ポイントカード制度は税務上有利!?導入による3つの効果とは?

公開日:2019年11月5日
更新日:2024年4月9日

はじめに

最近はどのお店に行っても「ポイントカードを作りませんか?」と言われ、 気が付くとお財布の中がポイントカードでいっぱいになってしまった…ということがありませんか?

筆者もそのうちの一人であって、いつの間にかどこのお店で作ったのかも覚えていないカードが財布に入っていた経験をしたものです。

そして、そんなパンパンに膨れ上がった財布を見るたびに全てのポイントカードが統合されれば良いのに、と感じたものです。

しかし、このポイントカードを使ったビジネスというのは割引やクーポン発行など、お客様にとって魅力的なサービスが提供されるため、決して侮れないシステムです。

近年では既存顧客のリピート対策としてこのポイントカード制度を運用している医院やクリニックが増えてきているのも事実です。

ではなぜこういったポイントカードを導入しているお店が年々増えているのでしょうか?

そこで、今回はコンビニや薬局だけでなく、美容クリニック等で導入数が増えているポイントカード制度の効果とともに、導入のメリット・デメリットについてもお伝えいたします。

ポイントカードの導入が増えている理由

ポイントカードをいざ導入といっても費用や予算に関する問題が立ちはだかってしまうためになかなか容易に取り入れることは叶いません。

システムを導入する場合、決まりや知識だけでなく、スタッフ体制を整えておく必要があるため、他院と同様に導入すれば良いのかというと簡単に判断できません。

しかし、ポイントカードの普及率が90%以上である世間の情勢を見ると導入していないのはもはや時代遅れの医院と認識されてしまう可能性もあります。

このような時代の流れに遅れをとらないためにも、ポイントカードの仕組み・メリットの打ち出し方などを考え、いかに集客や売上に結びつけるかということが重要になります。

ポイントカードの普及率が90%を上回るほどの高い背景としては、集客や売上アップに役立つと考えている企業が圧倒的に多いためです。

システムを導入した場合、割引やクーポンによる価格勝負だけではなく、新規顧客情報獲得や顧客の囲い込み、リピート率向上、購入履歴の分析などにも役立てることができるのです。

それではポイントカードによって、具体的にどのような効果が見込めるのか?
次項では導入効果をお伝えいたします。

ポイントカード導入による効果

ポイントカードの活用方法は業種業態によって様々ありますが、どんな運用であっても大きく3つの効果を実現することができます。

【効果その① :顧客情報を分析し、効果的な戦略を打ち出せる】

ポイントをたくさん保有しているお客様はひとつの見方として「来店頻度が高いお客様である。」と汲み取れます。他に、ポイントを持つ方はどんな年齢層なのか?男性客・女性客のどちらが多いのか?どれくらいの頻度で来るのか?…といったように細かい情報を得ることで分析が可能となります。ポイント量やポイントが付くタイミングなど蓄積された情報を分析することで効果的な販促戦略を打ち出すことが可能となるのです。

【効果その②:ポイント促進により購入単価の向上が見込める】

普段通っているお店がポイント10倍というキャンペーンを打ち出した場合「今のうちに何かを購入して、ポイントを貯めよう!」「ついでにこの商品も買っておこう!」と思ったことがありませんか?このようにポイントを使って心理的にお得感を思わせることは、客単価を上げることができ、再度お客様が来るための仕組みにも使える手段なのです。

【効果その③:ファン化することで顧客離れを防止する】

ポイントカードを導入すると「そこでないといけない。」といったような感情にさせることができ、顧客離れを防止することによって、逆に囲い込みが可能となります。もちろんポイントカードを運用している企業ならではの、魅力的なサービスや斬新な企画は必要ではありますが、一度でもファン化を実現できれば、お客様が簡単に離れることも少なくなるのです。

ポイントカード導入のメリット・デメリット

ポイントカードのシステムを導入には、先ほどのような効果が見込まれますが、経営者側としてメリットがある一方で、当然ながらデメリットとなる点もあります。

本項では、ポイントカードを導入した場合のメリットとデメリットについて、お伝えいたします。

ポイントカードのメリット

・新規顧客情報を手軽に入手できる

ポイントカードを作る際に名前や住所、メールアドレスなどを記載してもらうことで、手軽に顧客情報を入手できます。入手できた情報はDMやメールマガジン、セール告知などのプロモーションに活用することが可能となります。

値引きに頼らずリピート対策が期待できる

ポイントを多く保有している優良顧客は、利益をもたらす重要な存在であり、リピート率が高くなればなるほどメリットとなります。

そんな優良顧客を維持するには、提供サービスや商品の満足度だけでなく、それ以上の付加価値も必要であり、その一部をポイントカードの運用によって賄えることも可能です。

利益を落とす安易な値引きでなく、ポイントを金券や割引券、商品に交換でき、還元する機会を提供することで、リピート対策に繋がるケースもあります。

嫌悪を感じさせず接触頻度を増やせる

一度でも来社されたお客様には、サービスだけでなく取扱商品を思い出していただくために色々なアプローチ方法がありました。

これまで主流だったDMやメールマガジンなども有効手段ではありますが、その反面で頻度の高いと顧客の嫌悪感を引き起こす可能性もあります。

しかし、ポイントカードを通して誕生日やクーポンなどの情報をお伝えすれば、そのリスクも減らすことができ、顧客とのコミュニケーション手段も多様化できます。

差別化しながら付加価値を提示できる

競合他社もポイントカードを導入していると、ポイントシステム導入自体が差別化になることは少ないかと思います。しかし、ポイントカードを通してあなたの医院・クリニックにしかない独自のメリットを提供すれば差別化は可能です。

ポイントカードなしでサービスや商品の魅力を感じてもらうのがベストですが、単価の低い消耗品や一般的な医療サービスを行っている場合は差別化が困難な場合もあります。そういった場合に、ポイントサービスに付加価値を付けることで、自院を選んでくれる可能性も高くなります。

「顧客が何を求めているか?」を把握し、付加価値として提示できれば差別化と顧客の囲い込みを同時に行うことができるのです。

ポイントカードのデメリット

集客・売上アップには綿密な設計が必要!

ポイントカードを顧客満足度と紐付けることは困難な道のりですが成功すれば、顧客満足度は確実に上がります。

しかし最近ではポイントカード普及率の工場でそもそもカードを持つこと自体のハードルが高くなっています。また、ポイントカードを持ってもらったとしても、お客様が望んでいるサービスや商品とは何なのかを知る必要があります。

単純な割引やクーポン券を行ったとしても、逆にコストがかさばるだけになる可能性もあるので、ポイントカードの浸透方法・顧客還元への導線について、十分に検討した上で導入することが成功へと繋がります。

店舗スタッフの業務・管理コストの増加

ポイントカードを導入した場合、教育や制度浸透のために、従業員の時間が取られるようになります。通常の業務以外の作業が余分に増えてしまうことは、あまり好ましくありません。

そのためにも、オペレーション周知、ルールの徹底、管理方法を事前にマニュアル等で整備し、可能な限り人件費コストを掛けないような仕組みづくりが重要となります。

運用後も分析を行わないと維持できない

ポイントカードを導入の目的は顧客に還元するだけではありません。ポイントカード情報に記録された購入価格・点数・頻度・傾向などのデータを利用することによって、導入以降のアプローチ方法を検討することが可能です。

しかし、導入してからデータを分析せず、ただ単純に割引サービスやクーポン券を配っていただけでは、利益率を下げることになり、宝の持ち腐れ状態に陥ってしまいます。

導入時だけではなく、導入後の管理・分析を行うことでポイントカード制度の旨味を最大限に引き出すことができるのです。

ポイントカードは税務上有利なシステム?

ポイントカードのシステム導入には、自社運用とポイントカード運用会社の大きく2種類に分かれます。

自社でポイントカードを運用した場合、ポイントの発行については何も費用が掛かりませんが、貯まったポイントを使用する場合、実質値引き処理という扱いになります。

一方、他社の運用会社へ依頼していた場合、 ポイントの発行を行うとポイントカード発行会社に支払うお金は販売促進費となり、ポイント利用の際はポイントカード会社からポイント分のお金を受け取り、売上として計上されます。

自社運用かポイントカード運用会社でどちらの方が有利なのか?と検討される方も多くいらっしゃいますが、税務上どちらが有利かというと特に大きな差はありません。

もしポイントカードのシステムを導入するのであれば、どちらのポイントを貯める方がお客様によってメリットとなるか?という観点から検討してください。

まとめ

今回は、以下のようにポイントカード制度による効果、そして導入によるメリット・メリットに関する内容をお伝えしました。

  1. ポイントカード制度導入する理由とは?
  2. ポイントカード運用による効果
  3. ポイントカード運用のメリット・デメリット
  4. 税務上、ポイントカード制度は有利?

薬局やコンビニなどの小売店では当たり前となっていることもあり、ここ最近ではサプリメント販売でポイントカード制度を導入している医院やクリニックも増加傾向にあります。

ポイントカードを上手く運用することができれば、既存顧客のリピート率向上や離脱防止に役立てることも可能です。

笠浪 真

1978年生まれ。京都府出身。藤沢市在住。大学卒業後、大手会計事務所・法律事務所等にて10年勤務。税務・法務・労務の知識とノウハウを習得して、平成23年に独立開業。
現在、総勢52人(令和3年10月1日現在)のスタッフを抱え、クライアント数は法人・個人を含め約300社。
息子が交通事故に遭遇した際に、医師のおかげで一命をとりとめたことをきっかけに、今度は自分が医療業界へ恩返ししたいという思いに至る。

医院開業・医院経営・スタッフ採用・医療法人化・税務調査・事業承継などこれまでの相談件数は2,000件を超える。その豊富な事例とノウハウを問題解決パターンごとに分類し、クライアントに提供するだけでなく、オウンドメディア『開業医の教科書®︎』にて一般にも公開する。

医院の売上を増やすだけでなく、節税、労務などあらゆる経営課題を解決する。全てをワンストップで一任できる安心感から、医師からの紹介が絶えない。病院で息子の命を助けてもらったからこそ「ひとつでも多くの医院を永続的に繁栄させること」を使命とし、開業医の院長の経営参謀として活動している。

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