“節税”と“脱税”は紙一重|これは経費にできるか? できないか?

公開日:2019年12月27日
更新日:2024年4月11日

これまで勤務医だった先生は、基本的に勤務先の病院で年末調整を行うため、一部の方を除いて確定申告をしたことのある方は少ないでしょう。

しかし、開業したら自分で税理士とやり取りしながら確定申告を行わなければいけません。

開業前の家賃や広告宣伝費などの準備費用も経費に落とすことができますから、開業前から節税を意識して領収書を保管しておく必要があります。

「確定申告のことは開業してから考えよう」では遅く、必要以上に税金を払いすぎて損をするかもしれません。

だからといって、税法の範囲を超えた節税対策も禁物です。節税と脱税は紙一重です。

マスコミでたまに報道される芸能人の脱税・申告漏れ事件ですが、医師にとっても他人事ではなく、過去に逮捕例や医業停止に至ったケースがあります。

脱税・申告漏れを指摘する税務調査についても大病院だけでなく、個人開業の医院・クリニックでも日常的に行われています。

【クイズ】これは経費にできるか? できないか?

税務調査で見られるのは、正しく確定申告を行っているかどうかです。

つまり、税法の範囲内で正しく節税するのは問題ありませんが、それを証明できなければ追徴課税(延滞税や5~40%の加算税)が課されます。

例えば、次の場合は経費として正しいでしょうか? どれも税務調査のときにチェックされることばかりです。

☑家族旅行を兼ねて出張し、全額旅費交通費として経費処理した
☑仲の良い仲間とゴルフに行って、接待交際費として経費処理した
☑人件費を現金払いして、経費計上した
☑開業したての頃に、実額以上の経費を計上した

家族旅行を兼ねて出張し、全額旅費交通費として経費処理した

NGです。

出張として経費にできるのは、仕事や研修の出張分に相当する宿泊費や交通費、飲食代です。

医院・クリニックで働いていない奥様やお子さんの旅費まで経費にすることはできません。

仲の良い仲間とゴルフに行って、接待交際費として経費処理した

NGです。

接待交際費として経費処理ができるのは、言うまでもなく仕事に関係する人とゴルフに行った場合です。仕事に関係のない仲間では経費計上はできません。

今ではゴルフ場ではメンバー表が電算化されており、国税庁がプレーをした日時や氏名が即座に把握できるので、ごまかすのが難しくなっています。

人件費を現金払いして、経費計上した

OKですが注意が必要です。

日頃の業務の労いも込めて、給料日にスタッフ1人1人に給料を手渡しする先生もいらっしゃいます。

しかし、この場合は現金払いにすることでお金の移動が可視化しづらいため、税務調査時に架空人件費と疑われる可能性があります。

そのため、現金払いの場合は給与明細書の控えを保存するようにしましょう。

開業したての頃は、実額以上の経費を計上した

OKですが注意が必要です。

社会保険診療報酬に係る費用については、概算経費を適用することが認められています。概算経費が実額経費より多かった場合、概算経費を適用した方が節税になります。

しかし、これは社会保険診療報酬が5,000万円以下、及び自由診療を含めた医業収入7,000万円以下の場合に限ります。

また、保険診療以外の収入計上漏れがないか、その収入にかかる経費が適正かは、税務調査ではよくチェックされます。

医院開業前にできる節税対策の秘訣とは?

以上、先生は何問正解しましたか?

いずれも「知らなかった」では済まされません。税務調査で指摘され、経費計上できる理由を証明できなければ延滞税・加算税が課されます。

また、先生がどの税理士に依頼するのかも重要です。医院・クリニックであれば、医療分野の税務・会計に詳しくなければ正しい判断はできません。

税務調査の対応も医療現場に明るくないと受け答えがしどろもどろになって説明責任を果たせず、必要以上の追徴課税を支払うことになります。

悪質な所得隠しや架空計上と判断されれば35~40%の重加算税が課されます。

最悪、刑事責任に問われて逮捕や3年以下の医業停止・医師免許取り消しなどの行政処分に処せられます。

逮捕や行政処分までいかなくても、患者さんからの信頼は失われ、ご家族も肩身の狭い生活を強いられ、築いてきたものを一瞬で失います。

「税理士任せ」「ついうっかり」が命取りになってしまうこともあるのです。

大切なことは、誠実に税法の範囲内で正しく節税して利益を最大化し、先生が理想の医療実現のためにさらなる投資を可能にすることです。

そこで今回、これから医院を開業する先生に向けて、

☑税務調査の裏側を知る国税局OBがお伝えする、税務調査で目をつけられやすい先生の特徴と注意点

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をお伝えする「医院開業・節税対策セミナー」を開催することにしました。

さらに、セミナー後半では、医院開業で成功したい先生が必ず知っておきたい内容もお伝えします。

  1. 事業計画で失敗しない5つのポイント
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笠浪 真

1978年生まれ。京都府出身。藤沢市在住。大学卒業後、大手会計事務所・法律事務所等にて10年勤務。税務・法務・労務の知識とノウハウを習得して、平成23年に独立開業。
現在、総勢52人(令和3年10月1日現在)のスタッフを抱え、クライアント数は法人・個人を含め約300社。
息子が交通事故に遭遇した際に、医師のおかげで一命をとりとめたことをきっかけに、今度は自分が医療業界へ恩返ししたいという思いに至る。

医院開業・医院経営・スタッフ採用・医療法人化・税務調査・事業承継などこれまでの相談件数は2,000件を超える。その豊富な事例とノウハウを問題解決パターンごとに分類し、クライアントに提供するだけでなく、オウンドメディア『開業医の教科書®︎』にて一般にも公開する。

医院の売上を増やすだけでなく、節税、労務などあらゆる経営課題を解決する。全てをワンストップで一任できる安心感から、医師からの紹介が絶えない。病院で息子の命を助けてもらったからこそ「ひとつでも多くの医院を永続的に繁栄させること」を使命とし、開業医の院長の経営参謀として活動している。

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