36.8%の患者が不満?!効果的な外来の待ち時間対策15選


医療機関の外来での長い待ち時間は、患者満足度に大きく関わり、クレームや口コミに直結する重要な課題の1つです。
日本医師会の「第8回 日本の医療に関する意識調査」(2024年)によれば、36.8%の患者さんが待ち時間に満足していないという結果が出ています。

※日本医師会「第8回 日本の医療に関する意識調査 」より抜粋
上図の通り、待ち時間に対する満足度は他項目に比べるとかなり低く、多くの患者さんが不満を持っていることが推測されます。
また、厚生労働省の「令和5(2023)年受療行動調査」によれば、15分以上待たされている患者さんが67.8%を占める現状が浮き彫りになっています。

※厚生労働省「令和5(2023)年受療行動調査」より抜粋
待ち時間が長引けば、患者さんのストレスが増大して患者離れを招くことになります。
本記事では、医療機関の効果的な外来の待ち時間対策を、医療DX、運営方法、待合室の環境整備の3つの視点からお伝えします。
医療DXによる外来の待ち時間対策7選

近年、医療現場においてもデジタル技術を活用した医療DXが進んでいます。
まずは、システム導入によって外来の待ち時間そのものを短縮する効果的な対策を紹介します。
なお、医療DXの詳細は、以下の記事をご覧ください。
Web予約で来院時間を分散させる
Web予約システムを導入することで、患者さんがスマートフォンやパソコンから24時間いつでも予約できます。
すでに予約が埋まっている日時は予約画面上で選択不可となるため、患者さんの来院時間を効果的に分散させることができます。
また、電話予約などの対応に追われるスタッフの業務負担を軽減できる点も大きなメリットです。
Web問診システムで受付対応を減らす
来院前にスマートフォンなどで問診票を入力してもらうWeb問診システムも、待ち時間対策に有効です。
待合室で紙の問診票に記入してもらう時間が省けるため、来院後すぐに診察室へ案内しやすくなります。
さらに、事前に患者さんの症状や来院目的を把握できるため、診察をスムーズに進めることができます。
再診用の自動受付機の導入で受付業務を効率化する
受付窓口の混雑は、待ち時間が長くなる要因になります。
初診時は、スタッフによる対面対応が必要なケースが多いですが、再診であれば自動受付機で十分に対応できます。
診察券やマイナンバーカードを機械に通すだけで受付が完了するため、受付スタッフの手間を省き、スムーズに案内できます。
自動精算機やキャッシュレス決済で会計の待ち時間を減らす
自動精算機やクレジットカード、電子マネーなどのキャッシュレス決済を導入すれば、金銭の受け渡しや釣銭の計算にかかる時間が大幅に削減されます。
会計の待ち時間を短縮できるだけでなく、金銭の計算ミスを防ぐこともでき、会計業務全体のスピードアップが図ることができます。
クラウド型の電子カルテで診察までの準備時間を短縮する
クラウド型の電子カルテシステムを導入すれば、先生やスタッフが診察室の端末で過去の診察履歴や検査結果をすぐに確認できます。
事前の準備時間が短縮され、よりスムーズな診察開始が可能になります。
順番管理システムで待ち時間を可視化し、混雑を回避する
患者さんにとって、「あとどれくらい待てばよいのか分からない」という状態は、待ち時間において最も強いストレスを感じる要因となります。
順番管理システムを導入し、患者さんが予想待ち時間をスマートフォンなどでリアルタイムに把握できるようにすると効果的です。
順番が近づいた際にメールやLINEで自動通知する仕組みを取り入れるのもいいでしょう。
患者さんは待合室から離れて買い物や一時帰宅など、順番までの時間を有効に使うことができます。
これにより、体感的な待ち時間が大きく短縮され、不満が起きにくくなります。
また、患者さんが待合室に滞在し続ける必要がなくなるため、院内の混雑緩和に直結し、感染症対策としても有効です。
オンライン診療で通院自体をなくす
薬の処方がメインの患者さんや、AGAやED、うつ病などオンラインとの相性がいい患者さんに対してはオンライン診療を取り入れるのもいいでしょう。
オンライン診療であれば、通院や待合室での待ち時間自体が発生しません。
結果として院内の患者数が減り、対面での診察が必要な患者さんへの対応時間をしっかり確保できるようになります。
オンライン診療については、以下の記事をご覧ください。
運営方法による外来の待ち時間対策3選

医療DXだけでなく、日々のクリニックの運営方法を見直すことでも、待ち時間が大きく改善できることがあります。
そこで、患者数の平準化という視点を中心に、運営方法による外来の待ち時間対策をお伝えします。
休診日や休憩時間を変えて患者数を平準化する
医療機関が混雑する曜日や時間は、立地や患者層によって異なります。
オフィス街に近いクリニックであれば、昼休みや仕事終わりの時間帯に患者さんが集中する傾向にあります。
この場合、昼の診療時間を長くしたり、診療時間を後ろ倒しにしたりする対策が、患者数の平準化や集患に効果的です。
一方で、住宅街のクリニックであれば、土日や祝日のニーズが高まる傾向にあります。
休日診療を行う代わりに、平日を休診日にするといった対策が必要かもしれません。
自院の混雑状況を分析し、状況に合わせて休診日や昼休憩の時間を柔軟に変更することで、患者数を平準化することができます。
患者さんに混雑日や時間帯を伝える
患者さんに混雑日や時間帯を伝えて、他の曜日や時間帯の来院を促すことも、患者数の平準化には一定の効果があります。
ホームページや院内掲示で、混雑する日や時間帯を通知するのもいいでしょう。
また、Web予約システムと紐付けて、スマートフォンで待ち時間の確認ができるシステムを導入している医療機関もあります。
予約なしの患者さんの受け入れを決めて待ち時間を極力減らす
完全予約制にしていない場合、予約なしの患者さんが多く来院した際に、長時間待たせてしまうことになります。
一定時間内に受け入れ可能な患者数の上限をあらかじめ割り出しておき、「予約枠を◯人、予約なし枠を◯人まで」と明確な基準を決めておくといいでしょう。
そうすることで、患者さん全体の待ち時間を減らすことができます。
患者さんが待ち時間を快適に過ごすための対策5選

いかに患者さんを待たせないかも大切ですが、待ち時間をストレスなく快適に過ごしてもらうことも重要です。
そこで、患者さんが待ち時間を快適に過ごすための対策についてお伝えします。
待合室の感染症対策を徹底する
診療科目にもよりますが、待ち時間が長いと、患者さんは感染症に対して不安を抱きます。
そのため、待合室を中心に感染症対策を行うことが欠かせません。
空気清浄機や換気システムの導入、手指消毒液の設置のほか、発熱患者さんと一般患者さんの動線や待機場所を分ける工夫が必要です。
患者さんに「感染対策がしっかりしている」と感じてもらい、待ち時間の不安軽減につなげましょう。
雑誌、マンガ本、無料のWi-Fi環境などで待合室の快適性を高める
体感的な待ち時間を短くするためには、患者さんが気を紛らわせたり、時間を有効活用できたりする工夫も必要です。
幅広い年齢層に対応できるよう、最新の雑誌や人気のマンガ本を用意し、健康情報などを流すモニターやテレビを設置するのもいいでしょう。
また、無料のWi-Fi環境を整備し、患者さんがパソコンで仕事などをできるようにすることも効果的です。
待合室の椅子やソファ、観葉植物など備品を見直す
患者さんに待ち時間を快適に過ごしてもらうためには、備品を見直すのもいいでしょう。
例えば、患者さんの属性に配慮して、立ち上がりやすい椅子やゆったり座れるソファを配置しましょう。
また、リラックス効果のある観葉植物を置いたり、落ち着いた色合いのインテリアに統一したりするだけでも、待合室の雰囲気を和らげることができます。
必要に応じて患者さんに声がけをする
患者さんの想定以上に待ち時間が発生している場合、スタッフから声をかけることも必要です。
「お待たせして申し訳ありません。あと〇分程度かかりそうです」
「今からだと1時間以上お待ちいただくことになりますが、外出されますか?」
などと、一声かけるだけで、患者さんの不満は大きく和らぎます。
ちょっとした声がけで、クレームや悪い口コミを防ぐことができるでしょう。
カフェスペースを設置する
院内のスペースに余裕がある場合、カフェスペースを設置するのもいいでしょう。
リラックスできる環境を提供することで、待ち時間を快適に過ごしてもらうことができます。
もちろん、小さなクリニックでは物理的なスペースの確保が難しいケースも多いです。
その場合は、コンパクトなウォーターサーバーを一台置くだけでも、患者さんに対する配慮として十分に伝わります。
【まとめ】待ち時間対策で患者満足度と業務生産性の向上を実現する

外来の待ち時間は、患者満足度の低下や悪い口コミにつながるリスクがあります。
医療DXの活用や、患者数の平準化などで、待ち時間を減らす対策をするほか、患者さんが待合室で快適に過ごす工夫も必要です。
また、待ち時間対策を行うことは、スタッフの業務の効率化やストレス軽減にも効果的です。
患者満足度と業務生産性の両方を高めるために、効果的な待ち時間対策を行いましょう。
最後までご覧いただきありがとうございました。


監修者
笠浪 真
税理士法人テラス 代表税理士
税理士・行政書士
MBA | 慶應義塾大学大学院 医療マネジメント専攻 修士号
1978年生まれ。京都府出身。藤沢市在住。大学卒業後、大手会計事務所・法律事務所等にて10年勤務。税務・法務・労務の知識とノウハウを習得して、平成23年に独立開業。
現在、総勢52人(令和3年10月1日現在)のスタッフを抱え、クライアント数は法人・個人を含め約300社。
息子が交通事故に遭遇した際に、医師のおかげで一命をとりとめたことをきっかけに、今度は自分が医療業界へ恩返ししたいという思いに至る。
医院開業・医院経営・スタッフ採用・医療法人化・税務調査・事業承継などこれまでの相談件数は2,000件を超える。その豊富な事例とノウハウを問題解決パターンごとに分類し、クライアントに提供するだけでなく、オウンドメディア『開業医の教科書®︎』にて一般にも公開する。
医院の売上を増やすだけでなく、節税、労務などあらゆる経営課題を解決する。全てをワンストップで一任できる安心感から、医師からの紹介が絶えない。病院で息子の命を助けてもらったからこそ「ひとつでも多くの医院を永続的に繁栄させること」を使命とし、開業医の院長の経営参謀として活動している。


