事が独立開業する場合、水面下で開業準備していたのに「退職できない」「開業できない」というケースもあります。
そこで、
- 今の勤務先を円満退職して開業する方法
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さらに、セミナー後半では、医療専門の税理士による「開業前に9割決まる!? 医院開業の成功を左右する3要素」についてもお伝えします。
講師は、医院・クリニックのクライアント数300件、相談件数2,000件、年間20件以上の医療法人設立に関わる税理士法人テラス代表の笠浪真が勤めます。
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なお、このセミナーは勤務医の先生と奥様やご家族の方に限ります。すでに開業されている先生はご参加頂けませんのでご了承ください。
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監修者
笠浪 真
税理士法人テラス 代表税理士
税理士・行政書士
MBA | 慶應義塾大学大学院 医療マネジメント専攻 修士号
1978年生まれ。京都府出身。藤沢市在住。大学卒業後、大手会計事務所・法律事務所等にて10年勤務。税務・法務・労務の知識とノウハウを習得して、平成23年に独立開業。
現在、総勢52人(令和3年10月1日現在)のスタッフを抱え、クライアント数は法人・個人を含め約300社。
息子が交通事故に遭遇した際に、医師のおかげで一命をとりとめたことをきっかけに、今度は自分が医療業界へ恩返ししたいという思いに至る。
医院開業・医院経営・スタッフ採用・医療法人化・税務調査・事業承継などこれまでの相談件数は2,000件を超える。その豊富な事例とノウハウを問題解決パターンごとに分類し、クライアントに提供するだけでなく、オウンドメディア『開業医の教科書®︎』にて一般にも公開する。
医院の売上を増やすだけでなく、節税、労務などあらゆる経営課題を解決する。全てをワンストップで一任できる安心感から、医師からの紹介が絶えない。病院で息子の命を助けてもらったからこそ「ひとつでも多くの医院を永続的に繁栄させること」を使命とし、開業医の院長の経営参謀として活動している。