東京大学医学部の歴史・沿革と偏差値、カリキュラム、著名な卒業生・出身高校
はじめに
東京大学医学部・理科三類(理Ⅲ)は、日本において入学するのが最も難しく、かつ、別格の難易度とされています。
東京大学医学部の目的は、生命科学・医学・医療の分野の発展に寄与し、国際的指導者になる人材を育成することにあります。
これらの分野における問題の的確な把握と解決のために創造的研究を遂行し、臨床においては、その成果に基づいた全人的医療を実践しうる能力の涵養を目指しています。
新しい医療を切り開くために必要な基礎的な知識と技術そして考える力を学生ひとりひとりが身につけられるよう、最高の教員陣が教育を支えています。
また、研究者・研究医育成プログラムに力を入れているのも東京大学医学部の特徴です。通常の6年間の医学教育と並行して進められます。従ってこのプログラムを履修する学生にとっては負担が増えることになります。
入学難易度が別格、目指しているところも別格となっているのが東京大学医学部です。
東京大学医学部の歴史や沿革、偏差値、倍率、研究者育成プログラム、カリキュラム、有名人の卒業生などをご紹介していきます。
場所(アクセス)
〒113-0033 東京都文京区本郷7丁目3−1
・営団地下鉄丸の内線「本郷三丁目駅」下車徒歩約10分
・営団地下鉄千代田線「湯島駅」または「根津駅」下車徒歩約15分
・営団地下鉄南北線「東大前駅」下車徒歩約20分
・都営地下鉄大江戸線「本郷三丁目駅」下車徒歩約10分
各地下鉄駅から10~20分の場所にあります。
・JR線「お茶の水駅」聖橋口下車、聖橋の上から東大構内行スクールバスにて東大病院前下車
・JR線「上野駅」浅草口前始発、御徒町駅松坂屋前経由東大構内行スクールバスにて東大病院前下車
御茶ノ水駅、上野駅から出ているスクールバスを利用すれば、東大構内そばまでバスで行けます。
出典:東京大学医学系研究科・医学部
偏差値
76.2(2019年度)
偏差値75~77程度、全82医大で1位です。
出典:医学部受験マニュアル
倍率
約4.2倍(2019年度)
出典:大学受験パスナビ
学費・奨学金
入学金
282,000円
1年次学費総額
817,800円
2年次以降学費(年間)
535,800円
6年間学費総額
3,496,800円
国公立大医学部の学費は一律です。
奨学金
2,460,000円(6年間総額)
東京大学さつき会奨学金。経済的な理由により修学困難な女子生徒のみ対象。
出典:医学部受験マニュアル
医師国家試験合格率(2019年度)
89.0%
新卒92.2%、既卒58.3%となっています。
なお、2019年度医師国家試験全体の合格率が89.0%です。
出典:TECOM(テコム)第113回医師国家試験合格状況
歴史・沿革
1877年4月 東京大学創設(旧東京医学校を改組し医学部を設置)
1878年12月 文部省、東京大学に学位(学士号)の授与権を与える。
1879年4月 東京大学の授与する学士号を法学士・理学士・文学士・医学士・製薬士となる。
1886年3月 帝国大学令公布。工部大学校を統合して帝国大学に改組(法・医・工・文・理の5分科大学及び大学院を設置)
1888年5月 初めて博士号を授与(法学・医学・工学・文学・理学各5名)
1897年6月 京都帝国大学の創設に伴い、帝国大学を東京帝国大学と改称
1916年4月 伝染病研究所を設置
1919年2月 帝国大学令改正。本学に法・医・工・文・理・農の各学部の他、経済学部を新設
1920年11月 本学学位規則を制定(法学・医学・薬学・工学・文学・理学・農学・経済学の各博士)
1925年7月 大講堂落成
1947年9月 東京帝国大学を東京大学と改称(帝国大学令等を改正)
1949年5月 国立学校設置法公布 新制東京大学創設(教養学部・教育学部が新設され、法・医・工・文・理・農・経済・教養・教育の9学部設置)
10月 学部通則一部改正(修業年限4年、前期2年は教養学部、後期2年は各学部において教育、医学部医学科は4年)
1953年4月 新制東京大学大学院設置(人文科学・社会科学・数物系・化学系・生物系の5研究科を設置)/学位規則公布(新制度の学位は博士・修士の2種)
1965年4月 大学院の生物系・数物系・化学系の3研究科を改組し、理学系・医学系・薬学系・工学系・農学系の5研究科を設置
1967年6月 伝染病研究所を廃止し医科学研究所を設置
1968年3月 医学部研修医問題を発端とする紛争のため大講堂での統一卒業式を中止(各学部で分散卒業式)
1969年1月 警察力導入により学生らによる大講堂等の封鎖解除。入学試験の中止を決定
1977年4月 創立百周年記念式典を挙行
1991年3月 大講堂での卒業式を24年ぶりで再開
2001年3月 医学部附属病院分院を廃止(医学部附属病院へ統合)
2004年4月 国立大学法人化「国立大学法人東京大学」となる
2017年6月 指定国立大学法人に指定される
出典:東京大学
研究者育成プログラム
東京大学医学部では、臨床研究者育成プログラムとMD研究者育成プログラムに力を入れています。
臨床研究者育成プログラム
臨床研究者育成プログラムとは、東大医学部学生および臨床研修医を対象として、臨床医学領域での研究の重要性、研究者としての考え方の基礎について学んでもらうことを主眼としています。MD研究者育成プログラムと並行して、本学部における研究者・研究医育成教育の充実にあたるプログラムの一つです。
臨床医は、自らの臨床技能の向上に努めるだけでなく、未解決の問題に取り組むことが重要であり、そのためには研究が必要です。研究には、対象となる疾病や現象に対する興味だけでなく、どのように研究テーマを設定するか、どのような方向で研究を進めるか、研究の方法にはどのようなものがあるか、その領域の学術情報をどのように収集して理解するか、そしてどのように研究結果をまとめ、考え、他の研究者にそれを納得してもらうか、などいくつかの独特の考え方や方法論があります。それらを学部生のうちから体得することが、今後の臨床医としての方向性を自ら決める上で重要になります。
出典:東京大学医学部臨床研究者育成プログラム
MD研究者育成プログラム
現在、医学研究の各分野における研究は著しいスピードで進展しています。世界の研究最前線では、多くの日本人研究者が各々の分野で輝かしい研究成果を挙げ、主導的な役割を果たしています。しかし、その優位がいつまでも保証されているわけではありません。最先端の研究成果を追い越し、新たな地平を拓く、優秀な若い研究者の輩出が切望されています。
東京大学は、日本を代表する基幹大学であり、世界レベルで指導的な役割を果たす人材の養成が求められています。この社会的要請は医学部においても優秀な医師を養成して社会に送り出すことはもちろんのこと、「生命原理の解明」、「難治疾患の病因解明」、「先端医療の開発」などを通じて、明日の医学・医療を創出することが求められています。
しかし、後者を担う医学研究者を志す人材は減少傾向にあり、次代の基礎医学研究者を発掘し積極的に育成する公的なカリキュラムの必要性が認識されるようになってきました。
従来のカリキュラムでは6年間の学部教育を修了してから研究生活(大学院)に入るのが通常のコースでしたが、今日では、それがスタートの遅れとなり、その後の研究の進展に影響を及ぼしていると懸念されています。
基礎医学研究者としてのキャリアを視野に入れている学生には、当プログラムなどを通じて、いち早く学部生の時から最先端の研究現場に身を置き、テーマの設定方法、学術情報収集・文献検索の方法、実験の組み立て方や実際の手技、データの解釈やまとめ方、発表方法などに触れて、研究者の考え方を身につけることで、自分自身の可能性を大きく伸ばすことができます。
このような研究者として必要な「作法」を学部生の時期から積極的に習得する機会を設けることを目的として、平成20年度から「MD研究者育成プログラム」が運営されています。
具体的には、M1の時期から基礎研究室の一員として研究に参加し、実験方法や研究姿勢を習得すると同時に英語での論文作成やディスカッション・スキルの訓練などを通して、基礎医学研究者としての姿勢を体得することを目標とします。
このプログラムは通常の医学教育カリキュラムに代わるものではなく、通常の6年間の医学教育と並行して進められます。
従ってこのプログラムを履修する学生にとっては負担が増えることになりますが、基礎研究に情熱を傾けたいと考えている学生の参加を求めています。
出典:MD研究者育成プログラム
カリキュラム(医学部医学科・科目一覧)
医学部医学科で学ぶ科目は以下の通りです。
細胞生物学・解剖学、生化学・分子生物学、生理学、薬理学、病理学、微生物学、免疫学、放射線医学、医用生体工学、基礎神経医学、認知・言語医学、臨床神経精神医学、社会予防医学、医学原論・倫理学、法医学・医療情報経済学、器官病態内科学、生体防御腫瘍内科学、病態診断医学、産婦人科学、小児医学、加齢医学、臓器病態外科学、感覚・運動機能医学、生体管理医学
出典:東京大学医学系研究科・医学部
主な出身高校(上位20高校、1962年~2019年)
1位 灘
2位 開成
3位 筑波大附駒場
4位 ラ・サール鹿児島
5位 麻布
6位 桜蔭
7位 武蔵
7位 栄光学園
9位 愛光愛媛
10位 筑波大附
11位 東京学芸大附
12位 東海
13位 洛南
14位 広島学院
15位 金沢大附
15位 甲陽学院
17位 駒場東邦
17位 巣鴨
19位 桐朋
19位 聖光学院神奈川
出典:進学校データ名鑑
主な関連病院
・特定医療法人社団 潤恵会 敬仁病院
・医療法人社団 杏精会 岡田病院
・医療法人財団 健康文化会 小豆沢病院
・社会医療法人社団 森山医会 森山記念病院
・医療法人社団 静恒会 本多病院
・医療法人財団 慈光会 堀切中央病院
・医療法人社団 博栄会 赤羽中央総合病院
・医療法人社団 修世会 木場病院
・医療法人財団 岩井医療財団 稲波脊椎・関節病院
・東日本旅客鉄道株式会社 JR東京総合病院
・都庁前血管外科・循環器内科 東京バスキュラークリニック
・医療法人社団 東京医心会 ニューハート・ワタナベ国際病院
・ホームアレークリニック
・医療法人社団 同善会 同善病院
・医療法人社団 健育会 石川島記念病院
・医療法人社団緑の森 さくらクリニック
・東京保健生活協同組合 東京健生病院
・医療法人社団 友仁会 赤坂見附前田病院
・医療法人社団 東山会 調布東山病院
・医療法人社団 實理会 東京国際大堀病院
出典:東京大学医学部附属病院
著名な卒業生・有名人
・黒川清(医学者・東京電力福島原子力発電所事故調査委員会委員長)
・上田泰己(生命科学者)
・福島孝徳(脳神経外科医)
・冲永荘一(帝京大学総長)
・福島章(精神科医、上智大学名誉教授、医学博士)
・柳澤信夫(神経内科医、信州大学名誉教授、関東労災病院名誉院長、医学博士)
・桜井靖久(医用生体工学者、東京女子医科大学名誉教授)
・門脇孝(医学者)
・吉田たかよし(タレント・医師・元アナウンサー)東京大学大学院医学博士課程
・ベテラン中学生(YouTuber)医学部3年生在学中
出典:みんなの大学情報
監修者
笠浪 真
税理士法人テラス 代表税理士
税理士・行政書士
MBA | 慶應義塾大学大学院 医療マネジメント専攻 修士号
1978年生まれ。京都府出身。藤沢市在住。大学卒業後、大手会計事務所・法律事務所等にて10年勤務。税務・法務・労務の知識とノウハウを習得して、平成23年に独立開業。
現在、総勢52人(令和3年10月1日現在)のスタッフを抱え、クライアント数は法人・個人を含め約300社。
息子が交通事故に遭遇した際に、医師のおかげで一命をとりとめたことをきっかけに、今度は自分が医療業界へ恩返ししたいという思いに至る。
医院開業・医院経営・スタッフ採用・医療法人化・税務調査・事業承継などこれまでの相談件数は2,000件を超える。その豊富な事例とノウハウを問題解決パターンごとに分類し、クライアントに提供するだけでなく、オウンドメディア『開業医の教科書®︎』にて一般にも公開する。
医院の売上を増やすだけでなく、節税、労務などあらゆる経営課題を解決する。全てをワンストップで一任できる安心感から、医師からの紹介が絶えない。病院で息子の命を助けてもらったからこそ「ひとつでも多くの医院を永続的に繁栄させること」を使命とし、開業医の院長の経営参謀として活動している。