代表コラム

2026.02.10

衆議院選挙を経て迎えるAI時代、「SaaSの死」と私たちテラスグループの決意

先日行われた選挙の結果を受け、政治の安定化への期待感から、日経平均株価が一時5万7000円という史上最高値をつけるなど、マクロ経済は活況を呈しています。米国経済もダウ平均が最高値を更新するなど盤石であり、その潮流は日本経済にも強い追い風となっています。

しかし、足元の生活実感としては物価高の影響も色濃く、ニュースで報じられる「好景気」と現実の肌感覚との間にギャップを感じている経営者様も多いのではないでしょうか。

今回は、こうした激動の経済情勢の中で、私たちテラスグループが直面している「劇的な技術革新」と、これからの時代にお客様へ提供すべき「真の価値」についてお話ししたいと思います。

ソフトウェア産業の転換点:「SaaSの死」が示唆するもの

先週、テクノロジー業界に激震が走りました。GoogleやOpenAIの競合であるAnthropic社などが、高度な「コーディング(プログラミング)を行うAI」を発表したことを受け、SalesforceやAdobe、日本であればマネーフォワードやfreeeといった、いわゆるSaaS(Software as a Service)企業の株価が急落するという現象が起きました。

これはいわゆる「SaaSの死(Death of SaaS)」と呼ばれる議論です。

これまで私たちは「便利なソフトをお金を払って使う」のが当たり前でした。しかし、AI自身が必要なソフトウェアを瞬時に開発・生成できる時代になれば、既存のパッケージソフトという概念そのものが不要になるかもしれません。

これは私たち士業・コンサルティング業界にとっても、決して対岸の火事ではありません。財務ソフトや申告システムの構築から、日々の入力、計算、そして申告書の作成に至るまで、人間が介在することなくボタン一つで完結する未来が、すぐそこまで来ているのです。

「作業」から「創造」へ

米国の大手企業では、すでにAI活用による業務構造の改革が進んでいます。日本においても、この流れは不可逆的なものです。

銀行口座等の連携による「入力業務の自動化」や、法務・税務における「定型的な判断業務のAI化」は、今後ますます加速するでしょう。将来的には、行政側の税務調査などもAI化され、完全にデータに基づいたフェアで自動的な世界が訪れる可能性さえあります。

これまで士業が価値としてきた「正確な入力」や「専門知識に基づく単一的な回答」は、AIに取って代わられます。しかし、私はこれを脅威ではなく、「大きなチャンス」だと捉えています。

単純作業にかかっていた膨大な時間が圧縮されることで、私たちは人間にしかできない、より本質的な価値提供に全力を注ぐことができるようになるからです。

AI時代だからこそ、テラスグループが提供できる価値

では、AIが進化する時代において、私たちがお客様に提供すべき価値とは何でしょうか。それは大きく2つあると考えています。

1. 感情に寄り添うパートナーシップ

経営とは、決断の連続であり、往々にして孤独なものです。 「背中を押してほしい」「迷いを聞いてほしい」。こうした感情の機微を含んだ対話や、経営者様の想いに寄り添うケアは、どれだけAIが進化しても、生身の人間だからこそ提供できる価値です。私たちは、単なる事務代行ではなく、共に悩み、共に走るパートナーであり続けたいと考えています。

2. 複合的な知識をつなげる「総合力(ジェネラリスト)」

ここが最も重要です。「税務だけ」「労務だけ」といった縦割りの専門知識は、AIが最も得意とする分野です。 しかし、実際の経営課題は複合的です。「事業承継において、税務的にはこうだが、労務リスクを考慮し、かつご家族の感情や医療法を含めると、こちらの選択肢が最適だ」――このように、複数の領域を横断し、文脈を読み解いて最適解を導き出すことは、AIにはまだ難しい領域です。

変化を恐れず、進化し続ける

私たちテラスグループは、この時代の変化を先取りし、「DX人材」の育成と「トータル・サポート」の強化に努めています。

税務担当であっても労務や社会保険の視点を持ち、労務担当であっても事業承継や経営全体の視点を持つ。縦割りの専門家集団ではなく、知識と知識をつなぎ合わせ、お客様の経営を丸ごとサポートできる「真のジェネラリスト集団」への進化を続けています。

技術の進化は、私たちの仕事を奪うものではなく、サービスの質を高めるための強力な武器です。 システムやAIを最大限に活用して効率化を図りながら、その先にある「人間ならではの温かみのある相談・提案」を磨き上げる。

これからのテラスグループに、どうぞご期待ください。

笠浪真