
Q :医療法人の出資金が相続税の対象になると聞きました。
どのような点に注意が必要でしょうか?
まず、医療法人は、「社団医療法人(出資により設立)」と「財団医療法人(寄付された財産で設立)」に分けられます。
このうち、出資金が相続税で問題となるのは、持分の定めのある社団医療法人(経過措置型医療法人・出資額限度法人)です。
もし、出資持分のある方が亡くなられた場合、その方の出資持分について、時価評価をして相続税を計算します。
出資持分は、毎年利益が発生していくと、法人の純資産価格が上がり、1口あたりの評価額がどんどん高くなっていきます。
例えば、設立当時の出資額が1,000万円でも、十数年後に相続が起きた時には何十億円にもなっているというケースもあります。
しかしながら、医療法人の出資持分は、上場株式のように、市場があって簡単には売り買い出来ない(換金性が非常に低い)ため、莫大な相続税が掛かるにもかかわらず、納税資金が捻出できないというケースもあります。
次に、持分の定めのある社団医療法人の出資持分に係る相続税の評価方法ですが、出資持分は、換金性は低いものの、譲渡や贈与を自由に行うことが可能である為、一般の非上場会社と同様に、「取引相場のない株式」の評価方法に準じて計算されます。
出資持分の評価額を引下げるには、例えば、役員退職金の支給など計画的な対策が必要となりますので、必ず専門家にご相談されることをお勧めします。
ちなみに、平成29年度税制改正で医療法人の出資持分の評価方法に関係する改正が行われたことから、平成29年以降は、医療法人の出資持分評価が大幅に変動する可能性があります。
今まで出資持分評価をやったことが無い法人はもちろんですが、以前に評価してから時間が経っている法人も改めて評価しておかれることをお勧めいたします。
最後に、財団医療法人や持分の定めのない社団医療法人に関しては、出資持分という概念が無い為、相続税の対象となりません。
なお、現在、最も設立件数の多い基金拠出型医療法人(持分の定めのない社団医療法人の一形態)については、その拠出した基金のみが相続税の課税対象となり、相続税の評価額はその拠出額になります。
出資持分評価や評価額の引下げを御検討の際は、税理士法人テラスにぜひご相談ください。
“医院多様化・事業継承・相続”カテゴリーのよくあるお悩み一覧
Q23: 医療法人化
Q24: 役員報酬設定
Q25: 5年目からの運転資金対策(再リース)
Q26: 所得分散
Q27: まだまだある5年目からの税金対策メニュー
Q28: 就業規則の見直し
Q29: 分院(サテライト)
Q30: 代診医師を探したい
Q31: 退職金準備
Q32: 後継者育成
Q33: 相続対策(子供が医師でない場合)
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Q36: 投資・不動産などの資産運用
Q37: 退職金支払い
Q38: 医院の承継(親子・親族)
Q39: 医院の承継(第三者承継)
Q40: 相続
Q41: 相続税申告
Q42: クリニックの閉院について
Q43: 遺産分割
Q44: 相続税・税務調査
実際に税理士法人テラスが医院承継・相続フェーズをお手伝いした先生にお話を聞いてみました。