医院にいながら納税可能!クレジットカード納付4つのメリット

公開日:2019年5月30日
更新日:2024年10月21日

はじめに

医院として税金を支払う場合、個人事業では、一般的に指定した金融機関の預貯金口座から振替納税を行うことが多く、医療法人では現金に納付書を添えて支払うケースなどがほとんどです。

しかし、ここ最近は時間的な制約に縛られることなく、かつ手元に現金がなくても納税できる「クレジットカード納付」という手法が広まっていることをご存知でしょうか?

これまでクレジットカードでの納税は自動車税や固定資産税など地方税に限られていましたが、2017年1月から法人税や相続税などの国税も可能となったのです。

クレジットカードでの納税は時間や場所の問題を解決できるだけでなく、金額次第では大きなキャッシュバックもあり、開業医の先生にとってメリットのある納税手段です。

そこで今回は、クレジットカードによる納税の仕組み、そして運用した場合の4つのメリットをお伝えいたします。

クレジットカード納付とは?

クレジットカード納付とは、納税者が国税庁長官の指定した納付受託者であるトヨタファイナンス株式会社に立替払いを委託する国税の納税方法。

手続きは簡単で「国税クレジットカードお支払サイト」に氏名や住所などの納付情報や納付税目、クレジットカード情報などを記入するだけとなります。

<国税クレジットカードお支払サイト>
https://kokuzei.noufu.jp

必要情報を受け取ったトヨタファイナンスは、納税額を国税庁に収め、さらに納税者が登録したクレジット会社経由で納税者に納税額を請求します。  

そのため、お支払いサイトに必要情報を入力するだけで納税したことになります。

このお支払サイトに対応しているクレジットカードは、VisaやMasterCard、JCBなど多くの種類が取り扱い可能であり、年々利用者も増えております。

しかし、一時的に納税者の税金をトヨタファイナンスが立替える流れであるため、納税額に応じた手数料が発生します。

最初の1万円までは82円(消費税込み)、それ以降は1万円増えるごとに82円(消費税込み)ずつ加算され計算されます。

たとえば、50万円の法人税をクレジットカードで納税する場合、4,104円(消費税込み)の手数料が掛かる計算になります。

これだけみると、「手数料が発生するなら、クレジットカード納付の方がデメリットではないか?」と感じるかもしれません。

しかし、この手数料を差し引いたとしても、クレジットカードによる納税には大きなメリットがあります。

クレジット納税によるメリットとは?

納税額に合わせて追加で手数料が発生するクレジットカード納付ではありますが、逆に手数料分を賄えるメリットがあります。

そこで、本項ではクレジットカード納付による4つのメリットをお伝えいたします。

メリット1:現金の用意は後回しでも可

入金の目処はついているが、取り急ぎ納税するための現金が手元にないときには、クレジットカードでの納税が非常に役に立ちます。

それはクレジットカードによる納税の手続きを済ませ、引き落とし日までに納税額分の現金を引き落とし用の口座に入金しておけばよいため。

通常クレジットカードの引き落としは、決済の2ヶ月後であるため、2ヶ月間の支払猶予の間に準備できていれば納税手続きの時に現金の準備ができていなくても良いのです。

なお、クレジットカード用の口座に残高がなく、納税額が引き落とされなかったとしても、税金の延滞として扱われることがなく、税務署からの催促もありません。

メリット2:時間と場所を選ばない

クレジットカード納付のメリットとして、24時間いつでもどこでも納税できるという点があります。

営業時間という縛りがある金融機関や税務署、そして24時間営業でいつでも良いコンビニであったとしても、必ず外出して出向かなければいけません。

しかし、クレジットカード納付であれば、24時間いつでも好きなタイミングで納税の手続きを行うことができます。

さらに国税クレジットカードお支払サイトはスマートフォンにも対応しているので、好きなタイミングだけでなく、場所を選ばず対応することも可能です。

メリット3:分割・リボ払いに対応

クレジットカードで支払えるということは通常の決済と同様、分割払いやリボ払いで税金を支払うことができます。

国税ともなると地方税とは異なり納税額がかさばってしまいやすいため、事業資金を圧迫してしまうケースも考えられます。

ほとんどのクレジットカードには、分割払いやリボ払いなどの機能が備わっているため、一括払いを避けることで資金繰りに余裕を持たせることも可能です。

メリット4:ポイントが付与される

ほとんどのクレジットカードにはポイント制が導入されているため、手数料を差し引いても付与されたポイントで得をする場合もあります。

国税クレジットカードお支払サイトに対応しているほとんどのカードは1.0%〜1.2%の還元率を実現できるため、手数料分以上のキャッシュバックに期待できます。

納税に対応しているクレジットカードを選択し、なおかつポイント還元率の高いカードを選ぶことで、よりお得なキャッシュバックとなるのです。

便利で手間もかからず、さらに支払猶予が得られるクレジットカード納付は医院の先生にとって大きなメリットとなる可能性が高い支払い手段です。

「納税するための時間が惜しい、税金の支払いが厳しい」という先生は、クレジットカードによる納税を試してみてはいかがでしょうか。 

将来的にはマイナンバーで支払う?

2015年10月から始まったマイナンバー制度。

マイナンバーは当初、社会保障・税金・災害対策の分野でしか使われない予定でしたが、

私たちの生活に劇的な変化をもたらす計画が予定されております。

制度が始まった当初に提出されたロードマップによると、2021年までに以下の対応が計画されているのです。

  1. 民間企業の社員証やポイントカード機能付加
  2. オンラインショッピング・オンラインバンキング・ネット証券などの活用
  3. マイナンバーカードによる税金納付
  4. 健康保険証や運転免許証、医師免許など公的資格証明書との一体化
  5. デビッドカード・クレジットカード・キャッシュカード・診察券などとの統合
  6. 外国人観光客へのマイナンバー付与
  7. マイナンバーを使った生体認証による東京オリンピック入場制限

なお、ロードマップには記載されていませんが、金融機関の口座とマイナンバーの紐づけが任意で始まっており、数年後には必須事項になる予定です。

このように2021年までには国民の行動がマイナンバーによって管理される状況となる可能性があります。

一人の国民としてみると確かにリスクと捉える方も多いでしょうが、ビジネスチャンスの側面から考えると決して悪い話ばかりではありません。

マイナンバー制度の浸透・推進のためにも、今後政府は納税面で優遇する政策を行う可能性もあるのです。

まとめ

今回はクレジットカード納付による以下のメリットをお伝えしました。

  1. 現金の用意は後回しでも納税できる
  2. 場所を選ばず好きなタイミングで納税手続きができる
  3. 分割、リボ払いで資金に余裕を持って納税できる
  4. ポイント付加によるキャッシュバックでお得に納税できる

今まで現金でしか支払えなかった税金がクレジットカードで納税できるようになり、新たな支払い方法の選択肢が増えました。

また、税金の支払いでポイントによるキャッシュバックにも期待できるのはクレジットカードによる納税ならではの特権でもあります。

クレジットカード納付では手数料が発生するというデメリットがありますが、ポイント還元によるキャッシュバックなど、メリットで賄えることもできます。

ぜひ、今回お話したことを1つでも取り入れて、納税処理の効率化を図っていただければと思います。

笠浪 真

1978年生まれ。京都府出身。藤沢市在住。大学卒業後、大手会計事務所・法律事務所等にて10年勤務。税務・法務・労務の知識とノウハウを習得して、平成23年に独立開業。
現在、総勢52人(令和3年10月1日現在)のスタッフを抱え、クライアント数は法人・個人を含め約300社。
息子が交通事故に遭遇した際に、医師のおかげで一命をとりとめたことをきっかけに、今度は自分が医療業界へ恩返ししたいという思いに至る。

医院開業・医院経営・スタッフ採用・医療法人化・税務調査・事業承継などこれまでの相談件数は2,000件を超える。その豊富な事例とノウハウを問題解決パターンごとに分類し、クライアントに提供するだけでなく、オウンドメディア『開業医の教科書®︎』にて一般にも公開する。

医院の売上を増やすだけでなく、節税、労務などあらゆる経営課題を解決する。全てをワンストップで一任できる安心感から、医師からの紹介が絶えない。病院で息子の命を助けてもらったからこそ「ひとつでも多くの医院を永続的に繁栄させること」を使命とし、開業医の院長の経営参謀として活動している。

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