あのクリニックはなぜ順調なのか?医院経営が軌道に乗る設計図の作り方5STEP

公開日:2025年5月16日
更新日:2025年5月16日

「医院開業したいが失敗したくない」

「開業したクリニックをもっと成長させたい」

「もっとクリニックに利益が残るようにしたい」

こうした想いは、きっと多くの先生方が抱いているはずです。

内科クリニックを経営しているA先生も、開業当初は同じ想いを持っていました。

しかし、A先生の内科クリニックは、現在順調に医業収入を伸ばし、2年前に医療法人化しました。

法人化した後も、先生のクリニックの経営は好調です。

A先生に医院経営の成功の秘訣をうかがったところ、次の順番で事業計画の設計図を作り、PDCAを繰り返したそうです。

STEP1医院・クリニックの理念とビジョンを磨く
STEP2理念・ビジョンから逆算した事業計画書で目標を設定する
STEP3事業計画書通りに医院経営するためのリソースの活用戦略
STEP4目標を達成するための道筋を可視化する
STEP5事業計画の日々の実践・改善

医院・クリニック名の公開と顔出しNGを条件にして、A先生に詳細をお聞きしました。

【STEP1】医院・クリニックの経営理念とビジョンを磨く

A先生は、まずは医院・クリニックの理念とビジョンを作成することにしました。

意味
経営理念何のために存在するのか「世のため人のため、ともに幸せ」「患者さんを家族と思うこと」
ビジョンどこを目指すのか「地域No.1、幸せNo.1」「地域で一番良いと選ばれるクリニック」

開業医の先生にとっては、経営理念とビジョンは、開業後の経営で常に土台になります。勤務医と違って、常に意思決定が求められるので軸となる考え方を持つことは欠かせません。

また、A先生はスタッフと経営理念を共有することで、同じ方向を向いて一緒に進むことができたとのことです。

実際、A先生のクリニックは、業務生産性が向上し、離職者は直近3年で1人だけでした。

しかも、退職理由は旦那さんの転勤だったそうです。

ただ、A先生は次のようにも語っています。

「経営理念はただ単に、『〇〇をもって△△を実現する』という耳障りの良い言葉を並べれば良いものではありません。自分の行動に自然と表れるものでないと意味がありません」

ただ格好良いだけの経営理念は、スタッフからも共感されず、むしろ「言っていることとやっていることが違う」と反発され、逆効果だそうです。

「自分の血が通った経営理念としなければいけませんね。自然に口から溢れ出てくる言葉であればOKだと思います」

【STEP2】理念・ビジョンから逆算した事業計画書で目標を設定する

次にA先生は、事業計画書を見直すことにしたそうです。

ほとんどの開業医の先生は、「事業計画書は、お金を借りるために必要なものだ」と考えていると思います。

たしかに、それも正解なのですが、ただ単に融資を通すだけで活用するものではありません。

A先生いわく、事業計画書は、自分の理念・ビジョンを実現するための設計図だそうです。

「税理士の力をお借りして、クリニックや私自身の手元に利益が残るように、実現可能な数値計画を立てました。作りっぱなしではなく、見直していくことも大事ですね」

事業計画書は、理念・ビジョンから逆算して、無理な資金をかけなくても必ず目標の利益を達成できるように作ることが大切です。

【STEP3】事業計画書通りに医院経営するためのリソースの活用戦略

いくら理念・ビジョンや目標を明確にしても、具体的に実践に落とし込めなければ意味がありません。

A先生は、「理念・哲学なき行動は凶器であり、行動なき理念は無価値である」という本田宗一郎氏の言葉が好きでした。

そこでA先生は、高い医療技術を提供することはもちろん、医院経営では次のような「ヒト・モノ・カネ・情報」に分けて必要なリソースを考えました。

理想のスタッフを採用して離職・育成の課題解決
開業物件・医療機器・内装選び、医療法人化のタイミング
資金繰り、税金対策の課題解決
安定的に集患できる仕組み

このようにして、A戦線は事業計画書通りの目標を達成するため、必要なリソースを揃えていきました。

【STEP4】目標を達成するための道筋を可視化する

感覚に頼らない経営をするために、決算書などにある数字を読み解くことが必要となります。

しかし、A先生は次のようにも語っていました。

「私は簿記や会計は詳しくないので、決算書の細かい数字はわかりません。ただ、大事なポイントを教えてもらって、経営判断に失敗しなくなりました」

実際、難しく考えずに、医業収入、人件費、各種コスト、設備投資などから、経営の現状を把握してPDCAを回すことは可能です。 A先生は、自分でも理解できるレベルで状況を分析して、PDCAを回していきました。

【STEP5】事業計画の日々の実践・改善

理念・ビジョン、目標設定、具体的なプランが明確になったA先生は、日々の医院経営で実践していきました。

「実践しなければ、今まで考えてきたことがすべて水の泡です。また、実践するだけでもだめで、常にPDCAを回して精度を上げていかないといけません」

こうして、A先生のクリニックは、徐々に軌道に乗っていきました。

開業医の経営塾第6期開催決定|成功する医院経営の設計図を作り上げる

A先生のように、開業後に医院経営を軌道に乗せるには、理念から逆算した設計図が必要不可欠です。

しかし、理念・ビジョンを作成したうえで、設計図となる事業計画書を1人で作り上げることは簡単ではありません。

また、目標を達成するためのヒト・モノ・カネ・情報をどうするかも、専門家の力を借りないと難しいです。

開業医の経営塾では、成功する医院経営の設計図を、他の先生とともに作り上げ、実践できる場を用意しています。

今回解説した5STEPを体系的かつ具体的に学び、先生のクリニックに合わせた具体的な設計図を作成します。

経験豊富な専門家が、理念策定から資金繰りや税金対策、集患戦略まで、個別の課題解決を徹底サポートします。

一緒に参加している開業医の先生の成功事例を共有しながら、インプットだけでなく、行動・実践力を鍛えていきます。

詳細は、開業医の経営塾第6期の案内をご覧ください。

一緒に医院経営を成功に導きましょう。

笠浪 真

1978年生まれ。京都府出身。藤沢市在住。大学卒業後、大手会計事務所・法律事務所等にて10年勤務。税務・法務・労務の知識とノウハウを習得して、平成23年に独立開業。
現在、総勢52人(令和3年10月1日現在)のスタッフを抱え、クライアント数は法人・個人を含め約300社。
息子が交通事故に遭遇した際に、医師のおかげで一命をとりとめたことをきっかけに、今度は自分が医療業界へ恩返ししたいという思いに至る。

医院開業・医院経営・スタッフ採用・医療法人化・税務調査・事業承継などこれまでの相談件数は2,000件を超える。その豊富な事例とノウハウを問題解決パターンごとに分類し、クライアントに提供するだけでなく、オウンドメディア『開業医の教科書®︎』にて一般にも公開する。

医院の売上を増やすだけでなく、節税、労務などあらゆる経営課題を解決する。全てをワンストップで一任できる安心感から、医師からの紹介が絶えない。病院で息子の命を助けてもらったからこそ「ひとつでも多くの医院を永続的に繁栄させること」を使命とし、開業医の院長の経営参謀として活動している。

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