Q : 開業5年目で医院経営が軌道に乗ってきたため、今年医療法人を設立することを検討しています。
個人事業開業時1年目に加入した小規模企業共済及び倒産防止共済契約は、医療法人化のあと引き継ぐことはできますか?
小規模企業共済は、医療法人の役員では加入できません。
倒産防止共済は医療法人では加入要件を満たさないため、法人化のあとに引き継ぐことはできません。
小規模企業共済は個人事業廃業に伴い共済金を受け取ります。
また、受け取った共済金の税法上の取り扱いは退職所得になります。
所得税及び地方税が課せられる退職所得の金額の計算方法は、以下のとおりです。
収入金額(源泉徴収される前の金額)‐退職所得控除)×1/2
※退職所得控除額の計算は、
勤続年数(=A)が20年以下の場合は40万円 × A (80万円に満たない場合には、80万円)、
20年超の場合は800万円 + 70万円 × (A – 20年)
つまり、先生の退職所得控除は5年(勤続年数=契約期間)×40万円=200万円です。
収入金額から200万円が控除され、残りの金額(退職所得控除額を上回る金額)の2分の1に対し、所得税及び地方税がかかります。
倒産防止共済は解約手当金として税法上、事業所得の収入金額に算入することになります。
また、医療法人成した後、今度は小規模企業共済の代わりに法人で理事長(先生)を被保険者とした長期保険に加入し、将来の退職金を準備されてはいかがでしょうか。
保険期間が長期のため、万一の死亡退職金・運転資金等に備えることができます。
払い込みになった保険料のうち、保険期間の当初6割相当期間は1/2を定期保険料として損金に算入し、1/2前払保険料として資産に計上します。
退職時に解約返戻金をお受け取りいただいた場合には、税法上、解約返戻金と前払保険料との差額は益金の額に算入されますが、法人から役員退職金を支給することができますので、収益と費用を相殺することが出来ます。
退職金は合理的な金額であれば法人の損金として認められています。
税理士法人テラスでは、退職金目的の長期生命保険や、役員退職金の具体的な金額をシミュレーションさせていただきます。詳細はぜひご相談ください。
“医院多様化・事業継承・相続”カテゴリーのよくあるお悩み一覧
Q23: 医療法人化
Q24: 役員報酬設定
Q25: 5年目からの運転資金対策(再リース)
Q26: 所得分散
Q27: まだまだある5年目からの税金対策メニュー
Q28: 就業規則の見直し
Q29: 分院(サテライト)
Q30: 代診医師を探したい
Q31: 退職金準備
Q32: 後継者育成
Q33: 相続対策(子供が医師でない場合)
Q34: 出資持分評価
Q35: 医療法人の診療所移転
Q36: 投資・不動産などの資産運用
Q37: 退職金支払い
Q38: 医院の承継(親子・親族)
Q39: 医院の承継(第三者承継)
Q40: 相続
Q41: 相続税申告
Q42: クリニックの閉院について
Q43: 遺産分割
Q44: 相続税・税務調査
実際に税理士法人テラスが医院承継・相続フェーズをお手伝いした先生にお話を聞いてみました。